島津製作所は,胸部や腹部,整形分野をはじめとするX線検査(一般X線撮影)に使用する画像診断装置で,より一層の低被ばくを可能にする機能と,操作性を高めてよりスムーズな検査を実現する機能を充実させ,小児から高齢者までがより安心・快適に検査を受けられる新製品を発売する。
新製品は,X線高電圧装置,X線管装置,X線管保持装置,コリメータ(X線可動絞り),X線撮影テーブルなどの構成品を,施設の用途に合わせて選択して組みあげるシステム製品で,今回,新型コリメータと新型X線高電圧装置を新しくラインナップに加え,「RADspeed Pro(ラドスピードプロ)」の新商品名で市場投入する。
一般X線撮影は,医療画像診断の約7割を占める基本検査で,画像診断装置のデジタル化が進んだ現在も,フィルムでの撮影や,CRが多く利用されている。新製品は,フィルムにもCRにも対応できるほか,デジタルX線検出器(FPD)を搭載することで,検査後の即時診断が可能なFPDシステムにアップグレードすることも可能である。
同社は,医療現場の幅広いニーズに対応するとともに,よりスムーズな検査への要求が強い小児や高齢者にも快適でやさしく,また多忙な医療スタッフの手間と時間を軽減する新製品を市場投入し,拡販を図る。
●主な特長
1. より一層の被ばく低減を可能にする,新型コリメータ
検査時の被ばく線量を低減するために,撮影部位に応じて不必要なX線を遮断するフィルターを自動選択する「オートフィルター機能(オプション)」を搭載することが可能。また,安全のため,コリメータの放射口の周囲をゴムクッションで覆い,被検者が不用意に接触しても衝撃を和らげる構造にしている。
2. よりスムーズな検査を実現する,新型X線高電圧装置
検査時の撮影条件をあらかじめ設定できる「アドバンストAPR(アナトミカルプログラム)」を800種類まで設定できる(従来は400種類)。さまざまな検査パターンを多く登録しておけるため,撮影準備に手間をとらない。
また,撮影実績を,履歴として512件まで記憶し(従来は64件),必要に応じて表示できる。検査の実績値を撮影条件として再設定することもできる。
さらに,操作盤の「Quick Ready」ボタンを押せば,X線管が先行して撮影準備に入るため,撮影操作を行ってからX線が発生されるまでの時間が半分(従来2.5秒が1.3秒)に短縮される。被検者に静止を要求する時間を短縮できるため,静止が難しい小児や救急患者の検査も,スムーズに行える。
3. 連動機能の充実で,撮影準備の手間と時間が軽減
X線管懸垂器とAPRが連動し,リモコンのワンタッチ操作であらかじめ登録した位置にX線管をポジショニングできる機能(オプション)や,X線管懸垂器がX線撮影スタンドやX線撮影テーブルの高さに自動追従してX線管の焦点高さを自動的にセットする機能(オプション)など便利な機能を揃えている。また,操作室の壁掛け操作盤と検査室内のX線管懸垂器の操作盤の連動により,撮影条件の設定・微調整がどちらからでも行えるなど,多忙な医療スタッフの作業軽減が可能になる。
4. 医療現場のニーズに基づいた安心・便利な機能も充実
X線管懸垂器の上下移動範囲は1,600mmあり,臥位での撮影距離を十分確保できるとともに,立位の膝撮影も患者をステップに乗せることなく低い位置のまま安全に行える。また,X線管を,垂直軸周り・水平軸周りのいずれの方向にも自在に回転可能で,かつ任意の角度で固定できるため,整形分野などの複雑な位置決めもスピーディに行える。
さらに,「撮影線量計算機能(オプション)」をコリメータに内蔵することで,被検者までの距離に応じてX線撮影時の表面線量を算出することができる。 |