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富士通
薬学共用試験センターと共同で薬学部の学生を対象とした薬学共用試験CBTシステムを構築

(2010/5/17)

●問い合わせ先
富士通(株)
文教統括営業部 第三営業部
TEL 03-6252-2562
http://jp.fujitsu.com/

 

  特定非営利活動法人 薬学共用試験センター(以下,共用試験センター)と富士通(株)は,共同で薬学部学生向けの薬学共用試験の1つであるCBT(Computer Based Testing,シー・ビー・ティ:コンピュータを用いた知識・問題解決能力を評価する試験)システム を構築した。2009年12月から2010年3月に,全国の66薬系大学67学部でCBTが初めて実施され,薬学共用試験の合格者9,300余名が5月17日からの実務実習に参加する。

  薬学共用試験は,薬剤師を目指す大学4年生に対し実施する試験で,5年次の約5ヶ月間にわたる病院や調剤薬局の実務実習前に,学生が全国共通の統一基準に達しているかを判断するもの。共用試験センターは,本試験の運用に富士通が独自に開発したネットワーク型試験システムを採用することで,問題作成やその精選および成績評価にいたるまで,全国で迅速かつ的確な試験を実施することができた。

  臨床現場で即戦力として幅広く活躍できる薬剤師を育成するため,2004年に薬学教育制度が改革され,2006年度より薬学部は6年制となり,5年次に病院や調剤薬局における約5ヶ月の実務実習が義務化された。それに向け,中央教育審議会は共用試験の実施を提言し,また厚生労働省により,薬剤師免許を有さない学生の実務実習実施の条件「行為の相当性」として,共用試験により学生の「知識,技能,態度」が全国共通の一定基準に到達していることを確認することが提示された。全国薬科大学長・薬学部長会議により,2006年10月に薬学共用試験を運営する共用試験センターが設立され,本センターが中心となって薬学共用試験の実施に向けて検討を行ってきた。

●薬学共用試験とは
薬学共用試験は,コンピュータを使用した基礎知識テストであるCBTと,調剤や患者への接遇などの課題が盛り込まれた実技試験であるOSCE(Objective Structured Clinical Examination,オスキー)の両方を,各大学において実施する。共用試験は,すでに医学部・歯学部において実施されているが,共用試験センターでは,薬学部独自のCBTシステムの構築を富士通とともに進めてきた。

CBTシステムイメージ図
【 「CBTシステム」イメージ図 】

  薬学共用試験におけるCBTシステムは,全国の73薬系大学74学部をネットワークでつなぎ,日本薬学会の協力を得て全国の薬系大学の教員にて試験問題を作成し,ネットワーク上で問題の精選を行い,実施においては,配布から受験・成績評価までを運用することができる。試験時には,ランダムに選別された310問が,東京理科大学に設置されている共用試験センターのセンターサーバから各大学の中継サーバを経由して,試験会場のパソコンに当日送信される。大学におけるCBTにおいて,このようにネットワークをつないで運用するのは,初めてとなる。
  また,受験時の不正を防ぐため,本システムは試験問題の表示にはWebブラウザを利用せず,独自アプリケーションを開発し,利用している。本アプリケーションは,不正に試験画面のコピーをすると,試験問題を強制終了させることで試験問題の漏洩を防ぐなど,セキュリティ面での対策も十分してある。
  さらに両者は,試験問題の正答率を一定にするために,2007年よりトライアルを3回実施し,CBTシステムの問題評価・分析機能を使用し,解答の解析から問題の難易度の識別などを繰り返して,適切な問題の選別を行ってきた。そして,CBTシステムに項目応答理論を活用した問題配布機能を持たせることで,全国レベルで,受験者ごとに同じ難易度の問題310問をランダムに出題することができ,学生を一定の基準に基づいて評価することが可能となった。
  結果として,CBTは,平均正答率82.8%,合格率99.3%で,計9,338名の学生が合格し,5月17日から始まる3期に分けての実務実習に参加するための能力を適正に評価することができた。

  共用試験センターは参加型実務実習を行う学生の能力を担保することにより,大学の社会への説明責任を支援する。今後,CBTの問題の質および実施方法をよりいっそう向上させ,永続的に試験運営を行い,医療の担い手としての高度な薬剤師養成教育の支援を実施し,「医療の向上と福祉の増進」に寄与することを目指す。

  富士通は,薬学共用試験におけるCBTの実施・運営を支援することに加え,実務実習で使用する実習内容・評価・日報を管理する「実務実習進捗ツール」の開発などを通して,薬学教育6年制における薬剤師の教育・養成を支援するシステムを提供していく。

薬学共用試験センターサイト