シーメンス・ジャパン株式会社

ホーム の中の inNavi Suiteの中の シーメンス・ジャパンの中の 別冊付録の中の MAGNETOM の中の第23回腹部放射線研究会 ランチョンセミナー−腹部・骨盤部の3T MRIの有用性−

別冊付録

Seminar Report−第23回腹部放射線研究会 ランチョンセミナー−腹部・骨盤部の3T MRIの有用性−

Sung Eun Rha M.D., Ph. D.
(The Catholic University of Korea, College of Medicine, Seoul St. Mary's Hospital)

2009年6月19日,20日の2日間,岡山コンベンションセンター(岡山県)で開催された腹部放射線研究会のランチョンセミナーにおいて,The Catholic University of Korea, College of Medicine, Seoul St. Mary's HospitalのDr. Sung Eun Rhaに,腹部・骨盤部の3T MRIの有用性についての講演をしていただきました。同施設は,韓国ソウル市を東西に流れる漢江の南側にあります。今年の4月からオープンした新病院は,約1200床を有し,3T MRI「MAGNETOM Verio」を3台,健診センター専用の1.5T MRI 「MAGNETOM Avanto」1台が稼動しています。

講演では,従来の3T装置で課題とされていた体幹部の信号不均一が,TrueFormテクノロジーを搭載したMAGNETOM Verioではかなり解決されているというコメントとともに,腹部および骨盤部の画像を多数ご提示いただきました。以前の3T装置においては,腹部における信号の不均一を緩和するために,腹部の前側に誘電パッドを乗せて対応することがありましたが,2チャンネル送信制御を搭載したTrueFormテクノロジーにおいては,誘電パッドの必要がなく,オープンボアマグネットの開放感と合わせて,快適な検査環境を提供できているということでした。

快適性だけでなく,画質も安定して得らており,Teratoma(奇形腫)(図1)症例でも,スピンエコー系のT1強調画像,T2強調画像において,骨盤部の均一な画像が得られていました。液体の中に多数漂っているのは,脂肪を含んだ組織です。1回の撮像で,In-phase,Opposed-phase,脂肪抑制,水抑制の4種類の画像が同時に得られる,DIXON法に基づいたVIBEシーケンスの有用性も紹介されました。ボール状の組織がOpposed-phase画像で低信号となっていますが,これは水由来,脂肪由来の組織が混ざり合っていることを示しているそうです。また,腸内の空気の影響により歪みが大きくなりやすいとされる直腸の拡散強調画像も,均一な脂肪抑制とともに歪みのない画像が得られていました(図2)。
SNRが向上する3T MRIにおいては,体動によるアーチファクトが1.5Tに比べて顕著になる場合がありますが,体幹部においてもパラレルイメージングと併用できるsyngo BLADE法を用いると,病変部や脈管の輪郭や形態が明瞭に描出でき,講演では実際の臨床画像が紹介されました(図3)。

わが国においても稼働実績が増えている3T MRIですが,頭部領域だけでなく体幹部においても安定した高画質が得られることで,導入される施設が増えていくと予測されます。それだけに,単に画質が良いだけでなく,優れた快適性を持つことが患者からも選ばれる条件になっていくと思われます。

図1 Teratoma(奇形腫)症例
図1 Teratoma(奇形腫)症例

図2 直腸がん症例(69歳,女性)
図2 直腸がん症例(69歳,女性)

図3 従来法TurboSE と syngo BLADEの比較
図3 従来法TurboSE と syngo BLADEの比較

(文責:シーメンス旭メディテック株式会社マーケティング本部MR事業部 井村千明)

▲ページトップへ

目次に戻る