(株)ワコムが提供するセンサーシステム「Wacom Penabled®
Technology (ワコム・ペナブルテクノロジー)」が,2008年5月から世界各国で発売される医療機関向けモバイルPCの入力インターフェイスとして採用された。このPCは,ロイヤル
フィリップス エレクトロニクス社(本社:オランダ)が開発した「CliniScape (クリニスケイプ)」。
CliniScapeは,ペン入力機能を標準搭載したWindows Vista®をOSとして,医療機関において必要なさまざまな機能をひとつのパッケージにしたモバイルPC。仕様は,インテル社が策定した医療用携帯情報端末のプラットフォーム「モバイル・クリニカル・アシスタント
(MCA)」に準拠している。このため,無線機器やバーコードリーダー,カメラなどとの接続拡張性を持ちながら,医療現場の誰もがすぐに使いこなして最大限に活用できるように,人間工学に配慮して片手でも操作しやすい形状と軽さで,扱いやすい設計になっている。
同社のセンサーシステムは,CliniScapeの入力インターフェイスとして機能する。このインターフェイスで入力操作をすると,医師や看護師が電子ペンを使ってディスプレイに直接手書きで情報を入力する,簡単な描画を加える,システムを操作するなどを直感的に行うことができる。また,手に持ったままでも自然に医療行為を行えるように使いやすく設計されており,カルテなどの資料を持ち歩く必要がない。さらに,医療機関内のシステムとは無線で接続して,診察に必要な情報を瞬時に利用することができる。例えば,ベッドの傍らで患者とコミュニケーションを取りながら,CliniScapeで電子カルテなどに医師の所見や処置のスケッチを電子ペンで迅速に記録することができる。このようにしてCliniScapeは,紙とペンを扱うような使い勝手の良さを持ちながら,診療記録を作成・共有するインフラの一部として活用することができる。
近年の医療機関では,電子カルテや診断画像に手書きで直接診断記録を残したり,医師の自署名を入力するなど,業務の電子化が進んでいる。同社ではこれらの用途の他,金融や保険,流通などの分野でも,ペンを使用した電子書類への書き込みや機器操作の需要が今後広がると見込んでいる。今後もさまざまな関連ソリューションを開発して販売拡大を狙う。
【ワコム・ペナブルテクノロジーについて】
同社は,タブレットPC向けに開発したEMRセンサーと電子ペンの技術を「ワコム・ペナブルテクノロジー」と呼んでいる。この技術を搭載した情報端末は互換性があり,同じ技術を持つ同社の電子ペンで他の端末を操作することが可能。同社は,電子の紙とペンを誰もが直感的かつ自然に使えるようにする「ワコム・ペナブルテクノロジー」に注力しており,この技術を幅広く供給することで,さまざまな情報端末の主要技術供給メーカーとしてグローバルリーダーをめざす。
【株式会社ワコムについて】
1983年設立。東証一部上場。主要事業はペンタブレットならびにペン/タッチ・センサーコンポーネントの開発・製造・販売と,CAD/PDMの開発・製造・販売・サポートなど。海外拠点はアメリカ,ドイツ,モスクワ,中国,韓国,台湾,シンガポール,オーストラリアにあり,世界各国で製品を販売している。ペンタブレットの国内シェアは96.7%(2006年,BCN調べ)
,海外では80%以上。また,現在,世界で生産されているほとんどのタブレットPCには当社製のセンサーとペンが使われている。
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