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RSNA2010

■Siemens
  検出器一体型のMR-PETが登場 Vol.1 【syngo.via・MRI・CT】

RSNA2010 [第1日目:11月28日(日)]

  2009年のRSNAで,従来にない新発想から生まれた新世代の画像解析処理システム「syngo.via」を発表したSiemensは,今回も“Images, my way”をブース全体のテーマに掲げ,syngo.viaをブースの中央に据えて展示を展開した。syngo.viaをはじめ,さまざまなモダリティで技術革新が図られたほか,まったく新しい新製品として,MRIとPETを一体化した画期的なMR-PET装置を発表。来場者の高い関心を集めた。

Siemensブース
Siemensブース

syngo.via―豊富なアプリケーションと臨床的ベネフィットをアピール

  3DワークステーションでもPACSでもない,新世代の画像解析処理システムとして2009年のRSNAで発表されたsyngo.viaは,自動画像処理機能やモダリティとの親和性,さまざまなITシステムとの優れた連携性を特長とし,いつでも,どこでも必要な画像を最適なアプリケーションで提供することができる。既存のインフラを何も変えることなく,syngo.viaを追加するだけで,画像診断ワークフローの飛躍的な改善が可能になるが,今回はさらに,従来の機能に加えて,より幅広い領域に対応する豊富なアプリケーションと稼働実績に基づいた具体的な臨床的ベネフィットがアピールされていた。各モダリティ用のsyngo Workplaceにあるソフトウエアが新たに搭載されたことも相まって,特にOncology領域での画像診断に力を入れていることがうかがえた。また,今回新たに登場したMR-PET装置をはじめ,iPhoneなどのモバイル端末や,あらゆる汎用ウェブブラウザにも対応したことによって,端末種類の幅は相当広がったと言える。

syngo.viaモバイル対応
syngo.viaモバイル対応

syngo.via
syngo.via

syngo.viaの新機能
syngo.viaの新機能


●MRI―画期的な新製品,MR-PETを発表

  MRIコーナーでは,画期的な新製品として「Biograph mMR」(日本国内薬事未承認)が発表された。Biograph mMRは,世界初のPETと3T MRIのインテグレート型装置。従来の一体型装置では,例えばPET・CTであれば,PETとCTの検出器が並列に搭載されているため,同じ領域を同時に撮影することはできなかったが,Biograph mMRでは,MRガントリにMRI検出器とPET検出器を効果的に配置したことで,1回の撮像でMRIとPETのデータ収集を完全に同時に行うことが可能となった。この画期的な装置が実現した最大のポイントとして,MRIの70cmワイドボアと,PETの真空管に半導体を採用したことにより従来よりも薄い検出器が開発できたことが挙げられる。これにより,MRIのボアの内側10cmの部分にPETの検出器を配置した,60cmの開口径を持つBiograph mMRが誕生した。従来のPET/CTなどで必要とされていた位置合わせが不要となり,撮像と同時に吸収補正が行われる。また,撮像時間もPETとMRIを別々に撮像する場合と比べて,大幅な短縮が可能となる。

  一方,MRIを撮像するにあたって必要となるコイルが,PETのデータ収集を阻害することなどが懸念されるが,Biograph mMRでは,PETとMRIの撮像を両立するためのmMRコイルを新たに開発することで,この問題をクリア。さまざまな新技術を搭載することで,MRIについても,Timコイルと同等のチャンネル数および画像クオリティを実現しているという。また,PET/MRIの撮像を必要としない検査では,Timコイルを使用して通常の3T MRIとして使用することも可能となっている。すでに現在,ミュンヘン工科大学で稼働を開始しているという。 このほか,MRIコーナーでは,RSNA 2009で発表されたMAGNETOM Aera/Skyraが展示され,新たに脱着式の寝台が登場したことが紹介された。

Biograph mMR
Biograph mMR

Biograph mMRの検出器
Biograph mMRの検出器


Biograph mMR専用コイル
Biograph mMR専用コイル
MAGNETOM Aera/Skyra
MAGNETOM Aera/Skyra

●CT―被ばく低減の新技術“SAFIRE”を発表

  CTコーナーは,被ばく低減とワークフローの改善をテーマに,“Be FAST,Take CARE”をキーワードとして掲げ,第2世代デュアルソースCT「SOMATOM Definition Flash」と,「SOMATOM Definition AS」が展示された。 通常,CT検査を行うにあたっては,スキャンパラメータの設定などさまざまな処理が伴うが,それらをより正確に,より簡単に行うためのアシスト機能として“FAST”を冠した多数の新機能が紹介された。このうち,プランニングのアシスト機能“FAST Planning”では,CTが被検者ごとに撮影領域や臓器を自動で認識し,最適な範囲の撮影を自動で行うことが可能となった。余分な範囲の撮影を削減できることから,被ばく低減(CARE)にもつながるのではないかと期待されている。“FAST Spine”では,脊柱の認識や再構成角度の割り当てが自動化され,全脊椎の撮影が容易に可能となった。さらに,同社のCT装置は唯一,70kVという低線量での撮影が行えるため,小児の撮影などでも,さらなる被ばく低減が可能となる。

  また,RSNA2009で同社は,逐次近似法を用いた被ばく低減技術“IRIS”(Iterative Reconstruction Image Space)を発表し注目を集めたが,今回はそれをさらに進化させた新技術“SAFIRE”(Sinogram Affirmed Iterarive Reconstruction)を発表した。IRISはイメージベースでの逐次近似再構成を行っていたが,SAFIREはそれに加えて,raw dataでの逐次近似再構成も可能となった。これにより,アーチファクトとノイズの両方が従来よりも低減され,被ばく低減を犠牲にすることなく,画質が大幅に向上した。同社では,今後もさまざまな技術を投入し,最終的には世界の自然放射線レベルの平均である2.4 mSv以下で,すべてのCT検査を行うことをめざすという。

SOMATOM Definition Flash
SOMATOM Definition Flash

SOMATOM Definition AS
SOMATOM Definition AS

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