核医学ブースでは,PET/CTとSPECT/CTに,それぞれ診断用CTを搭載した新しいシステムが登場した。従来,CTは核医学検査のための吸収補正用として用いられてきたが,近年では,1台の装置で形態診断と機能診断の両方を行いたいという要望が多くなっており,それに応える形で新製品が開発された。
PET/CTコーナーでは,「Discovery PET/CT600」と「Discovery PET/CT690」(690は薬事未承認)が展示された。いずれの装置も呼吸同期の機能が搭載されていることが大きな特長であり,同じ位相で吸収補正を行うことで,PET/CT撮影時の集積位置の誤認や,SUV値の過小評価といった臨床上の課題克服に貢献している。また,呼吸同期を行う場合,データ量が増加することによって,以前は画像再構成にかなりの時間がかかっていたが,ハードウエアのパワーを上げることによって,Discovery PET/CT 600の場合で1視野分の画像再構成時間が,最速で従来の1/4にあたる約40秒で行うことが可能になった。
Discovery PET/CT600とDiscovery PET/CT690は,基本的には同じプラットフォームを採用しているが,検出器感度と画像再構成法の違いで,Discovery PET/CT600はFDGの低投与量での撮像,Discovery PET/CT690はTOFにより比較的身体の大きな患者さんでSNR改善の効果を発揮する。さらに,次世代のPET/CTでは,CTに,逐次近似法を応用して画質向上や被ばく低減を可能にする“ASiR”を搭載することが予定されている。これにより,吸収補正のために低線量で撮影したCT画像でも,形態診断が行えるようになると期待されている。同時に,PETについても新たに“SharpIR”という機能が搭載される。PET撮影時には,身体の周辺から出てくるガンマ線は検出器に斜めに入るため画像にボケが生じるが,そこに逆関数をかけることで,身体の中心から離れた辺縁部の小さな集積などにおいてもSUV値が改善されると期待されている。 また,AWにも,呼吸同期に対応する新アプリケーション“Motion VUE”が搭載された。CT,PET,あるいはフュージョン画像の動画を同時に表示し,またその場でSUV値の計測やROIの測定などが可能となる。 |