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RSNA2010

■Toshiba Medical Systems Corporation (東芝メディカルシステムズ)
  医療制度改革に効くソリューションを提供 Vol.1 【CT・MRI】

RSNA2010 [第2日目:11月29日(月)]

  Toshiba Medical Systems Corporation東芝メディカルシステムズ)は,“Episode of Care”をテーマにして展示を構成した。オバマ大統領の医療保険改革によって,アメリカにおける医療制度が大きく変わろうとする中で,東芝メディカルシステムズとして提供できる,高い診断価値,安心・安全のソリューションなどを紹介した。今回の医療制度改革における“Episode of Care”とは,患者の一連の治療過程を症例に基づいて定額支払いを行うことで医療費削減を図る仕組みで,今後,医療機関にとってはより厳しい経営環境となることが予想される。東芝では,「Aquilion ONE」による短時間で脳卒中診断のワークフローなどを確立しており,メインステージでは,“Episode of Care”の概要と,それに対して提供できるソリューションについて,脳神経外科や小児領域を対象にしたデモンストレーションを行っていた。

Toshiba Medical Systems Corporationのブース全景
Toshiba Medical Systems Corporationのブース全景

“Episode of Care” 脳神経外科と小児領域へのソリューションを紹介
“Episode of Care” 脳神経外科と小児領域へのソリューションを紹介
メインステージでの“Episode of Care”のプレゼンテーション
メインステージでの“Episode of Care” のプレゼンテーション

●CT―被ばく低減技術AIDRをリリース

  CTでは,320列のAquilion ONE,160列のAquilion Premium,64列128スライスのAquilion CXの3台の実機を展示した。展示テーマの“Episode of Care”に関連して,Aquilion ONEの導入による臨床的,経済的な効果を中心にアピールしたほか,これからの新しいCT技術として,被ばく低減技術AIDR(Adaptive Iterative Dose Reduction)とデュアルエナジーを紹介した。

 逐次近似再構成法の原理を応用したAIDRは,昨年のRSNA2009でも原理を紹介したが,アメリカでは今回が本格的なリリースとなる。AIDRは,低線量で撮影した画像の解像度を損なうことなくノイズ成分だけを除去することで被ばく線量を最大75%低減する技術だが,今回は次世代の被ばく低減技術として,さらに最大90%の削減をターゲットに開発を進めているnewAIDR(仮称)を発表した。newAIDR(仮)のねらいは,Aquilion ONEで可能となった,ボリュームデータを連続的に収集し,動態情報をとらえるダイナミックスキャンへの適用である。動態の連続撮影に対して,被ばく線量を増やさずに検査が行えるようにするブレイクスルー技術だ。さらに,デュアルエナジーのような技術にも被ばく低減は必要不可欠で,それらをターゲットとした開発を進めているという。newAIDR(仮)では,画像ノイズのみならず,低線量画像で発生するアーチファクトも大幅に低減できる。

  東芝のデュアルエナジーは,やはり昨年のRSNA2009で原理は紹介されていたが,2つの異なるエネルギーを高速にスイッチングすることで,同じ部位を2回転で撮影し,1秒以内に16cmのボリュームデータとして収集できることが特長だ。次のステップとしては,軌道同期の技術を適用して,ヘリカルスキャンで撮影する技術のリリースを予定している。解析アルゴリズムとしては,2 material decompositionに加えて,新しいアプリケーションを追加していく予定で,例えば,肺塞栓症でヨード造影剤を指標とした血流評価のアプリケーションなどを開発中とのことだ。また,135kVと80kVの2つの異なるエネルギーで撮影したデータから,ルーチンで撮影する120kVの画像を作成するBlending Image(W.I.P.)なども今後搭載の予定だ。

被ばく低減技術“AIDR”など新技術をアピール
被ばく低減技術“AIDR”など新技術をアピール

320列のAquilion ONE
320列のAquilion ONE

160列のAquilion Premium
160列のAquilion Premium

64列128スライスのAquilion CX
64列128スライスのAquilion CX


●MRI―日本で先行する3Tの臨床画像を中心に高画質と使い勝手をアピール

  MRIは,Vantage Titan 3T(FDA未承認)と1.5TのVantage Titan HSR(W.I.P.)を展示した。残念ながら,Vantage Titan 3TはアメリカではFDAの認可待ちだが,先に薬事承認を受け,3か所(杏林大学,東京女子医科大学,住友別子病院)での臨床稼働が始まった日本国内の画像を中心に紹介した。頭部のみならず,頸部,脊椎,腰椎,腹部など全身で,1.5Tと変わらないワークフローで,3Tの高精細画像が得られている。海外では,体格の大きい患者が多く,71cmのオープンボアでありながらMulti-phase Transmission機能などで体幹部領域の画質を向上したVantage Titan 3Tは,大きな注目を集めているだけに,早期の承認が待たれるところだ。そのほか,32chの頭部用RFコイルをコンセプト展示したほか,開発中のコイルを含めて紹介していた。32chコイルは,3Tの高い空間分解能を生かすために高密度のエレメントを配置している。

  Vantage Titan HSR(W.I.P.)は,1.5TのVantage Titanの上位機種で,オープンボアなど外観の特長は変わらないが,傾斜磁場の性能が向上している。傾斜磁場の切り替えを高速化することで,高速撮像が必要な心臓、脳神経、乳腺領域で,高画質な検査を可能にする。

Vantage Titan 3T(FDA未承認)日本での臨床画像を紹介した。
Vantage Titan 3T(FDA未承認)
日本での臨床画像を紹介した。
1.5TのVantage Titan HSR(W.I.P.)は,傾斜磁場の性能を向上させた上位機種
1.5TのVantage Titan HSR(W.I.P.)
傾斜磁場の性能を向上させた1.5Tの上位機種

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