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オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス
「C型肝炎検査」に関する国民意識調査を実施

(2008/5/8)

●問い合わせ先
オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス(株)
マーケティング
TEL 03-4411-7322
http://www.ocd.co.jp/

 ジョンソン・エンド・ジョンソングループの臨床診断検査薬・機器等を扱うオーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス(株)は,20歳以上の一般国民1,041人を対象に,「C型肝炎検査」に関する意識調査を実施した。(実施期間2008年1月30日から2月11日,質問表を使った個別訪問調査)

 その結果,C型肝炎検査を受けたことがある人は20%に満たず,未受診理由は,「自身は感染していないと思っている」,すなわち自分には関係ないと思っていること,次に「受診するきっかけがなかったこと」が大半を占めていた。肝炎ウイルス検診の受診率を上げるためには,感染している可能性は誰もがもっていることを周知すると同時に,特定健康診査や職域検診等の検査受診時に,同時に「HCV(C型肝炎ウイルス)検査(以下,C型肝炎検査)」の受診機会を提供することが,1つのきっかけになると考えられるようだ。

(1) C型肝炎ウイルス検査(以下C型肝炎検査)を受けたことがある人はわずか18.1%
『C型肝炎』に関する認知について尋ねたところ,「知っている」という回答は92.4%(962人/1,041人)と非常に高く認知されていたが,「あなたご自身は,C型肝炎検査を受けたことがありますか?」という質問で,受けたことが「ある」と答えた人は,18.1%(174人/962人)と非常に低いことがわかった。男女別に見てみると男性15.1%(70人/465人),女性20.9%(104人/497人)となり,特に50-59歳台では女性25.5%と比較し,男性は14.6%と,男性の方が低いことがわかった。

(2) C型肝炎検査を受けていない理由は,「自分はC型肝炎にかかっていないと思っているから」 34.8%,「何となくきっかけがないから」 25.1%
C型肝炎検査を「受けたことがない」,「わからない・覚えていない」と答えた787人に,C型肝炎検査を受けていない理由をきいたところ,「自分はC型肝炎にかかっていないと思っているから」が34.8%(274人),「何となく受けるきっかけがないから」が25.1%(198人),「検査の存在を知らなかったから」が17.5%(138人)であった。この3つの回答だけで,あわせて約8割を占めている。

(3) C型肝炎検査を受けていない人で,これから「必ず受けてみたい」人は,わずか3.0%,「できるだけ受けてみたい」人,「やや受けてみたい人」まで含めても34.7%
C型肝炎検査を「受けたことがない」,「わからない・覚えていない」と答えた787人に,「これからC型肝炎検査を受けてみたいと思いますか」と質問したところ,「必ず受けてみたい」と答えた人は3.0%(24人),「できるだけ受けてみたい」が17.7%(139人),「やや受けてみたい」が14.0%(110人)と,受けたいという意向を示したのは34.7%のみであった。他の回答では,「どちらともいえない」が47.4%(373人),「受けたくない」が13.6%(107人)であった。

(4) 2008年4月から実施される特定検診(いわゆるメタボ検診)の際に,同時にC型肝炎検査が受けられたら「必ず受けてみたい」人は19.0%に増加し,「できるだけ受けてみたい」人,「やや受けてみたい人」まで含めると67.0%の人が,メタボ検診と同時にC型肝炎検査を受けてみたいと考えている。
(3)と同様にC型肝炎検査を「受けたことがない」,「わからない・覚えていない」と答えた787人に,「本年4月から実施される特定検診(メタボ検診)受診時に,同時にC型肝炎検査が受けられたらどう思いますか」と質問したところ,「必ず受けてみたい」と答えた人は19.8%(156人),「できるだけ受けてみたい」が32.1%(253人),「やや受けてみたい」が19.2%(151人),「どちらともいえない」が23.5%(185人),「受けたくない」が4.7%(37人)であった。このように,検査を受ける機会,きっかけを提供することが,検査の受診率向上に結びつく可能性が示唆された。

広島大学名誉教授 吉澤浩司先生のC型肝炎と肝炎検診に関するコメント。
『現在日本国内には100万人〜150万人の「C型肝炎ウイルス(HCV)」に感染している人が,本人の気付かないままの状態で潜在していると推定されています。肝がんの主な原因はHCVの持続感染であるため,HCV検査を受診し,自身の感染を見出すことは非常に重要です。HCVは血液を介して感染しますが,わが国では1989年にHCVスクリ−ニングが実施される以前の輸血医療の他に,注射器の使い捨てが徹底される以前の医療行為や民間療法,入れ墨など,さまざまな経路で一般国民に広がっており,誰もがHCVに感染している可能性をもっていると言っても過言ではありません。ただ,昨今のフィブリノーゲン投与に伴う肝炎訴訟など社会問題を通じて国民に広まったこともあり,C型肝炎の認知は薬害等,特別のものであると誤解されているきらいがあります。その結果,手術歴や輸血歴のない人のC型肝炎に対する意識が希薄だと感じます。検診を通じて見出されたHCV感染者の中には,感染の機会が不明という場合が非常に多いことからも,HCV感染の問題は対岸の火事ではありません。国民の1人1人が自分の健康を守るために,一度は検査を受けるようにいろいろな手法を用いて啓発を継続しなければなりませんし,同時に検査を受診できる機会,きっかけの提供を強化しなければなりません。 2002年から2007年までは,老人保健法により,肝炎ウイルス検診が基本健康診査受診時に同時にうけることができました。この検診は40歳以上を対象とし,2006年までの実績で約860万人の人がHCV検査を受診し,その結果,約10万人のHCV感染者が見つけられました(感染率は1.2%)。ただしこの検診では,各種の組合健康保険に加入するサラリ−マン等は対象外でした。その結果,40歳〜60歳男性の検査受診率が低くなっており,これらの人々が肝炎ウイルス検査を受けられるような体制づくりが急務と考えられます。国は,本年1月から2009年3月までの一年間にかぎり,医療機関に委託して肝炎ウイルス検査を「無料」で受診できるようにしています。また企業が実施する職域検診や人間ドック自体の受診率は非常に高く,本年からは特定検診が導入されることもあり注目を浴びています。これらの検査時には必ず採血をするわけですから,同時にHCV検査が受診できるように整備がなされれば,受診率は大きく向上すると考えられます。最終的に肝がんを未然に防ぐためには,すべての一般市民が,一度は検査を受診できるような環境の整備が急務であると言えます。』