東芝メディカルシステムズ(株)は,11月25日から米国シカゴで開催されているRSNA2007にて,1回転で最大16cmの範囲を0.5mmスライス厚で撮影可能なX線CT装置「Aquilion
ONE(アクイリオン
ワン)」を展示・発表した。脳や心臓を1回転で捉え,また,四次元データの収集が可能となる。これまでのCTでは困難であった,形態と機能診断に必要なデータを広範囲に短時間で収集することを可能にする。
1. 本装置の特徴
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一回転で心臓や脳の上端から下端まで撮影可能で,ひとつの3Dボリュームデータを同じ位相で撮影することができる。心臓のような動く臓器の場合でも,スライス間にズレが生じる可能性はない。 |
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3Dボリュームデータは,タイムラグのあるスライスをつなぎ合わせたものとは異なり,広範囲をタイムラグなしで撮影したボリュームデータ。これを時系列に並べた動的解析により,臓器全体の機能診断が可能となる。 |
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検査による被ばくを低減,心臓検査では約1/4に低減可能。 |
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撮影時間が短縮できるため,造影剤の低減が可能。 |
2. 期待される臨床適用
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臓器を広範囲にダイナミック撮影することにより,三次元の情報に時間の情報を加えた四次元情報を提供できるようになり,形態診断に加え機能診断を行うことが可能となる。内臓の動的解析情報の他,整形外科の分野でも関節の動き等の動態情報が得られる。 |
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脳梗塞や心筋梗塞という人命に関わる重大疾患の検査の際,従来の画像診断機器では,複数の診断機器による検査が必要なケースがあり,トータルで数時間を要する場合もあった。「Aquilion
ONE」は,ひとつの装置で診断に必要な形態と機能の検査情報を収集可能とし,検査時間の短縮を実現,一刻を争う救急救命に貢献する。
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従来の64列CTでは,心臓を1回転で撮影することができないため,ヘリカルCT(らせん状CT)により5秒から10秒掛けて撮影していた。「Aquilion
ONE」は,最短では1回転で撮影することが可能。この場合には,従来の64列CTの約1/4の被ばく量で撮影することが可能となり,患者さんへの負担を軽減。 |
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1回転撮影のスピードは0.35秒で最大16cmの範囲を0.5mmスライス厚でカバー可能。東芝独自の「造影剤の濃度が最適になったタイミングで撮影する機能」との組み合わせで,より少ない造影剤での検査が可能となり,患者さんへの負担を低減。 |
「Aquilion ONE」は,本年10月に世界で最初に藤田保健衛生大学において臨床応用が開始され,現在,米国Johns
Hopkins(ジョンズ ホプキンス)大学,Harvard Medical School(Brigham
& Women's Hospital)(ハーバード メディカル スクール(ブリガム アンド ウィメンズ ホスピタル)),ドイツベルリン
Humboldt(フンボルト)大学 Charite(シャリティ) ,カナダUHN(Univercity
Health Network(ユニバーシティ ヘルス ネットワーク))などの施設においても,臨床での評価を実施している。これらの施設での評価を行った後,2008年夏以降の発売を計画している。
関連リンク
* RSNAブースレポート
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Toshiba America Medical Systems
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