オリンパスメディカルシステムズ(株)(以下オリンパス)とシーメンスヘルスケア(以下シーメンス)は,胃の観察を目的とする磁気誘導型カプセル内視鏡システムに関する共同技術開発を進めている。
現在実用化されているカプセル内視鏡は,消化管の蠕動運動により推進していくため,意図する場所の観察が難しく,検査対象の臓器は「小腸」など細い消化管に限られている。今回の技術開発は,小腸などより症例数も多く,小腸用のカプセルでは隈なく検査ができない広い内腔を持つ「胃」において,医師の操作による任意の観察が行えることを目指す。検査の方法は,医師が磁気誘導装置システムに横たわった患者の胃の中にあるカプセル内視鏡を,ジョイスティックで検査したい場所に誘導し,カプセル内視鏡が撮影した高画質画像をモニターに表示する形で行うことを想定している。
本技術開発は,オリンパスとシーメンスが,両社の最新技術を融合しながら行う。カプセル内視鏡本体ならびに画像・誘導情報システムはオリンパスが,磁気誘導装置システムはシーメンスが中心となって開発を進めていく。今後は両社共同で開発した試作機において,医学的な有効性・効果を確認していく。
オリンパスメディカルシステムズ(株) 代表取締役社長 森嶌 治人氏のコメント
「オリンパスは内視鏡のリーディングカンパニーとして,常に,安全・安心で患者様の負担が少なく,医師にとって使いやすい内視鏡の開発を行っております。そのような観点でカプセル内視鏡は今後の発展が期待できる新しいタイプの内視鏡です。今回のシーメンスとの共同技術開発は,カプセル内視鏡の将来像のひとつを具現化するものとして期待しております。」
シーメンスヘルスケア セクターCEO ヘルマン・レクワート氏のコメント
「今回のオリンパスとの共同開発により,内視鏡医療の新しい世界が広がり,胃の検査がより簡単かつ快適に実施できるようになることを期待しています。今回の開発は内視鏡医療の現状に対し例えばアフターケアなどの場面で付加価値を生み出すかもしれません。」
●磁気誘導型カプセル内視鏡システムの試作機について
<カプセル内視鏡および画像・表示システムの試作機について>
磁気誘導型カプセル内視鏡の本体は,外径11mm×長さ31mm程度で,カプセル内視鏡の両端に搭載したカメラ機能により胃内の撮影を行い,撮影した画像をカプセル内視鏡の姿勢情報とともに画像表示システムに転送することで,リアルタイムの観察が行えることを目指している。観察時は,磁気誘導装置に横たわった患者の胃を水で満たすことでカプセル内視鏡の視野を確保し,医師がジョイスティックを使った磁気誘導によりカプセル内視鏡を水平・上下方向の移動や,回転させることで,胃の中の観察を自由に行うことを想定している。
<磁気誘導装置システムの試作機について>
磁気誘導装置システムで磁場を変化させることによってリアルタイムでカプセル内視鏡を自由に動かすことを目指している。磁力の強さは一般的なMRIと地球の弱い磁力の間となっている。
「磁気誘導装置システム」「画像・誘導情報システム」と「カプセル内視鏡」の試作機
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