ジョンソン・エンド・ジョンソン(株)メディカル カンパニーは,頸動脈狭窄症に対する治療法の一つである「頸動脈ステント留置術」(以下,CAS:Carotid Artery Stenting)に使用される,頸動脈用ステント「プリサイス® PRO RX」(販売名:頸動脈用プリサイス)の販売を2010年4月下旬より随時開始し,「アンジオガード® RX」(販売名:アンジオガード)を保険収載後より販売する。本製品は,2007年に日本初の頸動脈用ステントシステムとして承認された同社現行製品(「プリサイス」「アンジオガード XP」)から,医師がより治療を行いやすいラピッド・エクスチェンジタイプに改良された新製品。
【改良点】
ラピッド・エクスチェンジタイプにより,使いやすくスムーズな手技を実現。
プリサイス® PRO RX: ロープロファイル化を実現。
アンジオガード® RX: ワイヤー部を120cm短縮し,操作性を向上。
頸動脈用ステントシステムを使用するには,関連学会により定められたCAS実施基準研修プログラムの受講が義務付けられている。同社は,J-CASES(Japan Carotid Artery Stent Education System)と呼ばれるトレーニングプログラムを提供することにより,デバイスの適正かつ安全な使用はもちろんのこと,CASという手技が安全に普及されるべく,2007年より取り組みを続けている。今回の新製品の導入においても,CASを施行する全ての医師に対して製品の説明と安全使用に関する情報を提供することにより,新製品の安全な導入に努める。
頸動脈狭窄症は,脳に血液を送る首の血管に動脈硬化が起こり,血管が狭くなったり詰まったりする病気。頸動脈狭窄症が進むと,脳へ十分な血液が行き渡らなくなる。また,病変部のコレステロールや血栓(血の塊)などが脳まで流れ血管を塞いでしまう。その結果,ろれつが回らない,半身にしびれがある,半盲などの症状が現れる。重篤な場合は脳梗塞を引き起こすこともある。
動脈硬化症の1つである頸動脈狭窄症については,一般の患者さんにはまだまだ認知されていない病気。東海大学病院 循環器内科 教授 伊苅裕二氏は,「動脈硬化症は全身の病気です。頸動脈狭窄症はその中でも特に冠動脈疾患と高い確率で合併し,冠動脈疾患の病変枝数が高い(心血管の動脈硬化が進んでいる)程,頸動脈狭窄を罹患している可能性が高いと言えます。この病気が怖いのは症状が無い患者さんもいるため,早目に検査をすることが重要です」とコメントしている。
また脳梗塞予防の観点から,神戸市立医療センター中央市民病院 脳神経外科・脳卒中センター部長,坂井信幸氏は,「頸動脈用ステントシステムが保険収載されて2年を迎え,ようやく日本でも頸動脈用プリサイス® PRO RX及びアンジオガード® RXが導入されました。この製品の導入により機器の交換が行いやすくなり,頸動脈ステント留置術の治療成績の向上につながることが期待できます。医師にとっても,患者さんにとっても待ち望んでいた製品です。頸動脈ステント留置術は外科的手術が困難な頸動脈狭窄症患者さんに対して,切らずに治す選択肢を提供します。急にろれつがまわらなくなった,半身に脱力や違和感が出現した,眼が見えなくなったなど,気になる症状があれば早目にかかりつけの医師に相談し,脳梗塞を予防しましょう」とコメントしている。 |