三菱重工業は,呼吸などにより揺れ動くがん病巣の動きをリアルタイムで追尾し,狙った病巣のみをピンポイントで連続照射する動体追尾照射機能を新たにオプション搭載した放射線治療装置MHI-TM2000の販売を開始する。この搭載により,効率よく,患者への負担が少ない優しい治療を行うことができる。薬事法に基づく厚生労働省の製造販売承認もすでに取得しており,今後,積極的な営業を展開していく。
がん放射線治療では,体内のがん病巣へ正確に放射線を当て,周辺の正常細胞への影響をいかに最小化するかを追求してきた。病巣に正確に照射するためには,位置合わせに多大な時間と労力が必要で,より効率よく照射できる機能の開発が求められていた。
今回の追尾照射機能は,世界に先駆けて実現した特殊な機構により,これまで難しいとされてきた揺れ動くがん病巣までもその動きを追いかけながら,正確に照射するのを容易としたもの。同社の保有する画像処理と放射線を高精度に照射する技術を融合して実現した機構で,具体的には,ガントリーと呼ばれるリング型構造体の内部に搭載したX線体内撮像装置から得られた情報により,動くがん病巣の位置をリアルタイムに把握。その上で,放射線照射ヘッドを自在に動かし,治療ビーム(放射線)の方向を自由に変えることで,動くがん病巣を追いかけ,病巣だけに集中的に照射することを可能にした。なお,この追尾照射機能は既存のMHI-TM2000にも容易に搭載できる。 |