東芝メディカルシステムズ(株)は,Cアーム付の透視撮影台とデジタル画像処理装置を組み合わせて,消化管造影検査から血管造影検査まで幅広いX線検査の適用が可能な多目的デジタルX線TVシステムUltimax-i(アルティマックス−アイ)を開発し,機能を充実させて販売を開始した。
近年の医療環境の変化に伴い,設備の効率的な運用が求められるなか,X線TVシステムにおいても消化管造影検査に加えて,各診療科の多様な検査に対応することが望まれている。 従来のシステムは,透視方向と視野サイズが限定されていたため,たとえば血管造影検査はCアーム装置で,泌尿器検査はカセッテ撮影で行われており,効率的な運用が困難であった。Ultimax-iは,Cアーム搭載で多方向からの観察を可能とし,17インチ角の平面検出器(Flat Panel Detector:FPD)を組み合わせることで大視野を確保し,各科の検査要求に対応している。さらに,新画質コンセプト「PureBrain」を搭載して,多くの検査で重要とされる透視画像の視認性を向上させ,「多方向・大視野・高画質」を実現した。
●機能の特長
1. Cアーム搭載起倒寝台と大視野平面検出器 FPD1717の融合
X線TVシステムの特長である寝台起倒機能に,多方向透視・撮影を可能とするCアームを搭載し,通常のX線TV装置では観察が難しかった体位や部位の画像が容易に得られる。これにより体位変換が少なくなり,患者さんと操作者の負担を軽減する。また,イメージインテンシファイア(I.I.)を組み合わせたシステムに加え17インチ角サイズFPD“FPD1717”を搭載したシステムをラインアップした。従来の上部消化管検査,ERCP,嚥下造影検査,注腸検査,婦人科領域の検査,整形領域の検査,血管造影検査において多方向の診断情報を提供するとともに,泌尿器検査,脊椎単純撮影,救急対応など大視野を必要とする検査に対応し,より幅広い検査に適用できる。
2. 画質コンセプト“PureBrain”
消化管造影検査における残像の少ない透視画像,インターベンションにおけるカテーテルの視認性,小児検査や婦人科検査などにおける低被ばく,これらの要求に応えた画像フィルタ処理(Super Noise Reduction Filter:SNRF)を開発した。 SNRFは画像内の必要な信号とノイズを計算して有用な情報を抽出する同社特許技術を用いることで,微細な構造を残したまま粒状性ノイズを低減することに成功した。 従来の過去画像を加算するリカーシブフィルタに代表される時間フィルタや周波数変換によるノイズ除去方式とは異なり,FPDの鮮鋭度を保ち,残像を抑えた透視・撮影像を提供する。
また,画像の高輝度部と低輝度部の明るさを自動補正するデジタル補償フィルタ機能(DCF)により,最も観察しやすい濃度の画像に調整する。
●Ultimax-iシステムの特長
1. 動態診断をサポート
透視自動記録機能により,透視画像を常時メモリに記録し,透視終了後に再生や保存をすることができる。 嚥下や関節の検査においてX線照射を繰り返すことなく動態観察することが可能。
2. 患者さんへのアプローチが容易
天板の左右両側にワーキングスペースを確保して,内視鏡検査,超音波検査,カテーテル検査などでの使いやすさを向上させた。
3. 高画質な画像と静かな検査環境を提供
国内メーカで初めてX線TVシステムに液体金属ベアリングx線管装置を採用したことにより,管電流100mAのパルス透視による高画質の透視画像と,0.3mmの小焦点撮影による高精細の撮影画像が得られる。 また,液体金属ベアリングの採用により騒音が大幅に低減し,静かな検査環境を提供する。
4. 患者さんの乗降りが容易
寝台を立てて患者さんを乗せるとき,高齢者や腰の曲がった方は体が前傾して転落する危険性がある。操作卓から「あんしん起倒モード」を選択すると,立位になる手前の角度で一時的に停止するため,その位置で患者さんを降ろすことができる。また,「水平乗降モード」を選択すると天板が下がるため,患者さんを腰掛けて乗せることができる。 |