エレクタ(株)は,リニアックのガントリ部に三次元のCT画像を撮影できる装置(XVI)を装備した,イメージガイド放射線治療(IGRT)用リニアック「Elekta
Synergy(エレクタ シナジー)」を発売した。この「Elekta Synergy」は,治療ビームと垂直方向にkV電圧のX線管球とフラットパネル検出器を装備しており,単発撮影や連続(透視)撮影だけでなく,コーンビーム技術による三次元のCT画像を撮影することができる。寝台上で患者のポジショニング後,ガントリを1回転させることにより,実際の治療位置で三次元のCT画像を撮影する。得られた三次元画像を,専用のワークステーション上で,治療計画に使用したリファレンスのCT画像と重ね合わせ表示し,誤差を計算する。得られた値を用いて寝台を補正することにより,治療計画上の正確な位置で照射を行うことができる。また,画像を撮影しながら同時に再構成を行うという独自の手法を採用しているため,撮影が終わればすぐに検証作業を行うことができ,無駄な待ち時間が少なくなるよう配慮されている。三次元のCT画像を利用することにより,従来のリニアックグラフィやポータルイメージング画像では確認することが困難であった軟部組織まで判別できるので,より正確な位置決めが可能になる。近年ますますその重要性が認識されつつある強度変調放射線治療(IMRT)や定位照射(SRT)などの高精度な照射を,より高い精度で実現できる治療装置である。
エレクタは,「Elekta Synergy」を2006年度中に東京大学医学部附属病院に設置する予定である。同院と全面的に協力して日本初の臨床研究を積極的に 行っていく。リニアック本体にCT装置が実装されている利点を最大限に活用して,日本独自の原体照射のさらなる発展や照射中の臓器の動きなど,日本だけでなく世界の放射線治療をリードすべく,さまざまな研究開発を行っていく予定である。
|