GEヘルスケア・ジャパン

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Technical Note

2011年9月号
Step up MRI 2011−MRI技術開発の最前線

MRI−Discovery MR750 ─Simply Powerful,Powerfully Simple

中上将司
MRセールス&マーケティング部
図1 Discovery MR750
図1 Discovery MR750

「Discovery MR750」(図1)は,3Tのポテンシャルを最大限に引き出し,全身領域において最高の画質を提供することを実現するGE社のプレミアム3Tである。本システムは,長年培ってきた3Tのノウハウに加えて,今回新たに開発した水冷技術や光ファイバーを用いたRF信号伝送方式を採用するなど優れたハードウェア性能を有している。
本稿では,これらハードウェアの特長ならびに,2011年春にリリースされた“ver.22.0 software”のアプリケーションについて紹介する。

●最高のパフォーマンスを発揮する「G・O・L・D」テクノロジー

Discovery MR750で用いている「G・O・L・D」テクノロジーと呼ぶ各ハードウェアコンポーネントには,以下の特長がある。高い傾斜磁場性能に加えて,3Tで重要となる静磁場均一性(B0)およびRF送信の均一性(B1)の性能を高い次元で両立させることで,全身領域において高画質撮像を実現している。

1.Gradient Performance
傾斜磁場コイルおよびアンプに対し,強力な水冷技術(アドバンスド・サーマル・マネージメント)を導入することで,3軸それぞれにおいて最大傾斜磁場強度50mT/m,SR200を実現した。EPIを用いた高速撮像では,1TRあたりの最大撮像枚数が自社従来比で45〜60%程度増加し,より短時間での広範囲撮像を可能にした(図2)。また,傾斜磁場アンプには,3軸それぞれに対して独立した電源(iXYZ:イクシーズ)を配備しており,3D ASL(非造影MRパフュージョン)などのパルスシーケンスを再現性良くコントロールすることができる(図3)。

図2 72秒で撮像した1.8mmスライス厚Volume DWI
図2 72秒で撮像した1.8mmスライス厚Volume DWI
Discovery MR750が有する高い傾斜磁場性能により,
短時間での全脳DWI撮像を可能とした。
(TR 9000ms,TE 69ms,FOV 22cm,slice thickness 1.8mm×82slices,b1000=2NEX,b0=1NEX)
(画像ご提供:琉球大学病院様)
図3 傾斜磁場コンポーネントのフル水冷化と3軸独立電源
図3 傾斜磁場コンポーネントのフル水冷化と3軸独立電源

2.Optix
Optixは,コイルで受信した信号を直ちにガントリ内でA/D変換後,光ファイバーによるデジタル信号伝送を行う次世代のRF光伝送技術である。これにより徹底したノイズ低減を行い,画質向上を実現しただけでなく,わずかなケーブルで大量のデータ伝送を可能とすることから,将来のRFコイルチャンネル数の拡張を見据えた設計となっている(図4)。

3.Large Volume Homogeneity
40cm球状領域において,0.25ppmという優れた静磁場均一性(B0)を実現したマグネットを採用している。より精度の高いシミングを実現するために,18チャンネル超伝導シムを内蔵し,3Tでは苦労することの多かった腹部や乳房における脂肪抑制画像についても良好な画像を得ることができている。

4.Driving 4point
送信用ボディコイルに従来のような2点ではなく,4つの給電点を設けた4ポイントドライブ方式による,均一で安定したRF送信(B1)を実現している(図5)。特に3Tの体幹部撮像において,顕著となりやすいB1不均一に起因する画像の感度ムラや,コントラストの低下を低減することが可能である。

図4 Optix
図4 Optix
コイルでの信号受信後に,ガントリ内にてA/D変換を行い,
光ファイバーによるデジタル伝送を行う。
図5 4ポイントドライブのコンセプト図
図5 4ポイントドライブのコンセプト図
送信ボディコイルの給電点を従来の2ポイントから4ポイントにすることで,より均一なRF送信を実現している。

●ver.22.0 software Newアプリケーション

Discovery MR750に搭載されているver.22.0 softwareにおいて,いくつかの新しいアプリケーションがリリースされた。ここでは代表的なものを紹介する。

1.3D ASL
3D ASLは,造影剤を用いないMRパフュージョン撮像法で,脳組織に流入する動脈血を磁気的に標識(ラベル)し,それらを内因性のトレーサーとして用いることで非侵襲的に灌流画像を得ることが可能である。ラベル効率の高いpCASLという手法をベースとしており,3D FSE法を応用した高S/N,広範囲かつ歪みを抑えた撮像を実現している(図6)。

図6 3D ASL
図6 3D ASL

2.Cube T1
アイソトロピック3D FSE撮像法"Cube"におけるT1強調撮像が可能となった。短時間での高いコントラストによる3D T1強調画像を得ることが可能となった(図7)。

図7 Cube T1
図7 Cube T1
サジタルによるデータ収集からのreformat(撮像時間4分17秒)
(画像ご提供:琉球大学病院様)

3.PROPELLER3.0
体動補正技術"PROPELLER"の体幹部への応用,ならびにT1強調像や任意の断面の撮像が可能となった。パラレルイメージングを用いたsmall FOVにおける撮像も可能となり,臨床応用の幅が広がった。

4.Inhance 3D Deltaflow
Inhance 3D Deltaflowとは,心収縮期から心拡張期のデータを差分することで得られる3D FSE法による非造影下肢MRA撮像シーケンスである。コロナルでデータ収集を行うことから,従来のgated 2D TOF法と比べて短時間での撮像が可能である。

5.eDWI
拡散強調画像のイメージングオプションが追加された。3軸同時にMPGを印加するテトラヘドラルおよび3-in-1や,最大40個までデータ収集可能なMulti b Value撮像,B1不均一の影響を受けにくいアディアバティック型脂肪抑制パルスのASPIRなどが機能として加わった。

Discovery MR750の特長について解説した。現在,3Tの普及は急速に進んでいるが,われわれは3Tの特長を最大限に生かしつつ,どのような患者さんでも安定した高いクオリティを提供することをめざして日々製品開発を進めていく所存である。

薬事販売名:ディスカバリーMR750
医療機器認証番号:221ACBZX00095000

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