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次世代の画像解析ソフトウェア

【月刊インナービジョンより転載】

■整形外科領域におけるAZE VirtualPlaceの魅力,Power
 ─当院でのAZEワークステーションの位置づけ

玉井 勲
社会医療法人厚生会 多治見市民病院放射線技術課


●はじめに

いままで三次元構築画像(以下,3D)は,その簡便性から,主に受傷者やそのご家族への説明のための一情報として用いられてきた。また,3Dワークステーション(WS)は,病態や状態の観察,または診断の一助として用いられていたのが現状である。しかし当院では,これまでの考え方を一新し,常により臨床に即した画像を提供しており,手術室においては計測・観察に用いられ,より有意義に活用されている。
本稿では,いままでMRIに頼ってやまなかった,腱・靭帯領域における臨床応用についてピックアップし,当院に導入されているAZE社製WS「AZE VirtualPlace風神」の魅力と,当院での位置づけについて紹介する。

●3Dを必要としている診療科がますます増加

当院内でWSを用い3Dを必要とする頻度が高い診療科は,整形外科,脳神経外科である。整形外科領域では,主に股関節や膝関節をはじめとしたすべての関節,骨幹骨折に対する3D作成に用いられ,股関節骨折や大腿骨骨頭置換術などに対し,手術室でのシミュレーションや3D上で計測された数値による使用医療器具の選択や挿入時に参照される。それだけ対象を正確に評価でき,また信頼されている証拠でもある。いままでただ外観の観察のみでとどまっていたものが,この2年の間に臨床確定診断や治療方法・術式の決定に用いられるまでなってきている。
3Dは,オパシティカーブと鮮明度から構成されることは周知のとおりである。この2つの項目のほんのわずかな狂いで,信頼性の低い,もしくは,信頼性のない画像に化けてしまう。
以下では,腱・靭帯領域における観察について症例をもとに述べたい。図1は,足関節の3Dである。足関節を取り巻いている腱・靭帯・筋肉は数多く存在するが,その中の1つでも欠けてしまうと満足な行動は不可能になる。

図1 足関節腱・靱帯の名称と3D
図1 足関節腱・靱帯の名称と3D
三角靱帯の異常走行と足底筋肉の異常膨張が確認できた症例

●足関節の解剖

表1 足関節靱帯損傷のグレード分類
表1 足関節靱帯損傷のグレード分類

足関節の捻挫(足関節靭帯損傷)により損傷する靭帯は,前距腓靱帯(内反捻挫),踵腓靱帯(内反捻挫),後距腓靱帯(内反捻挫),三角靱帯(外反捻挫,まれに内反捻挫)である。そして,靱帯が損傷してしまうと,それまで支えていた足首(足関節)の状態が不安定になってしまうため,どの靱帯も欠かせない。
足首の捻挫(足関節靭帯損傷)のグレード分類を表1に示した。グレードTでは,日常生活にほとんど影響が出ないために放置されやすく,多くの場合にはグレードU,Vまで進行してしまう。

●撮影のテクニック

表2 整形外科領域における各部位のCT撮影条件
表2 整形外科領域における各部位のCT撮影条件

腱・靭帯を観察するための絶対必要条件として,皮膚直下のCT値をいかに押さえ込んで撮影できるかにかかっている。
撮影では,ビームハードニング効果を低減させることが重要となるが,当院では,頭部用の軟部関数を用い撮影部位を濡れタオルを巻いて撮影している。その理由として,腱・靭帯・筋肉は,解剖学的に皮膚に近接しているからである。本法で,足関節の後屈・背屈のCT撮影をした後,WSにて画像処理を行った。その撮影条件を表2に示す。
再構成後にWSで処理を行うが,このときに特に重要であるのが,見た目でオパシティカーブや鮮明度などのパラメータを設定しないことである。画像を視覚に頼ったパラメータ設定を行うと,実際の形状表現ができなくなる。各撮影条件によりこのパラメータは異なるが,施設で何度も作成し直し,実際と同様の画像が作成できるよう努力することも必要である。本例(図1)は,三角靭帯の異常走行と背屈した際に足底筋肉の異常膨張が確認できた症例である。この検査に要する時間は,撮影がわずか30秒,入室から退室までトータルで5分以内である。後は,得られた画像をWSで設定条件どおりに作成を行い,各臨床科に提供する。また,誌面上で紹介できないのは残念であるが,背屈運動のシネ画像を得て四次元的な評価も容易に行える。

●頭部MRAのVR応用

頭部検査では,拡散強調画像(DWI)やMR angiogaphy(MRA)が必須であるが,MRAは血流速度をもとに画像構成を行っているため,血流速度が極端に遅い,または,スラブに対し並行に走行する血管では信号を得ることが難しく,結果として,ムラのある画像となってしまう。また通常,MRAはMIPで表示するため奥行き方向の情報に乏しい(図2 a)。当院では,全例ではないが,必要に応じMRAのVR像を作成している(図2 b)。VR像は,奥行き方向の情報が豊富であるため,前後方向の誤認がなく大変有用である(図2 b↓)。

図2 位置関係の不認識:左前大脳動脈と脳底動脈の位置関係
図2 位置関係の不認識:左前大脳動脈と脳底動脈の位置関係
前後の位置関係に注目していただきたい。

●現場の意見

図3 2011年度上半期の関節3D作成件数
図3 2011年度上半期の関節3D作成件数

救急外傷の単純X線撮影では,確定診断のつかないものは,CT,MRIを積極的に施行する。そして,その検査数のほぼすべてにおいて3Dを作成しており(図3),それから得られる情報で手術中,再計測を行い,手術器具の選定を行っている。3Dがさまざまな形で臨床応用され,適切なアイテムというのは言うまでもない。筋肉・靭帯・骨など明瞭に観察できるため,指示医や手術医からも好評である。当院の画像検査において,WSが重要なポジションにあることはこれまで述べたとおりである。

●おわりに

今回は,単純検査に限定し紹介させていただいたが,造影検査での管腔臓器,腸管内virtual endoscopyでは,残渣をかぎりなく除去できるなど,AZE VirtualPlace風神は,診断するに満足できる高いパフォーマンスを発揮するWSだと思われる。
筆者は,さまざまなWSを操作してきて,良い点,悪い点を含め,各メーカーの考え,コンセプトも理解熟知しているつもりである。それを考慮しても,AZE VirtualPlace風神は,他メーカーのWSに追随を許さない,良好なマシンであると断言する。今後,ユーザーサイドの観点に立ち,ともに研究開発していけたら万全なマシンになるだろう。

【使用CT装置】 BrillianceCT 40(フィリップス社製)
【使用MRI装置】 SIGNA HDxt 1.5T(GE社製)
【使用ワークステーション】 AZE VirtualPlace風神(AZE製)

(2012年1月号)

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