東芝メディカルシステムズ

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Technical Note

2011年7月号
循環器部門システムの最新動向

動画ネットワークとレポートシステム「CardioAgent」

大江光雄
SI事業部

CardioAgent」は,心臓カテーテル検査,および超音波検査などの動画像を保管して配信するシステムである。さらに,それらを解析したり,レポートを記録することができる(図1)。本稿では,CardioAgentで実現した最新の機能を紹介する。

図1  CardioAgentの運用例
図1 CardioAgentの運用例

■電子カルテシステムとの連携(図2)

電子カルテシステムと連携することにより,レポートに各種患者情報を取り込む。オーダー情報を取り込み,検査室や時間を振り分けることで予約簿ができる(図3)。これは,病棟でも電子カルテ端末で閲覧できるので,カテ室の運用がスムーズになる。さらに,患者の各種情報を取り込むことができる。

図2  電子カルテシステムとの連携
図2 電子カルテシステムとの連携

図3 予約簿
図3 予約簿

■カテ室データの集約(図4)

図4  カテ室データの集約
図4 カテ室データの集約

カテ室で発生するすべてのデータは,CardioAgentに集約される。
1.ポリグラフ
波形は画像で取り込み,また,計測結果は数値でレポートに取り込むので,ペーパーレスでの運用ができる。
2.被ばく線量管理
検査が終了すると,X線撮影装置から撮影条件,線量,透視時間のデータを取得して,レポートに貼り付ける。これにより,被ばく管理ができる。
3.心機能解析
狭窄率や心室解析は,検査中にCardioAgent上で解析して,結果は,画像および数値でレポートに貼り込むことができる。
4.看護記録
カテ中の看護記録は,ノートPCで入力される。入力候補のリストからタッチパネルで選択するだけで次々と入力できるので,多忙な看護師でもワンタッチで入力できる。

■各種レポートへの拡張

1.J-PCIレジストリ
日常の治療方法をレポートに記録すれば,日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)のJ-PCIレジストリフォーマットに自動変換される(図5)。

図5  J-PCIレジストリ
図5 J-PCIレジストリ

2.不整脈レポート(図6
不整脈の解析結果は,レポートに貼り付けることにより管理する。また,多岐にわたる不整脈の各種治療レポートを開発した。さらに,学会レジストリにも対応している。

図6  不整脈レポート
図6 不整脈レポート

3.冠動脈CTA(CTCA)レポート
PCIのフォローアップは,CTCAで行うことが一般的になってきた。放射線科PACSと連携して,CT画像を表示する。さらに,解析装置と連携して,カルシウムスコアなどの結果を取り込むことができる。PCIとCTCAが一体化したレポートにより,その患者の履歴を追うことができる。

4.心エコーレポート(図7
心エコーは,短時間でわかりやすい
レポートを生成する必要がある。そこで,(1) US装置からの計測値取り込み(DICOM SR),(2) Wall Motion Scoringによる評価,(3) シェーマ作成により簡単レポートを作成することができる1)

図7  心エコーレポート
図7 心エコーレポート

5.心臓血管外科レポート(図8
心臓血管外科では,入院時の状態,術前検査,術中記録,術後フォローと長期間にわたる。流れに従って記録すれば,各ステップでのカンファレンス,および紹介医への返事や退院サマリまでをサポートする。さらに,JACVSD(日本成人心臓血管外科手術データベース)レジストリを生成する。

図8 心臓血管外科レポート
図8 心臓血管外科レポート

6.脳神経外科レポート(図9
脳血管内治療では,手技が複雑なため,使用デバイス,および,そのときの状態を正確に記録する必要がある。

図9 脳神経外科レポート
図9 脳神経外科レポート

7.先天性心疾患レポート(図10
小児では多くの検査画像を集約する。さらに,ポリグラフデータを分析してシェーマを作成し,カンファレンスに臨む。これらをオンライン化することにより,業務を改善とデータベース化ができる。

図10  先天性心疾患レポート
図10 先天性心疾患レポート

■検索・統計(図11)

入力されたレポートは,学会発表に使えるように検索・統計機能を備えている。レポートで検索,統計できるほか,すべてのデータをエクセルに出力できる。さらに,各種学会レジストリに対応したデータを作成する。

図11 統計機能
図11 統計機能

以上,紹介したようにCardioAgentは,動画を配信する機能から始まり,医師およびスタッフの日常業務から学会活動までを全面的にサポートするシステムに発展した。現在,レポートは180以上の施設で使われている。今後も多くのユーザーとともに,臨床に役立つシステムに発展させていきたい。

●参考文献
1) 大江光雄 : 循環器動画ネットワークシステム「CardioAgent」の最新技術と運用サポート. INNERVISION, 26・4, 48〜49, 2011.