ドイツ・バイオトロニック社の日本法人,バイオトロニックジャパン(株)は,現在発売している最新型の植込み型除細動器(ICD)および両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)の販売を強化する。これら最新型の心臓植込み型デバイスにはホームモニタリング機能が備わっており,このホームモニタリング機能によって,医師が患者の日々の心臓データを遠隔で確認することができ,患者の不安を軽減することができる。また心房細動などの影響のある心イベントの早期発見および早期治療開始に役立つ。
バイオトロニック社のホームモニタリング機能を搭載した心臓植込み型デバイスを植込んだ患者が,専用中継器を自宅に設置することで,その患者の心内心電図などの詳細な情報や植込み型デバイスのデータが,毎日全自動で同社の国内専用サーバーを経由し,ドイツ本社にあるサービスセンターに蓄積・管理される。医師は専用のインターネットサイトにログインすることでこれらのデータをいつでも確認することができ,継続的に患者の心臓の状態やデバイスの状態を遠隔でモニタリングすることができる。またこのシステムによって医師が確認すべき情報が報告された場合には,病院のパソコンや担当医の携帯電話にメールで知らせる仕組みになっている。
このホームモニタリングシステムは,患者が常に感じている植込み型デバイスの動作や導線の状態への不安などの心理的負担を軽減でき,患者の安心感につながる画期的なシステムと評価されている。また遠隔モニタリングにより,従来の外来による定期フォローアップ検査よりも早期に心房細動などのリスクを発見し,速やかに脳梗塞予防のためなどの処置を取ることができる可能性がある。
ホームモニタリング機能付き心臓植込み型デバイスについて,東京女子医科大学循環器内科准教授の庄田守男先生は,「ホームモニタリングは医療に革命を起こすものであり,患者さんだけでなく医療従事者の負担も減らし,医療費削減による経済効果も期待されています。日本でも早期に運用が開始され日本の患者さんがホームモニタリング機能の恩恵を受けられるようになることを希望しています。」と述べている。
同社の業務執行取締役であるワーナー・ブラウン氏は,「弊社は世界で最初に心臓植込み型デバイスに遠隔モニタリング機能を搭載させたメーカーであり,本システムは世界でも高い評価を頂いております。日本で初めてのワイヤレスかつ全自動のモニタリング機能付き製品であり,販売体制を構築し関係各所との連携を図りながら,心臓植込み型デバイスの遠隔モニタリングのパイオニアとして,日本の患者さんおよび医師にとって最適なマネジメントを提供できるよう尽力してまいります。」と述べている。
日本では,厚生労働省の「新医療機器・医療技術産業ビジョン」でイノベーション促進のための具体的な施策として,遠隔医療の推進とIT機器の開発および利用の促進を支援しているが,ホームモニタリング機能付き心臓植込み型デバイスとシステムは,今後心臓植込み型デバイスを入れている患者のマネジメントにおいてスタンダードとなる機能として評価されている。現在では,心臓植込み型デバイスを入れた患者は病院で定期的な点検,管理を必要とするため,年々外来数が増加し,病院での患者フォローアップが限界に達しています。ホームモニタリングシステムは遠隔で一度に多数の患者のデータを解析することで,高齢化社会や医師不足,医療費の増大が問題となっている現在の医療システムに貢献する。同システムは既に世界50カ国,2700施設,13万人以上の患者に使用されている。また,米国不整脈学会では,今後の心臓植え込み型デバイスは遠隔モニタリング機能付きであることが推奨されている。 |