ITホールディングスグループのAJS(株)(以下AJS)は,業界初のチームコミュニケーション機能を搭載した放射線情報システム Dr.View®シリーズの新製品「Dr.View®/RTiS(Radio Therapy Information System)」を4月より発売することを発表した。Dr.View/RTiS は,放射線治療において,治療の方針決定,治療準備,診察,治療,フォローアップまでをトータルでサポートする放射線治療情報システムである。本製品は,がん診療連携拠点病院として指定されている岩手県立中部病院への導入が決定している。
なお,本製品は、「2009 国際医用画像総合展(ITEM2009)」
に出展される。
(ブース No. 438)
日本国民の死因第一位であるがんについては,「がん診療連携拠点病院制度」が設置されるなど,厚生労働省や国立がんセンターをはじめ様々な対策が行われている。中でも,がん治療における放射線治療は,専門的な知識・技能を持つ医師や看護師,放射線技師らによるチーム医療が重視されている。一方,様々な分野の専門家が参加するため,チーム間でのシームレスな情報共有はチーム医療を成功させるための要といわれている。しかしながら,治療の全フェーズを総合して管理,情報共有できるシステムが存在していなかった。また,政府のIT新改革戦略を受けて,厚生労働省は医療情報の高度化を推進する「医療・健康・介護・福祉分野の情報化グランドデザイン」を2007年に策定しており,医師や看護師の減少や医療現場の効率化などを支援するITの導入は欠かせないものになっている。
こういった背景を受け,Dr.View/RTiS は,放射線治療における現場のチーム医療の促進と,治療の全フェーズでの情報共有を支援するために開発された。このシステムを導入することで,医師・技師・看護師の三位一体での治療実施が不可欠な放射線治療において,コミュニケーションを促進し,刻々と変化する患者様の状態を迅速且つ正確に情報共有できることから,患者さんにより良い放射線治療の提供を可能にする。
●主な機能
(1) コミュニケーション促進 <チーム医療支援機能>
医師・技師・看護師による患者様の情報共有機能が,Dr.View/TeamMessenger。システム上のやりとりが自動的に記録・通知され,医療現場における必要なコミュニケーションを円滑化するメッセージツール。また,緊急時に連絡・指示が必要な担当部署と作業伝達経路を事前登録しておくと,ボタン1つで緊急事態の発生通知,作業指示,作業フローの支援が可能になる。
※Dr.View/TeamMessenger は特許出願中
(2) 良質な放射線治療の提供 <治療方針選択支援機能・症例マネージメント機能>
放射線治療の治療方針の検討を行う際に,システム上に登録された症例を検索してEBM
(Evidence-Based Medicine)に基づく治療方針決定をサポートする。さらに,症例マネージメント機能により,システム内に登録された症例情報に加え,地域がん登録,日本放射線腫瘍学会 (JASTRO)の症例データ等も治療に活用でき,放射線治療をサポートする。
(3) ユーザインターフェイス <スマートな画面と操作性>
ログインユーザ毎に適切にカスタマイズされた患者さんの治療経過画面を展開・表示する。また,思考を妨げないデータ入力や正確に表示項目を確認できることで,ストレスなくシステムを使用することができる。
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Dr.View/RTiS システム連携図 |
今回発表するDr.View/RTiSは,4月に岩手県の花巻厚生病院と北上病院が統合して新たに設立した「岩手県立中部病院」への導入が決定している。本病院は,岩手中部地域のがん診療連携拠点病院に認定されており,県内初の緩和ケア病棟や岩手中部地域で初めてがんの早期発見に有効な陽電子放出断層撮影装置(PET)を導入するなど,がん治療の中心施設としての役割を担っている病院。
岩手県立中部病院の放射線科 科長 小原東也先生は以下のように語っている。
「当病院は,がんの早期発見のための診断から,手術や化学療法,放射線治療を含むがん治療,および緩和ケアなどをトータルに提供することで,患者様やご家族に安心して治療に専念いただける環境整備に努めています。がんの放射線治療は,身体的な負担の少ない治療方法として注目されており,診療科を超えたチームワークが必須な治療方法です。今回導入を決定した放射線治療情報システムのみならず,がん治療に不可欠な情報共有をサポートしてくれるITシステムが,今後も多く開発され,より良い治療を患者様に提供できる医療環境の実現に貢献してくれることを期待しています。」
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