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GE横河メディカルシステム
次世代マルチスライスCT
「CT750 HD(CT750エイチディー)」を発売

(2008/10/17)

●価格
36億円
●問い合わせ先
GE横河メディカルシステム(株)
広報グループ
TEL 042-585-9249
http://www.gehealthcare.co.jp

CT750 HD(CT750エイチディー)

 GEヘルスケアグループの日本法人であるGE横河メディカルシステム(株)は10月17日,次世代のコンピューター断層撮影装置(CT)「CT750 HD(CT750エイチディー)」を,大学病院,地域の基幹病院および大規模医療施設などを主対象に発売する。

  CT750 HDは米ゼネラル・エレクトリック(GE)の中央研究所における開発を含め,次世代マルチスライスCTの技術を集大成し製品化に成功した世界初のハイデフィニション・マルチスライスCT。同装置は,GEが1989年に世界初となるマルチスライスCTを発売して以来,これまで各社が技術革新を競ってきたスライスの多列化の歴史に区切りをつけ,CT画像の原点に立ち返って,一から開発を積み重ねた次世代CTの技術「HD(ハイデフィニッション)CTテクノロジー」を結集したCTである。医療機関から最も高いニーズがある1スライスごとの分解能の飛躍的な向上を図り,臨床的にはこれまで困難であった不安定狭心症リスクの早期診断と的確な治療方法の選定や慢性閉塞性肺疾患の早期診断を可能とするなど,医療機関に新たな「確信」をもたらす。 GEの掲げる次世代CTのビジョン「See More, Know More, Less Dose」を様々な革新的技術で具現化させ,心臓を始め全身領域にわたるCTの画像診断を大きく飛躍させるこのCT750 HDは,次世代マルチスライスCTの新たなスタンダードとなる可能性を秘めた「CTを超えたCT」である。

●「See More」−よりクリアで飛躍的な写像性(鮮明度)を実現した画像の提供

CTで初めてガーネットを使用した新型「Gemstone」検出器を搭載,断層像1枚ごとの画質を向上
体内を透過してきたX線を光に変換する検出器(ディテクター)のシンチレーター素材は,これまでの20年以上にわたるCTの技術開発の過程においても,従来の重金属の化合物から全く変わることがなかった。CT750 HDでは,高い光学特性を有するガーネットの分子構造を応用した新開発の素材をシンチレーターに採用,従来に比べて約100倍のX線反応速度や優れた透明度,硬度,そして安定性を実現している。人工ガーネットを素材として使用する検出器は同装置が世界初。
GEは人工ダイヤモンドを世界で初めて開発し,様々な製品供給をしてきた実績を持つなど,世界有数の人工石の開発・加工技術を有しており,人工ガーネットもその一環として研究を重ね,今回ついに一つの技術として実を結んだ。
この新型「Gemstone(ジェムストーン)」検出器の最大のメリットは,CT画像の根幹であるアキシャル画像(断層像)において,小さなモノを識別する能力である空間分解能を大幅に向上したことである。フルレンジ時の中心分解能は世界最小の230マイクロメートル(1000分の1ミリメートル)を実現し,従来製品と比べて33%も向上したほか,オフセンターの分解能も47%以上改善するなど,断層像1枚ごとの画質を格段に高めた。臨床的には,冠状動脈内腔をより高精細に描出できるようになるため,狭窄部位のプラーク性状評価診断能の向上や,今や世界の死亡要因の第4位となっている慢性閉塞性疾患(COPD)などの診断に必要な抹消肺気管の描出が可能になるなど,早期発見・早期治療に大きく貢献する。

●「Know More」−従来のCTでは得ることのできなかった臨床情報の提供

1. 単一の管球によるX線エネルギーの高速スイッチングを実現する「Gemstone Spectral Imaging」搭載で,機能診断に貢献
X線が透過物質の質量によって吸収強度を変化させる性質を利用し,2つの異なるX線エネルギーを使用して重ね合わせる撮影方法が「デュアルエナジー」。新たな臨床情報を収集することができるが,X線管球や検出器を複数ペア使用する従来の方法では,画像診断に必要な視野の確保が制限されるなどの問題点があった。
新開発の「Gemstone Spectral Imaging」方式は,単一の管球と検出器を使用し,異なるX線エネルギーを高速でデジタルスイッチングさせ,また1回転に収集する画像サンプルの密度を上げることで,アーチファクト(虚像)をなくした高画質かつ大きな視野を確保したデュアルエナジー撮影が可能。さらに,物質が個別に有するエネルギーの透過性の違いを利用し,見たい物質がもっとも見やすいエネルギー値で画像を作ることが可能になり,従来のCTでは不可能であった臨床情報の取得が可能になる。例えば,骨と血管が複雑に絡み合う頭蓋底部における動脈瘤と骨の分離や,血管内プラークの性状識別と分析など,機能・性状診断において大きく貢献する。


2. 500スライスに相当する広範囲の高画質撮像を実現する新技術「ボリュームヘリカルシャトル」を搭載
検出器の列数を増やすことなく,500スライス相当の広範囲の撮像を可能にする技術が,「ボリュームヘリカルシャトル」。従来のCTは,撮影時の撮影テーブルの加速・減速中にデータを収集できないため,撮影の前後に無駄な空白時間が発生し,撮影範囲に制限があった。「ボリュームヘリカルシャトル」では,撮影テーブルの加速・減速時にもデータ収集を可能とし,この空白時間を最大限削減することで,最大312.5 mmの広範囲において500スライスの撮影を可能としている。また,撮影した画像から時間軸をもった4D画像(リアルタイムの3次元画像)を作成することが可能である。
「ボリュームヘリカルシャトル」により,例えば約250 mmの肺野領域において,心臓から上向大動脈と大動脈弓部を経て下向大動脈に至る血流,ならびに肺静脈の4次元CTアンギオグラフィー(血管造影撮影)が可能になる。CT画像から非侵襲的に血流状態を把握できるようになるため,これまで術前や術後に実施していた侵襲的な検査が不要になり,患者の負担が大幅に低減する。

●「Less Dose」−画質を犠牲にすることなく,飛躍的な被ばく低減の実現 画像再構成の新技術による飛躍的な被ばく低減の実現

既にPET(陽電子放射断層撮影装置)やガンマカメラなどでは実用化されている画像再構成技術「遂次近似法」を,米国内の3大学と8年以上に及ぶ共同研究により,CTに応用して開発された「Adaptive Statistical Iterative Reconstruction(ASIR)」は,微弱なX線からの信号からでも,従来はできなかった高精細画像の再構築を可能にした。これにより,低被ばくでありながら高画質な画像の提供を両立させることができる。また,Volara Digital Acquisition System(DAS)の機能を強化するなど,イメージチェーン全般での新技術の採用により,総合的に被ばくの低減を実現している。