新製品・企業情報

 
MRI  MRI

GEヘルスケア・ジャパン
次世代のMRI
「Discovery MR750 3.0T」,
「Optima MR360」,
「Brivo MR355」
3機種を同時発売

(2010/4/7)

●価格
Discovery MR750 21億円
Optima MR360 6億2,000万円
Brivo MR355 5億8,000万円
(構成により異なる)
●問い合わせ先
GEヘルスケア・ジャパン(株)
広報グループ 松井
TEL 0120-202-021 FAX 042-585-9541
Mail: aki.matsui@ge.com
http://www.gehealthcare.co.jp

Discovery MR750 3.0T
Discovery MR750 3.0T

Optima MR360,Brivo MR355
Optima MR360 / Brivo MR355

 GEヘルスケアグループの日本法人であるGEヘルスケア・ジャパン(株)は4月9日(金),同社製MRIの最新3機種「Discovery MR750 3.0T(ディスカバリー・エムアール・ナナゴーマル・3.0テスラ)」,「Optima MR360(オプティマ・エムアール・サンロクマル)」,「Brivo MR355(ブリボー・エムアール・サンゴーゴー)」を発売する。

 Discovery MR750は,現在臨床用としては国内最高の3T(テスラ)の磁場強度を有する同社製MRIの最上位機種,Optima MR360は同社が開発・製造し,2005年12月の発売以来,既に全世界で550台以上,国内でも120台を越える受注実績を有する「Signa HDe(シグナ・エイチディーイー)」シリーズの上位機種,Brivo MR355は同Signa HDeシリーズの後継機種である。

 GEヘルスケアのMRIはこれまで,SIGNA(シグナ)ブランドを採用してきたが,現在すべての製品群のブランドを,最先端テクノロジーや最新アプリケーションを搭載した最上位機種の「Discovery(ディスカバリー)」,生産性や効率性に優れ一段と質の高い診療を可能にする「Optima(オプティマ)」,シンプルで高い操作性を誇り日々の臨床ニーズに応える「Brivo(ブリボー)」の3つに集約する動きを全世界的に進めている。今回発売する3機種は,新ブランドで発売するMRIの第1弾となる。

 同社では,Discovery MR750が主対象とする最先端の研究機関や大学病院などの大規模施設から,Optima MR360の官公立総合病院や地域基幹病院,そしてBrivo MR355の脳外科や整形外科などの専門施設や中規模総合病院まで幅広い医療機関に最適な製品を一気に市場投入することで,新ブランドの認知向上と一段の拡販を狙う。

●Discovery MR750

 Discovery MR750は,業界に先駆けて全身用3T MRIを国内市場に投入した同社が,これまで培ってきた高磁場MRIのノウハウを結集して,高いハードウェア性能と臨床価値の高いアプリケーション・ソフトウェアを高い次元で融合した装置。高磁場特有の画像のムラを最大限削減し,頭部だけでなく全身領域での高速・高精細撮像を可能にしている。

 Discovery MR750の高度なハードウェア性能の根幹をなすのが,傾斜磁場システムの完全水冷化,ならびに新開発の電波(RFパルス)送信技術と信号の光伝送システム。
 超伝導磁石から発生する磁場に電波を当てて体内情報を収集するMRIでは,撮影ごとに傾斜磁場(磁場の直線的な変化量)を発生させるコイル(傾斜磁場コイル),ならびにコイルに電流を流すためのアンプや電源を冷却する必要がある。冷却効率のアップは撮像パフォーマンスの向上に直結するため,各社は新たな冷却技術の開発にしのぎを削っている。Discovery MR750では今回,傾斜磁場コイルだけでなく,アンプや電源まで含めた全システムの水冷化に成功。この完全水冷化技術の採用で,最大傾斜磁場強度50mT/mとスリューレート(SR)200を実現,これまで同社最高の最大傾斜磁場強度50mT/m/SR150に比べてSR値を50アップし,さらなる高速・高画質撮像を実現する。

  高磁場特有の画像のムラを克服するのが新開発のRFパルス送信技術「4ポイントドライブ」。3T MRIによる体幹部の撮像では,患者の体形や症例によっては高磁場特有の画像のムラが生じ,診断のネックになることもあった。Discovery MR750では,全身用コイルに電流を流すポイント(給電点)をこれまでの2つから4つに倍増することでこれを克服,円筒形のコイルに均等かつ安定的に電流を流すことで画像の不均一性を最大限削減する。
 さらにDiscovery MR750では,光ファイバーによるデジタル伝送システム「Optix(オプティクス)」の搭載で,伝送時のノイズ削減と将来的な拡張性確保を図っている。MRIでは体内から発信された微弱なアナログ信号を別の機械室に伝送してデジタル画像を構築するが,従来はこのアナログからデジタルへの変換(AD変換)を機械室で実施していました。また,この伝送には通常のアナログ電線を使用していました。Discovery MR750では,このAD変換をMRI装置本体内で可能にし,且つそれ以降の信号の,伝送ケーブルを光ファイバーに変更した。この早い段階でのAD変換と光伝送によるローノイズ化で,S/N比を最大27%改善している。(同社比)また光ファイバーケーブルを採用することで,将来的なチャネル数増大にも対応可能な拡張性を確保している。

  ソフトウェア面では,Discovery MR750は同社製MRIで初めて,局所的な静磁場不均一の際にも高精細画像の描出を可能にする「IDEAL(アイデアル)」と「FLEX(フレックス)」を同時搭載した。
 患者がテーブルに乗ってMRIの架台の中に入ると,全身に静磁場がかかりますが,複雑な形状を有する頚部や空気を多く含む胸部,手術後の生体内金属の周囲など,原理的に静磁場が不均一になりやすい部位がある。静磁場が均一にかかっている状態では,人体の脂肪をムラなく抑制した画像描出(脂肪抑制画像)ができるが,静磁場が不均一な箇所ではこの抑制がうまくできず,結果として局所的な画質の低下が発生していた。
 これを克服するのが「IDEAL」と「FLEX」で,IDEALは頭部から脚部までの全身領域において,局所的な静磁場の不均一が発生した際にも高精細撮像を可能にする。しかしながら,IDEALは撮影時間の長さから体幹部など息止めを必要とする部位には一部適用できないこともあった。これを補うのが,短時間で脂肪抑制画像を撮影できるFLEXで,体幹部撮像はもちろんのこと,左右の乳房を一回でVolume撮像し,乳腺腫瘍の鑑別診断に有用性の高い「Vibrant(バイブラント)」と組み合わせた「VIBRANT-FLEX」や,高分解能と高コントラストを両立し,腹部のVolume撮像に有効な「LAVA(ラバ)」と組み合わせた「LAVA-FLEX」など,Volumeアプリケーションと組み合わせた使用も可能である。
 IDEALとFLEXの同時搭載は,全身領域で真の局所静磁場の不均一の克服を実現する。

  Discovery MR750を本年2月に試験導入した社会福祉法人聖隷福祉事業団 総合病院 聖隷浜松病院 放射線科の増井孝之部長は,「今まで頭部,筋骨格領域を中心に臨床有用性が認められてきた3T MRI装置であるが,今回のDiscovery MR750は頭部,筋骨格領域の充実に加え,従来の3T装置が体幹部撮像で抱えていた技術的な問題点の多くを改善し,3Tという高磁場のメリットを生かした質の高い情報が得られる装置である。特に体幹部用の32chコイルと新しい撮像法であるLAVA-FLEXの組み合わせでは,広範囲でも均一性がよく,しかも空間分解能の高い画像が得られ,その信頼性が優れている」と,同装置の臨床的有用性を高く評価している。

●Optima MR360 & Brivo MR355

  Optima MR360とBrivo MR355はともに,MRIで初めて専用機械室をなくした省スペース性と消費電力を4割削減した省エネ性能など,既に日本の医療機関から高い評価を獲得しているSigna HDeシリーズをベースに,これまで培ってきた技術を結集して開発され,今後日本でも・製造される装置。同シリーズの優れた経済性を一段と進化させながら,さらなる操作性向上と性能強化を実現した新ブランドMRIである。

  両機種の操作性向上に貢献するのが,同社初となる撮影用コイルを埋め込んだ固定式患者撮像テーブルの採用と,位置決めの自動化や撮影条件設定の簡略化などの撮影支援機能の搭載である。中でもOptima MR360は患者撮像テーブルをこの固定式の新型と,着脱式のテーブルに部位別に最適設計された専用コイルを組み合わせた従来型の2種類から選択可能にしている。(Brivo MR355は固定式のみ)。
 従来のMRIでは,部位ごとに専用コイルを使用するため,撮影ごとにコイルを替える必要があり,結果として検査時間の延長や操作者の負担増などにつながっていた。Optima MR360とBrivo MR355では同社製MRIで初めて,専用コイルとほぼ同等の性能を有するコイルを直接埋め込んだ患者撮像テーブルを採用,撮影ごとにコイルを入れ替えなくて済むため,特にMRI検査の6〜7割を占める頭部・脊椎撮影における検査効率アップに大きく貢献する。
 また用途が広く日進月歩の進化を遂げるMRIは,CTなどの他の製品群に比べて,詳細な条件設定が可能だが,部位ごとの最適な撮影条件の設定が難しいという課題があった。Optima MR360とBrivo MR355では,頭部撮影の際の位置決めを自動化する「Ready Brain(レディ・ブレイン)」を搭載,経過観察など時期を変えて再度検査する時に,以前と違う操作者が担当しても確実に同一の断層像が撮影できる。加えて,レバーを動かすだけで簡単に撮像時間を調節可能な「Slider bar(スライダー・バー)」を搭載するなど,操作性アップにつながる機能を追加することで,MRI経験の浅い方でも容易に最適な画像撮影を可能にしている。また引き続き,熟練者向けのマニュアルによる条件設定機能も搭載しているため,初心者からエキスパートまであらゆるユーザーに最適な撮影環境を提供する。

  Optima MR360とBrivo MR355の性能強化を実現するのが,撮影速度の高速化と広範な高機能撮影ソフトの搭載である。
 両機種では,新開発のXFDグラディエントの搭載で,スリューレート(SR)100/最大傾斜磁場強度33mT/mと,これまでのSigna HDeシリーズ(SR:50/最大傾斜磁場強度:23mT/m)に比べてSR倍増を実現,一段と高速かつ高画質の撮像を可能にしている。
 撮影ソフトでは,非造影の血管撮影(MRアンギオグラフィー)の適用範囲を,これまでの頭部,頚部を中心とした領域に加えて,医療機関からのニーズの高い四肢や腹部にまで拡大したほか,門脈などの任意の血管撮影を可能にした。また,MRI撮像において大変重要な動きの影響を最小限に抑える「Propeller(プロペラ)」もさらに強化するなど,両装置はこれまで高い評価を獲得していた各種機能を臨床現場の声をもとにさらに充実させることで,一段と付加価値の高い診断を実現する。
 またOptima MR360では,Discovery MR750にも搭載されている新しい水・脂肪分離技術である「IDEAL」や,骨軟部の評価に有用なプロトン密度強調画像から,脳脊髄液に接する病変を検出しやすくするフレアー法,そして病変の拾い出しに有用性の高いT2強調画像まで,臨床で頻繁に使用する撮影方法でのVolume撮像を可能にした「Cube(キューブ)」など,これまで最上位機種のみで搭載されていた高機能ソフトを使用可能にした。

  Optima MR360 & Brivo MR355は,前述の世界最多の受注実績を誇るSigna HDeシリーズで実現した高い経済性に加え,電源容量は25kVAとSigna HDeシリーズに比べてさらに約3割削減,1.5T装置でありながら,同社の0.5T MRIよりも小さな数値を実現した。この新開発電源の採用で,容量を低下しながらもパフォーマンス向上を実現している。
 また両装置がSigna HDeシリーズから継承している主な点は次の通り。Optima MR360 & Brivo MR355では,各種制御装置や電源関連部品を一つにまとめたシングルキャビネットを採用したことで,従来の1.5T MRIに比べて設置スペースを約4割削減したほか,水冷化によるグラディエントシステムを採用することで,従来機に比べて消費電力を約4割削減している。さらに,ケーブルを約4割少なくし,配線の多くを出荷前に仕上げることで,取り付け期間を従来の3〜4週間から7日間に短縮し,導入コスト低減にも貢献するなど,Signa HDeシリーズが誇る高い経済性を数多く継承している。

 なお同社では同じく4月9日付で,これまでの同社製MRIの最上位機種「Signa HDxt 3.0T」と「Signa HDxt 1.5T」(ともに2008年12月発売)の後継機種として,「Signa HDxt Optima Edition 3.0T」と「Signa HDxt Optima Edition 1.5T」もあわせて発売する。