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日立メディコ
Real-time Tissue Elastography
(エラスト機能)の普及に向けて

〜エラスト機能が日立メディコ製デジタル
超音波診断装置の全機種に搭載可能となる〜

(2008/2/26)

●問い合わせ先
(株)日立メディコ
広報担当 TEL:03-3526-8809  
製品担当 TEL:03-3526-8309
http://www.hitachi-medical.co.jp/

Apron EUB-7000HV

 (株)日立メディコは,普及型デジタル超音波診断装置Apron EUB-7000HV のアップグレードを行い,Real-time Tissue Elastography(以下「エラスト機能」)の搭載を可能とした。

 エラスト機能は,組織の硬さの違いを画像化する技術で,日立メディコが世界に先駆けて製品化し,上級機に搭載してきた。今回のApron EUB-7000HVへの搭載により,日立メディコ製デジタル超音波診断装置の全機種でエラスト機能が使用できる様になった。今後,エラスト機能の普及により,マンモグラフィ検査と併せて乳がん検診の質の向上や病院の検査効率の向上,何よりも患者の負担軽減が期待されている。

 エラスト機能は,当初,乳腺領域で研究が開始され,現在では日常検査でも使用される様になってきている。更に,乳腺領域ばかりでなく,甲状腺,前立腺,皮膚(メラノーマ),整形,肝臓,膵臓などの領域でも盛んに研究が行われており,その有用性が報告されている。

1. Real-time Tissue Elastography (エラスト機能)とは

 病変の悪性度とその組織の硬さには相関があることが知られており,例えば,乳腺においては良性腫瘍より悪性腫瘍は2〜3倍程度硬いとの研究結果がある。硬さの違いが画像化できれば,良悪性鑑別ができるのではないかと期待され,世界中で研究されてきた。
 このような中,日立メディコは,筑波大学電子・情報工学系の椎名毅先生及び同大学臨床医学系の植野映先生と共同でエラスト機能を開発し,2003年11月に Real-time Tissue Elastography として世界に先駆けて発表した。
 エラスト機能は,超音波探触子と呼ばれるセンサ部分を生体に接触させ,わずかに圧迫を繰り返すだけで,リアルタイムに組織の硬さをカラーで画像化する技術。探触子を押したときに生じる生体の歪みが,柔らかい部分では大きく,硬い部分では小さいという現象を利用している。
 乳がん検診で精密検査が必要とされる方の中で実際に乳がんにかかっている方は少なく,従来の超音波検査にエラスト機能を追加して使用することにより,精密検査が必要とされる方を減らすと共に,病変の発見率を向上できたとの報告がされている。また,病院においては鑑別診断として画像診断以外に穿刺吸引細胞診や針生検などの検査が行われているが,エラスト機能によりこれらの検査件数を減少させたとの報告がされており,患者の精神的,肉体的な負担の軽減が期待されている。

2. デジタル超音波診断装置Apron EUB-7000HV

 本装置は,画質に関わる回路を全てデジタル化し,血流情報を表示するドプラ,カラーフローマッピングなどを備えた,コンパクトで多機能な超音波診断装置。
 特に,最新の高画質化機能である第3世代のティッシュハーモニック機能(HdTHI)(注1) やアダプティブイメージング機能 (HI REZ) (注2) を備え,日立メディコの従来装置に比べ画質が向上している。
 また,DVDマルチドライブやUSBメモリースロットを装備し,デジタルでの高画質な画像記録を可能としている。

(注1) HdTHI (High definition dynamic Tissue Harmonic Imaging):ハーモニック信号を広帯域化し,これまでほとんど利用できなかった低周波成分をプローブ帯域内にシフトし画像化。これにより,空間分解能と深部感度の向上が図られている。
(注2) HI REZ (High Resolution Imaging):専用の高速ASIC(特定用途向けIC)演算器と超高速アルゴリズムを用いて,リアルタイムに数万回の空間画像処理を実施する高精細画像適応型フィルタ技術。超音波画像に特有なアーチファクトであるスペックルノイズを低減し,より明瞭に組織構造を表示し,コントラスト分解能を向上させる。

Real-time Tissue Elastographyの画像例
Real-time Tissue Elastographyの画像例