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次世代の画像解析ソフトウェア

【月刊インナービジョンより転載】

■サーバ/クライアント型WSとしてのAZE VirtualPlace 雷神Plusの特徴と運用

宇内 大祐/能條 茂樹
聖路加国際病院放射線科

●はじめに

当院では,各診療科において放射線画像および他の診断画像は汎用PC(表1)にて観察されている。ただし,放射線画像については,すべて放射線科医によるレポートが作成されている点が特徴と言える。また,診療情報およびシステム・ネットワーク管理部門としての医療情報センターを有している。 画像処理ワークステーション(以下,WS)について,以前より「AZE VirtualPlace」(AZE社製)を使用しており,2010年8月,CT装置の新規導入に伴い「AZE VirtualPlace 雷神Plus」に更新した。現在,他社製のWSと併せて運用しており,検査部位や症例に応じた使い分けを行っている。その中で,AZE VirtualPlace 雷神Plus(以下,VP)のサーバ/クライアント型WSとしての特徴,その導入および運用について報告する。

表1 クライアントスペック
表1 クライアントスペック

●特徴・使用および運用

VPのサーバ/クライアント型WSとしての特徴は,(1) クライアントはInternet Explorer(以下,IE)を使用,(2) フリーライセンス,(3) クライアント側PCの性能に依存しない,(4) ハードディスク容量4TBが挙げられる。実際の使用では,IEからVPログインサイト(図1)にアクセスし,Microsoft社のTerminal Serviceクライアント6.1を利用してリモートデスクトップを起動するため,OSがWindows Vista SP1,Windows XP SP3,Windows Server 2008であれば,個々のクライアント側PCへのインストールは不要である。2011年1月,当院は電子カルテをはじめとした各部門システムおよび端末を更新し,最新OSであるWindows 7にて動作することも確認できた。

図1 VPログインサイト VPの起動画面サイズ選択し,ログインユーザーを選択した後,接続ボタンを押すとログインできる。このとき,ログイン中のユーザーが表示されており,最大同時はWS本体含め5台である。
図1 VPログインサイト
VPの起動画面サイズ選択し,ログインユーザーを選択した後,接続ボタンを押すとログインできる。
このとき,ログイン中のユーザーが表示されており,最大同時はWS本体含め5台である。

さらに,フリーライセンスという特徴が加わることにより,院内に約1500台ある汎用PCのどこからでもアクセス可能な環境を構築できた(図2)。同時アクセスは,本体を含め最大5台となっている。クライアントは表示のみで,画像処理自体はネットワークを経由してVP本体で行うため,すべての機能を使用でき,クライアント側の性能による制限はかぎりなく少ない。
現在,以上の環境に加え,容量4TBのハードディスクにより,マルチモダリティ共有のWSとして放射線科にて運用されている。ユーザー権限は,(1) アドミニストレータ,(2) キャプチャー,(3) エクスポートについて設定可能である。最近では,循環器内科や心臓血管外科,救急部などからのニーズも高まっており,各診療科へのログインユーザーの振り分けと権限設定,および同時ログイン数制限など,放射線科以外の運用について検討している。

図2 実際の読影端末環境 左がレポート端末にIEにて表示されたVP画面, 右がPACSビューワである。
図2 実際の読影端末環境
左がレポート端末にIEにて表示されたVP画面, 右がPACSビューワである。

●導入・セキュリティ対策

VP Webアクセスの初回起動時に,以下の2点を設定するよう促される。(1) スクリプトを実行しても安全だとマークされていないActiveXコントロールの初期化とスクリプトの実行。 (2) 未署名のActiveXコントロールのダウンロードを有効にする。
当院では,医療情報センターの監視のもと,これらの設定を確認し,スムーズかつ安全に稼働運用することができた。これは,前述のとおりTerminal Serviceクライアント6.1があればよいので,すべてがこの限りではないが,近年のOSについては,悪意あるプログラムの危険にさらすことなく,比較的容易に導入することが可能と言える。

●まとめ,今後の動向

AZE VirtualPlace 雷神Plusの導入により,多くの端末へのクライアントソフトウェアのインストール作業,および多くのライセンス・WSの購入コストをかけずに,医師は診療放射線技師が処理を行ったデータを任意の方向から観察でき,診療放射線技師は,各モダリティを離れることなく横に設置された情報端末にて処理を行うことが可能となった。当然,医師が解析を行い,そのままレポートを作成することもできる。セキュリティの問題は避けて通れないが,WSを新設することなく,既存の汎用PC上でRISや電子カルテシステムと相乗りできる点は,導入コスト,設置スペース,および作業効率において非常に大きなメリットである。
最後に,2010年11月に開催されたRSNA 2010のAZE社ブースで発表されていた「AZE VirtualPlace FOMULA」シリーズ(図3)は,超高速画像処理技術を搭載し,表示処理速度が従来比約20倍と飛躍的に向上した。心臓領域では,4D表示を高画質のまま方向変換して観察することでき,今後のクライアント側での表示・処理のさらなる高速化が期待された。また,AZE社はiPad用WSアプリ(図4)を開発しており,AZE VirtualPlace FOMULAシリーズとの組み合わせにより,さまざまなシーンでの3D画像活用の可能性が期待された。

図3 RSNA 2010のAZE社ブースにて 発表されていたAZE VirtualPlace FOMULAシリーズ
図3 RSNA 2010のAZE社ブースにて
発表されていたAZE VirtualPlace FOMULAシリーズ
図4 RSNA 2010のAZE社ブースにて発表されていた iPad用アプリケーション
図4 RSNA 2010のAZE社ブースにて発表されていた iPad用アプリケーション

【使用ワークステーション】 AZE VirtualPlace 雷神Plus(AZE社製)

(2011年2月号)

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