シーメンスヘルスケア中国は,5月18日に四川省の省都にある四川大学華西病院と,成都から70キロ離れた震源地に近い綿竹市にある病院との間で遠隔診断システムを設置した。これは地震の被害により道路事情が悪く,迅速な診断が困難な現地の状況を受けて,シーメンスヘルスケア中国と四川大学華西病院 (Huaxi Hospital of Sichuan University) ,華西公共医療情報サービス社(Huaxi Public Medical Information Service Co., Ltd.)および成都テレコム (Chengdu Telecom)との協力体制のもと実現したもの。このシステムを通じて5月26日までに,およそ600名の遠隔診断が行なわれた。
地震による被災者の救済には迅速な診断が欠かせない中,震源地に近い内陸部では,地震による劣悪な交通事情により医療班の救急救命が困難な状況にある。今回の遠隔診断システムを通じて,成都の熟練した医師たちが現場の医療班へ適切な助言をすることにより,迅速かつ正確な診断が可能となった。さらに患者輸送に伴う時間とコストを省き,医療従事者の救済活動に伴うリスクを低減するとともに,負傷者の救済に貢献した。
華西病院の院長であるShi Yingkang教授によると,同院は救済活動において中心的な役割を果たす医療施設として,中国全土から熟練した外科医やICUの専門医を招集しており,この遠隔診断システムは診断の効率性を大きく向上させるとして医療現場でも高く評価されている。また,今後は災害以外の局面でも,特に地方や遠隔地において低コストで医療の効率性を高めるシステムとして期待されている。 |