マルチスライスCTに始まったVolume化の潮流は、MRIにも及ぶようになった。MR装置のコイルの進歩や高磁場化でSNRの良い薄いスライスの画像が得られるようになり、モニタ診断の普及とともに、Volume化が広がっていくと考えられる。Volume撮像の代表的な手法には、GRE系のLAVAと最新アプリケーションであるFSE系のCubeがある。従来からのLAVAは、新しい肝特異性造影剤「Gd-EOB-DTPA」にも最適な撮像法である。
Cubeは長いETL、可変フリップ角の3D-FSE法で、ボケ(Blurring)とSARが抑えられることにより、特に3T装置にとって有利な撮像法である(図6)。さらに、新しいパラレルイメージング“ARC”を組み合わせることで、高速かつ折り返しアーチファクトのない優れた撮像法になる。
Cubeは血管のflow voidが非常に強く出るため、Black Blood法として使うことができる。高安病疑い(図3と同一症例)の造影後のCubeによるT1強調像(図7)では、動脈内・静脈内がBlack Bloodになっていて、血管壁が非常に評価しやすい画像が得られている。矢状断のほかに、横断像や冠状断像、MPR像を作ることも可能である。flow voidがきれいに出るVolum撮像法をT1強調像で使えるCubeは、将来的に期待できる技術である。 |