※2009年8月31日 カリフォルニア州アーバイン発リリース翻訳・編集
8月31日,人工心臓弁技術の世界的リーダーであるエドワーズライフサイエンス社は,無作為化対照IDE*
試験(臨床試験)を実施していた経カテーテル大動脈弁“Edwards SAPIEN”(以下Edwards SAPIEN弁)の1,040名の症例登録が完了したと発表した。
*IDE - 治験医療機器に対し一部規制の適用が免除される制度
「PARTNER試験」と呼ばれるこの臨床試験の外科・内科治療比較群の登録(後述)は完了したが,今後も適用となる患者さんが現れた場合には引き続きEdwards SAPIEN弁が使用できるよう米国食品医薬品局(FDA)から認められている。
「重度の大動脈弁狭窄症を患うリスクの高い患者さんにとって,従来の外科治療は必ずしも現実的な選択肢ではなく,今回の経カテーテル治療法を十分な情報に基づいて評価できるのは医療界にとってすばらしいことです」と,ニューヨーク・プレスビテリアン医療センター/コロンビア大学メディカルセンター心臓外科部長代理兼心臓外科チーフ,コロンビア大学医学部外科教授で,当試験の責任医師であるクレイグ スミス医師は語っている。
多施設で行われるこのPARTNER(Placement of AoRTic traNscathetER valves)試験では,患者さんを2つの治療比較群に分類している。「内科治療比較群」では,Edwards SAPIEN弁を内科的治療法と比較し,「外科治療比較群」では,Edwards SAPIEN弁を従来の外科的な大動脈弁置換術と比較する。PARTNER試験では,登録した各症例について1年間の経過観察を行った後に評価される。すでに経過観察は始まっており,今後も継続する予定。
ニューヨーク・プレスビテリアン医療センター/コロンビア大学メディカルセンター,心臓血管インターベンション治療プログラム(CIVT)アソシエート・ディレクター,コロンビア大学医学部教授で,米国PARTNER試験の共同試験責任医師であるマーティン B.レオン医師によれば,大動脈弁狭窄症という重篤な問題を抱えた患者さんを,より侵襲性の低い経カテーテル法で治療するという使命をもって,様々な専門家が集まり,PARTNER試験の臨床チームが結成されたとのこと。
「重篤な症状に苦しむ患者さんには早急に治療を行う必要があり,登録終了後にあっても,この救命に役立つ技術を引き続き使用できることを非常に嬉しく思います。また,この画期的な成果を得るために尽力してくださった試験責任医師の皆さんにも感謝いたします」とエドワーズ社経カテーテル大動脈弁置換術担当バイスプレジデントのラリー L. ウッド氏は述べている。
エドワーズは,経大腿アプローチ(大腿動脈から人工弁を挿入)と経心尖アプローチ(皮膚を小切開し,肋骨の間から人工弁を挿入)の2つのデリバリーシステムをヨーロッパで販売している唯一の企業である。Edwards SAPIEN弁は2007年後半にヨーロッパにて発売され,数千人のリスクの高い患者さんが治療を受け,9件の科学的試験においてその評価が行われている。Edwards SAPIEN弁に関する新しい臨床データは9月21日からサンフランシスコで開催される「第21回経カテーテル心血管治療(TCT)シンポジウム」で発表される予定。 |