NECは,ヘルスケア領域において革新的なアプタマー技術を活用した事業を拡大する目的で,米 SomaLogic社へ出資を行い,長期にわたる戦略的な協業関係を構築することとした。
アプタマーは種々の物質と特異的に結合する抗体のような性質がある。さらに,化学合成により安価に製造できることや,抗体の取得が困難な毒物や低分子検出にも利用できることから,抗体をしのぐ新しいセンサー素子として期待されている。
SomaLogic社は,バイオマーカー探索や臨床検査の領域において,アプタマーを用いた革新的なプロテオミクス(タンパク質解析)プラットフォームを開発した。これにより,たった一滴(約15μリットル)の血液から疾患に関連するタンパク質の量を確実に測定することができる。さらに同社は,多くの疾患において,このタンパク質のバランスが変化することを発見した。
こうしたSomaLogic社が有する技術とNECのクラウドサービス基盤をはじめとするIT技術を連携し,アプタマーを活用した次世代血液検査サービスを提供する。本サービスの提供にあたっては,NECのライフサイエンス研究支援システムBIOPRISM(バイオプリズム)やNEC北米研究所のSVM+等の解析技術を活用する。
NECとSomaLogic社は,この次世代血液検査サービスを,第一弾として製薬会社・研究機関・病院などを対象に提供し,今後,個人向けヘルスケアサービスに拡大する予定。
両社の技術を組み合わせた次世代血液検査サービスにより,疾患の早期発見が可能となる。さらには,個々人の医薬品の反応性を検査して不要な医薬品の処方を減らし,特定の人に作用する新しい医薬品開発を推進するなど,種々の健康維持増進に深く貢献する新しいサービスが実現される。
なお,SomaLogic社の創設者兼CEOのLarry Gold博士は,以下のようにコメントしている。
「この協業は,将来の新しい可能性を作る礎になります。我々はNECのヘルスケア事業の将来性に期待しています。そして,NECと協業することにより,我々の技術が研究や臨床に大きなインパクトを与え,実現に向けて効率的かつ効果的な方法を見出すことを確信しています。」 |