在日米国商工会議所(ACCJ)医療機器・IVD 小委員会(以下,ACCJ 医療機器・IVD 小委員会)は,日本人の先進医療技術に対するアクセスを向上させるひとつの手立てである,デバイスラグの解消に向けて施策提言を発表した。これは「申請前ラグの解消」「審査期間の短縮」「総合機構の採用と教育研修」という3方面から検証し提言をしている。この提言は,このほどACCJが独自に行った医療機器の申請・承認に要する時間や課題に関する「2008年デバイスラグ調査」結果に基づくものである。
主な提言内容(抜粋)は,以下の通り。
■申請前ラグの解消
- 原材料記載の簡素化など,すでに実施中の取り組みに対して,大胆な判断に基づく,大胆な決定が必要
- 企業は「臨床評価」の手法を積極的に取り入れた相談及び承認申請を行い,総合機構はこれを積極的に受け入れる
- 機構相談には,質・量ともに充実した審査員の配置と相談プロセスの効率化が必要
- 米国または欧州で医療機器として認可されたニーズ機器は,日本において,より効率的かつ合理的な審査により,文字通り早期の承認が与えられるべき
■審査期間の短縮
- 審査及び相談の根底をなす理念及び原則としてLeast Burdensome Approach(最小負担化アプローチ)を導入し,医療機器の安全性と有効性を確保しつつ,審査期間を短縮するため,あらゆる合理的な手段を用いる
- 総合機構は,毎年のパフォーマンスゴールを定め,審査員一人ひとりが目標達成に意欲を持って取り組むべきである
- 新規と後発の審査を分離するなど,審査要求事項や規制に対する大胆な取り組みが必要
- 第三者認証の対象機器の範囲をクラスU品目の全てに拡大
■総合機構の採用と教育研修
- 審査や相談を効率的かつ効果的に行うには,民間からの積極的な採用も含め審査員を大幅に増員し,工数に応じて配置
- 増員された審査員が一日も早く即戦力となるよう,製品知識や審査にかかる技術的向上のための体系的教育プログラムを導入
提言書の全文は,以下のウェブサイト参照。
ACCJ: http://www.accj.or.jp/doclib/advocacy/20081204MDDwp.pdf
■用語の定義について
- 「申請ラグ」:申請前の遅れ。米国食品医薬品局(FDA)申請日から総合機構申請日までの期間
- 「承認ラグ」:申請後の遅れ。総審査期間の日米差
- デバイスラグ:「申請ラグ」と「承認ラグ」を足したもの
- PMA: Pre-Market Approval Application(市販前承認)患者や機器使用者に影響を及ぼす可能性のあるリスクの程度によってFDA が分類した3 クラス(Class T,U,V)のうち,生命や健康面などへのリスクが大きく,高度管理を要する ClassVに分類された医療機器の大部分(例:血管手術用レーザー,メディカルバルーンなど)に対し,その安全性と有効性を証明するために必要とされるデータ(臨床データを含む)のFDAへの申請
- PMA 相当製品:日本で承認された品目であって,米国でPMA申請をし,承認された品目
- 510(k):Pre-Market Notification(市販前届出)患者や機器使用者に影響を及ぼす可能性のあるリスクの程度によってFDAが分類した3クラス(ClassT,U,V)のうち,ClassUに分類される医療機器の大部分(例:輸液ポンプ,移植用脊椎矯正用具など) に対し,アメリカで流通している既製品と同等の安全性と有効 性を証明するために必要とされるFDAへの届け出
- 510(k)相当製品:日本で承認された品目であって,米国で510(k)(市販前届出)申請をし,認可された品目
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