社団法人日本医師会治験促進センター( 以下,治験促進センター)と,日本電気(株)(以下,NEC)は共同で,厚生労働科学研究(医療技術実用化総合研究事業)「治験推進研究事業」の一環として治験の新統一書式入力支援システム「カット・ドゥ・スクエア(愛称)」を開発した。治験促進センターは,3月19日に,治験の関係者である製薬・医療機器企業,CROや医療機関,SMO(以下,治験の関係者)に向けて,新システムによるサービス提供を開始した。
現在,世界の医薬品・医療機器産業をリードする日本の開発力を生かし,最新医療を1日も早く患者に提供する事を目的とした,治験の事務手続きや情報共有のための基盤整備が急務となっている。
本システムは,治験事務の効率化や医療機関のネットワークの活用方策の検討など,質の高い治験を効率的かつ迅速に実施する環境整備を行うため,厚生労働省の「新たな治験活性化5ヵ年計画」に基づき実現されたものである。必要な書式や登録データなど,治験にかかわる事務業務をWebサービスで共有できる,業界横断の情報共有基盤となるクラウド型サービス。
治験促進センターとしては今後,治験の関係者へのシステム利用を促進し,国内治験の普及を見込んでいる。
●システムの概要
これまでの統一書式入力支援システムは,治験促進センターのWebサイトから治験の関係者のパソコンにソフトウェアをインストールして入力作業を行っており,利用者(治験の関係者)にとっては,情報共有が行いにくく,作成した書式の管理に課題があった。
新システムでは,登録をした組織の利用者が権限を与えられた治験に対し書式データを参照および入力する事ができる。この書式データは,該当する治験にかかわるすべての利用者がネットワークを介して共通システムとして利用できるものである。また登録されたすべてのデータは,強固なセキュリティのもとで蓄積され,インターネットを介して該当する治験の関係者のみで共有できる。
●新システムの利点
- インストールの手間などの利用開始時の負担を軽減するとともに,関係者間の情報の共有を促進するWeb型システム。
- 一度入力された情報を関係者が共有し利用することで重複入力を削減するデータ共有機能。
- 連続して作成される文書間での自動情報連携を実現するデータ連携機能。
- 再利用が想定される情報をマスタ化し,必要に応じた利用を実現するマスタ登録機能。
- 必要に応じた柔軟な行挿入・入力枠拡張と印刷時の別紙自動作成の実現で,ユーザの負担を軽減と同時に統一書式のフォーマット遵守を実現する入力支援機能。
NECが構築した,本システムの情報共有基盤の特長は以下のとおり。
- 本システムのデータを守るため,高いセキュリティ,災害対策等を有するNECの堅牢なデータセンター環境で提供。
- 異なる機関が共有するWEBサービスに対する様々な攻撃(コンピュータウィルス,ネットワーク侵入,脆弱性攻撃,他者の盗聴や不正な参照)から守るため,強固なファイヤーウォール,ウィルス対策ソフト,WAF(Webアプリケーションファイヤーウォール),通信時の盗聴を防ぐ暗号化など,強固なセキュリティ基盤を構築。
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