GEヘルスケアグループの日本法人であるGEヘルスケア・ジャパン(株)は9月1日(火),生体分子精製用液体クロマトグラフィーシステム※1の新製品「ÄKTAavant 25(アクタ アヴァント 25)」を,国内の製薬企業を主対象に発売する。
ÄKTAavant 25は,1996年の発表以降既に3,000台の納入実績を誇り,国内の生体分子精製用液体クロマトグラフィーシステムの業界標準となっている「ÄKTAdesign(アクタ デザイン)※2」の最新装置。最大の特長は,抗体医薬品※3をはじめとするバイオ医薬品製造工程の開発や条件検討をスピードアップすることで製造プロセスの効率化の一助となる点である。
抗体医薬品は,副作用の少ない安全性の高さと幅広い対象疾患が特長で,現在世界的に急ピッチで開発が進められている一方,治療時の投与量の多さや高い製造コストに伴う患者負担の増大が課題として挙がっている。ÄKTAavant 25は,適切な精製条件および堅牢性をDoE※4(実験計画法)を用いて短時間に解析可能にしたほか,流速特性の高い担体に対応できるポンプ性能を搭載したため,バイオ医薬品製造工程の効率性や経済性を格段に向上することが可能。
同社は1982年に「FPLC System(FPLCシステム)」を発売して生体分子精製用液体クロマトグラフィーシステム市場に参入して以来,1996年には初代のÄKTAdesignシリーズ「ÄKTAexplorer(アクタ エクスプローラー)」,2004年には多段階クロマトグラフィーの全自動処理を行う「ÄKTAxpress(アクタ エクスプレス)」を相次いで市場投入し,バイオ医薬品の開発や製造に携わる製薬企業や国公立研究機関などに対して,作業効率の改善,時間やコストの削減に貢献する機器および試薬を提供してきた。50年におよぶタンパク質精製技術,ならびに20年以上にわたる精製システム開発の経験を結集して製造された同社の各種製品は市場の高い評価を獲得しており,中でもÄKTAdesignシリーズはこれまでに全世界で10万人もの研究者に採用されている。
●主な特長
- UNICORN※5にDoE機能を新たに追加,理論上の最適精製条件の設定に必要な実験回数を削減
- オンラインでのバッファー自動調製機能を搭載,1条件につき約30分の時間短縮を実現
- UNICORNに採用されている精製工程のプログラミング方法を従来のウィザード方式からドラッグ&ドロップ方式に変更,より簡単かつ柔軟なプログラムの作成・編集が可能に
- 2次元バーコードによるカラム情報の自動認識を実現,データベースによるカラム使用履歴の管理が可能に
※1 生体分子精製用クロマトグラフィーシステム:抗体に代表されるタンパク質やペプチドなどの生体分子を精製する装置
※2 ÄKTAdesign(アクタ デザイン):1996年に発表されたGE Healthcare(旧 アマシャム バイオサイエンス(株)/アマシャム ファルマシア バイオテク(株))の液体クロマトグラフィーシステムシリーズ。全世界で10万人の研究者に対する採用実績を誇る
※3 抗体医薬品:体内に侵入した特定の異物(抗原)に結合して,その異物を排除する「抗体」の性質を利用した医薬品。
有効な治療法が確立されていないがんやアルツハイマー,そしてリウマチなどの自己免疫疾患を中心とした研究が全世界で進んでいる
※4 DoE(Design of Experiments):実験計画法。効率のよい実験方法をデザインし,結果を適切に解析することを目的とする統計学の応用分野
※5 UNICORN(ユニコーン):ÄKTAdesignシリーズのシステム制御ソフトウェア。使いやすいインターフェースや自動解析機能,レポート作成機能などが特長 |