※2009年11月13日発表 翻訳
ギブン・イメージング社は本日,『Gut』11月号に掲載された多施設共同試験の結果報告において,小腸用カプセル内視鏡のPillCam® SBは,8歳未満の小児に適用しても8歳以上および成人と同等の有効性と安全性が示されたと発表した。このプロスペクティブな多施設共同試験は,ドイツ・キール大学病院総合内視鏡検査科のAnnette Fritscher-Ravens医師らによって行われた。
「カプセル内視鏡は,以前に複数回の診断のための検査を受けたにもかかわらず,確定診断ができなかった小児患者に有意な臨床的価値を提供する。カプセル内視鏡は,この幼い患者集団の小腸を十分に観察して正確な診断を可能とし,有効な治療が行えるため,最終的には小児患者のQOLを向上させます」と,Fritscher-Ravens医師は述べている。
「見落とされがちなのですが,これらの小児患者は,正確な診断と有効な治療が行われなければQOLが低下してしまう重要な患者集団なのです。当社が小児のQOLを向上させる一助になれることは大変光栄なことです」と,ギブン・イメージング社のホミ・シャミール社長兼最高経営責任者は述べている。
この試験では,4歳という幼い小児においても,何ら合併症を伴わずにPillCam® SBを嚥下できたことが示された。また,PillCam® SBを嚥下できなかった小児には,デリバリーシステムを使うことで内視鏡でカプセルを挿入できたと報告している。
●本試験について
このプロスペクティブな多施設共同試験は,通常の内視鏡検査やX線検査を実施しても確定診断ができなかった8歳未満の小児83例を対象に9つの医療機関で実施された。これらの小児患者は,原因不明の潜在性消化管出血(Occult OGIB),クローン病の疑い,原因不明の腹痛,タンパク漏出性腸症,消化吸収障害などのさまざまな小腸疾患を来していた。PillCam® SBは小児自身によって嚥下,もしくは内視鏡的に挿入された。これにより,得られた主な知見は次の通り。
- 原因不明の消化管出血または慢性貧血の患者の53%(30例中16例)は,小腸用カプセル内視鏡検査の所見から出血源を特定することができた。このうち6例は,この診断検査を受けるまでは輸血に頼っていた。
- クローン病が疑われていた患者の55%(20例中11例)は,上部・下部消化管内視鏡検査で陰性であったにもかかわらず,小腸カプセル内視鏡検査によって小腸クローン病のエビデンスが確認された。
- 反復性腹痛患者の50%(12例6例)には明らかな病変が確認された。
- 小児集団に対する最も一般的な適応症は,青年集団とは違い,原因不明の消化管出血であった。
この試験の著者らはまた,カプセル内視鏡が体内で停留した患者はいなかったこと,この患者集団内の最低体重はわずか10kgであったことを報告している。
PillCam® SB 2カプセル内視鏡はPillCam®プラットフォーム(ギブン画像診断システム)と共に使用して,小腸粘膜を観察する。日本を除く諸外国では,成人および2歳以上の幼児・小児の小腸の異常を検出するツールとして使用することができる。また,PillCam® SB 2カプセル内視鏡とPillCam(R)プラットフォーム(ギブン画像診断システム)は2歳未満の幼児には使用が許可されておらず,承認された臨床試験以外に使用することはできない。 |