東芝メディカルシステムズ(株)は,次世代CTとして世界で高い評価を得ているArea Detector CT, Aquilion ONE(アクイリオン ワン)(320列:640スライス)をさらに進化させたAquilion ONE Volume Evolution Edition(アクイリオン ワン ボリューム エボリューション エディション)を1月1日より発売開始した。
今回Aquilion ONE Volume Evolution Editionでは,世界初の160列(320スライス)Volume Helical Scanと,さらなる被ばく低減を実現する新たな再構成アルゴリズムを標準搭載したほか,デュアルエネルギーシステム,心筋パーフュージョン,ボディパーフュージョンなど,1回転で臓器全体を撮影できるAquilion ONEの特性を最大限に活かすボリューム検査に対応する多彩なアプリケーションを可能にした。すべての領域で高速,高画質,低被ばくを実現するArea Detector CTは幅広い臨床ニーズに応え,新たな有用性を提供することが期待できる。
●主な特長
■スキャン機能
1. 160列 Volume Helical Scan
新しく開発した再構成アルゴリズム“TCOT+(ティコットプラス),V-TCOT(ブイティコット)”を搭載し,0.5mm×160列:80mmのX線ビームによる高速ヘリカルスキャンを実現。撮影FOV:φ500mmで従来の64列ヘリカルスキャンのわずか約1/3のスキャン時間で検査が終了する(600mmの範囲を3.8秒で撮影可能)。高速ルーチン検査はもとより救急患者の全身検査に威力を発揮するほか,3DCTAでの造影剤低減,造影効果の均一性向上,体動の抑制など,より患者さんに優しい検査を高い検査精度で実現する。
2. デュアルエネルギーシステム(オプション)
Area Detector CTの特長を生かしたデュアルエネルギーシステムを開発。新開発のDual energy Volume Scanモードにより,高電圧と低電圧を高速切替しエネルギーの異なるボリュームデータを連続収集する。電圧と電流を同時に切替ることで画像ノイズレベルを合わせることが可能となるほか,寝台移動の伴うヘリカルスキャン方式とは異なり,ボリュームサブトラクションで実績のあるミスレジストレーションのない高精度スキャンを実現する。
管電圧の違いによって生じるコントラストの変換度を比較することで組織性状の識別が容易となり,尿管結石などの解析が高精度に行える。
3. Volume Scan & Wide Volume Scan
新開発の画像再構成VolumeXact+(ボリュームイグザクトプラス)を搭載し,Volume Scan時の画像表示領域を拡張。Wide Volume Scanにおいても連続性と均一性に優れたデータを描出する。従来のヘリカルスキャンに比べ被ばく,解像度で優れるArea Detector CTならではのVolume Scanの可能性をさらに広げる。
■被ばく低減画像再構成
Adaptive Iterative Dose Reduction(アダプティブ イテラティブ ドーズ リダクション)
さらなる低被ばくと高画質の両立を目的とした画像再構成アルゴリズムAdaptive Iterative Dose Reductionを開発。心臓,頭部,腹部領域において再構成画像の3次元ボクセル上で信号以外のノイズ成分のみを選択的に抽出して繰り返しノイズ除去を行い,オリジナルデータと組み合わせた画像を作成する。これまでの量子フィルタに比べ,さらに効果的なノイズ低減を実現し,ノイズ(SD)で約50%,被ばく線量にして最大80%低減できる。
■画像処理臨床アプリケーション(オプション)
1. 心筋パーフュージョン
Area Detector CTの特長である心電同期Volume Scanにより,心臓全体を1回転で撮影し被ばく低減可能な利点を活かした心筋パーフュージョンを開発。[NH2]これまでの64列マルチスライスCTによる心臓CT検査より少ない被ばく線量で安静時,負荷時の検査が可能となる。これにより冠動脈狭窄などの形態診断と同時に心筋灌流に関する機能情報を1回の検査で得ることができ,新たな心臓CT検査の可能性を提供する。
2. ボディパーフュージョン
呼吸による臓器の移動や変形をレジストレーションし,Dynamic Volume Scanによる[NH3]安静呼吸下での検査を可能としたボディパーフュージョンを開発。Area Detector CTで得られる臓器全体の灌流情報をボリュームとして解析しカラーマップで表示する。非線形位置合わせ機能により複数時相の動きを補正し,得られたデータから肝臓や腎臓など各腹部臓器に対応した解析アルゴリズムを用いて,より最適な解析結果が得られる。従来のアキシャル断面による解析では,対象臓器と腫瘍全体の解析を同時に行うことができなかったが,これによりアキシャル断面はもとより任意のMPR断面,3Dでの観察が可能。 |