AIやロボットを活用した医療の未来像を探る「NEC医療セミナー2019東京」が開催

2019-2-18

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講演会場の様子

講演会場の様子

「NEC医療セミナー2019東京」が,2019年2月15日(金)にNEC本社ビル(東京都港区)で開かれた。同セミナーは,医療とICTの最新の情報提供を目的に毎年開催されているが,今年は「医療の未来と ICT 活用を考える」をテーマに,AIとロボット時代の医療の方向性とICTによる働き方改革などに取り組む事例を紹介した講演会と,NECと関連企業によるシステム展示が行われた。システム展示では,「MegaOakHR」や「MegaOak/iS」といった電子カルテシステムのほか,NECのAI「NEC the WISE」を使ってさまざまな医療機関と共創した事例やRPA(Robotic Process Automation),デリバリーロボット「Relay」など,ICTやIoTによる医療現場の支援を目的としたソリューションが紹介された。

山形 専 氏(倉敷中央病院)

山形 専 氏
(倉敷中央病院)

明石勝也 氏(聖マリアンナ医科大学)

明石勝也 氏
(聖マリアンナ医科大学)

 
     
松尾 茂 氏(医療ソリューション事業部)

松尾 茂 氏
(医療ソリューション事業部)

広明敏彦 氏(NECデータサイエンス研究所)

広明敏彦 氏
(NECデータサイエンス研究所)

 

 

講演会の冒頭に挨拶した医療ソリューション事業部事業部長の松尾 茂氏は,「NECは,“医療の課題を,ともに解きつづけ,問いつづける”をメッセージとして事業に取り組んでいる。常に1歩先をめざし,医療現場において本来の業務に専念できるような時間を持てるようにICTで支援していきたいと考えている。そのキーとなる技術は,“AIによる予測”と“自動化”である。経営支援や働き方改革,患者満足度の向上のために,AIの適用や自動化を推進し,医療従事者の効率性や患者の利便性の向上に貢献していきたい。本日は,その思いを共有し“共創”いただいている2施設から講演をお願いしている」と紹介した。
講演では,まず,倉敷中央病院院長の山形 専氏が,「これからの医療の方向性を考える−AIとロボット時代を迎えて」と題して,AI,ロボット医療,ゲノム医療,IT化(ARGiT)時代における医療のあり方の変革の必要性,2019年6月にオープン予定の倉敷予防医療プラザでの予防医療への取り組み,またそこに導入されるNECのAIを用いた予測技術などを紹介した。
山形氏は,ARGiTなど医療の進歩にもかかわらず,多くの国民がその成果を享受できていない現状を,自身の専門である脳神経領域を例に説明した。その上で,予防医療が充実することで,早期診断・治療による低リスク治療や医療費軽減などが期待できるとして,高価値検診(テーラーメイドドッグ)やきめ細やかな指導と健康維持への意識付け,さらに現在の進歩した医療技術による予防医療の有用性を市民に啓発する重要性を強調した。倉敷予防医療プラザでは,NECの「健診結果予測シミュレーション」を用いてリスクや生活改善のシミュレーションなどのデータを提供し行動変容を促す仕組みを取り入れる。さらに,啓発活動としては,倉敷地区の医療機関が協力して地域の医療サポーターを育成する“わが街健康プロジェクト”に取り組んでいることを紹介した。
続いて,聖マリアンナ医科大学理事長の明石勝也氏が登壇し,「ICTイノベーションで大学病院を変える」のタイトルで同大学で進めているICTを最大限に活用した組織,医学教育,臨床現場でのイノベーションへの取り組みについて講演した。
聖マリアンナ医科大学では,“変えたくない”“変える努力をしたくない”という組織文化(メンタリティ)のブレイクスルーのため,2016年から理事長自らが旗振り役となって改革に取り組み,外部人材や専門のパートナー企業の登用,ICT組織の見直し,ICT導入のゲリラ作戦の実行,マネジメント層での率先したICT活用などを推し進めた。明石氏は具体例として,クラウド(グーグル社)を利用したペーパーレス化,スマートフォンの導入,生涯アカウント(@marianna)の付与,医学教育でのITの活用,オンライン予約診療の導入,関連病院も含めたリアルタイム空床管理,当直室や会議室予約システムなど業務の効率化,搬送ロボットの試験運用など,さまざまなICT化の成果を紹介した。同大学は2021年に50周年を迎えることから病院建て替え事業が進行中であり,さらなるICT活用の加速を進めている。その一環として,2019年2月にNECとICT戦略パートナーシップを締結し,教育,研究,医療サービスの拡充と質的向上を図り,医療ICTモデル大学をめざしていることも紹介した。
また,このほかに“NECプレゼンテーション”として,NECデータサイエンス研究所所長の広明敏彦氏が,「人の知的創造活動を最大化する最先端AI技術群『NEC the WISE」』ご紹介」と題して,NECのAI開発の経緯と医療支援の具体的な成果について講演した。医療分野での事例として,医療法人社団KNIと共創した不穏や誤嚥性肺炎などの予兆検知,国立がん研究センターと共同で取り組んでいるリアルタイム内視鏡診断サポートシステム,ニオイデータ分析,健診結果予測シミュレーションなどを紹介した。

同時に開催された展示では,講演でも紹介があったAI技術やデリバリーロボット「Relay」などのほか,同社のRPAである「NEC Software Robot Solution」を使った電子カルテの入力自動化,電子カルテシステムに搭載予定の既読未読管理の機能などが展示された。

デリバリーロボット「Relay」。人や障害物を回避した自律走行が可能で,搬送品は本体上部に収納する。RFID認証でロックして盗難などを防ぐ。

デリバリーロボット「Relay」。人や障害物を回避した自律走行が可能で,搬送品は本体上部に収納する。RFID認証でロックして盗難などを防ぐ。

 

災害などの停電によって電子カルテが使用不可になった場合を想定し,エクセルに仮入力した所見データをRPAで電子カルテに自動入力するデモを行った。

災害などの停電によって電子カルテが使用不可になった場合を想定し,エクセルに仮入力した所見データをRPAで電子カルテに自動入力するデモを行った。

 

検査結果やレポートなどの未読を防止する機能を紹介。MegaOakHRやMegaOak/iSに今後搭載の予定。

検査結果やレポートなどの未読を防止する機能を紹介。MegaOakHRやMegaOak/iSに今後搭載の予定。

 

●問い合わせ先
NEC 医療ソリューション事業部
TEL 03-3798-6756
http://www.nec.co.jp/medsq/

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