GEヘルスケアグループの日本法人であるGE横河メディカルシステム(株)は4月8日(水)から移動型デジタル式汎用X線透視診断装置の最上位機種「OEC 9900 Elite(オー・イー・シー9900エリート)」を,大学病院や地域基幹病院などの大規模医療機関ならびに循環器をはじめとする専門クリニックを主対象に発売する。
OEC 9900 Eliteは,2004年1月に発売した電動制御型Cアーム搭載の移動型デジタル式汎用X線透視診断装置「OEC 9800 Plus」の後継機種で,OECシリーズの最上位機種。移動可能な外科用X線装置でありながら,据置型血管撮影装置と同等の画像撮影・処理技術を搭載することで,高度化が進むインターベンションにおける的確な術者支援を実現し,医療機関のニーズに応える。
OEC 9900 Eliteの高画質を実現するのが,GE製据付型デジタル式循環器用X線透視診断装置Innova(イノーバ)シリーズにも採用され高い評価を獲得している画像処理技術「ダイナミックレンジマネージメント(DRM)」。 ステントグラフトをはじめとする高機能デバイスを使用した大動脈瘤や冠動脈プラークの手術など,血管内治療の高度化に伴い,患部やデバイスなどの一段と高い視認性が要求されている。従来視認性を向上するには,Windowingのような画像全体のコントラストの変換が主流であったが,画質が向上されるのが特定部位に限られるという問題があった。OEC 9900 Eliteでは,新画像処理技術「ダイナミックレンジマネージメント(DRM)」を搭載,骨や軟部組織,デバイスなど画像情報を構成する複数の空間周波数成分を的確に処理することで,血管ならびにデバイス両方の視認性向上を実現している。この最先端の画像処理技術によって,OEC 9900 Eliteは高度化するインターベンションにも対応可能な画像を描出する(図参照)。
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従来機種(左)とOEC 9900 Elite(右)で撮影した血管造影画像
GE独自のDRMにより、血管を明瞭に描出 |
また,OEC 9900 Eliteでは術者の操作性・生産性も大幅に向上している。従来は撮影条件を一つずつ手入力していたが,OEC 9900 Eliteは心臓や脊椎など撮影部位に応じた最適な条件を自動的に設定する「アナトミカル・プロファイル」機能を搭載,ワンタッチで最適な撮影条件の設定を実現することで迅速な手技が要求される手術環境に適応する。
また,1回の造影剤注入と1回の撮影で全下肢領域の血管や大動脈全体を高画質で描出する動体向け画像処理「モーショントレランスサブトラクション(MTS)」機能を搭載し,造影剤使用量の低減,ならびに患者および術者の被ばく低減に貢献する。
●その他の特長
- 医療用画像通信プロトコルの標準規格DICOM(ダイコム)に準拠しているほか,DICOMビューア−機能も搭載しており(オプション),磁気共鳴画像診断装置(MRI)やコンピューター画像診断装置(CT)などの画像診断機器,ならびに内視鏡で撮影した画像を表示可能。複数の診断装置(マルチモダリティ)の画像の観察も特別なビューアーなしで可能
- シリーズで初めて,高輝度液晶モニタを採用。同モニタを伸縮自在アームに取り付けることで,常に最適な位置にモニタをセットした上での手技が可能となり,術者の利便性を向上
- 米ゼネラル・エレクトリック(GE)が特許を有する冷却効率を高めるヒートパイプ技術を搭載した新型のX線管球を搭載し,長時間におよぶ循環器検査およびインターベンションにおける耐久性強化を実現。これに伴い,管球冷却のための待ち時間を短縮し,患者の検査時間短縮にも寄与
- 患者のテーブルサイドに,電動Cアームの回転操作用のジョイスティック,ならびに撮影および透視モードの設定ボタンなどを組み込んだコンソールを設置することで,据え置き型血管撮影装置と同等の操作が可能
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