第1回日本メディカルAI学会学術集会が開催

2019-2-12

AI(人工知能)


第1回学術集会には約1150人が参加

第1回学術集会には約1150人が参加

医療分野における人工知能(AI)の研究開発が国際的に過熱する中,第1回日本メディカルAI学会学術集会が2019年1月25日(金),26日(土)の2日間の日程で,国立がん研究センター研究所新研究棟(東京都中央区)において開催された。同学会の代表理事である浜本隆二氏(国立がん研究センター研究所分野長)が学術集会会長を務め,テーマには「我が国におけるメディカルAI研究分野の発展に向けて—Precision Medicine時代におけるAI研究—」が掲げられた。初日25日に開会に当たり挨拶した浜本氏は,医療分野のAI研究開発の競争が激化しており,日本のプレゼンスを高めることが重要であると述べた。そして,政府の科学技術政策「Society 5.0」の下で進められているAI関連施策について触れ,産官学が連携してオールジャパン体制で取り組んでいる現状を紹介した。その上で,浜本氏は,医療分野のAIは多くの可能性を持っているが現状では課題が多いと述べ,その解決を図り国際競争力を高めることの重要性に言及した。同学会は,このような考えから2018年4月に設立。2019年1月25日の時点で会員数は734人となっている。このうち医療系の会員が61%を占めている。また,賛助会員は20社となっている。なお,第1回学術集会には約1150人が参加した。

学術集会会長:浜本隆二 氏 (国立がん研究センター研究所)

学術集会会長:
浜本隆二 氏
(国立がん研究センター研究所)

   

 

第1回学術集会は,基調講演が4題,パネルディスカッションが1セッション,シンポジウムが8セッション,一般演題が9セッション(34題)というプログラム構成となった。浜本氏の挨拶に続き始まった基調講演1では,間野博行氏(国立がん研究センター理事/研究所長/がんゲノム情報管理センター長)が,「メディカルAIの未来」をテーマに講演した。間野氏は,厚生労働省が2017年に開催した「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会」の座長を務めた。基調講演の中で間野氏は,同懇談会の報告書を概説したほか,日本のがんゲノム医療体制とAIの役割などを説明。医療分野のAIは,幅広い領域にまたがっており,がんゲノム医療はAIがなくては成り立たない述べ,その重要性を強調した。

また,基調講演2では,宮野 悟氏(東京大学医科学研究所教授)が登壇。「がんビッグデータ解析の現状と未来」と題して講演した。宮野氏は,がんゲノム医療におけるゲノム解析の重要性を説明し,同研究所のスーパーコンピュータ「SHIROKANE」や日本アイ・ビー・エム(IBM)の「IBM Watson for Genomics」を用いたがん医療について解説した。

間野博行 氏(国立がん研究センター研究所)

間野博行 氏
(国立がん研究センター研究所)

宮野 悟 氏(東京大学医科学研究所)

宮野 悟 氏
(東京大学医科学研究所)

 

 

2日目の26日には,榑林陽一氏〔内閣府官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)プログラムディレクター/神戸大学学術・産業イノベーション創造本部特命教授〕による基調講演3「我が国におけるメディカルAIの展望—新薬を加速化する人工知能の開発」が行われた。榑林氏は,創薬の課題として,研究開発が高コストで,長期間を要することなどを挙げた。そして,生産性向上にはAIの活用が重要だとして,PRISMの概要などを紹介した。

同じく2日目に行われた基調講演4では,大江和彦氏(東京大学大学院医学系研究科教授/日本医療情報学会代表理事)が登壇。「AI医療開発のための次世代電子カルテと臨床データベース」と題して,医療データのAI活用について講演した。大江氏は,AIの研究開発は,大量の医療データが必要であり,リアルワールドビッグデータを収集することが重要だと述べた。その上で,次世代電子カルテには,標準・共通のデータ利用プラットフォームが求められるとして,次世代標準健康医療記録システム(AI-NeXEHRS)を提唱した。

榑林陽一 氏(PRISM)

榑林陽一 氏
(PRISM)

大江和彦 氏(東京大学)

大江和彦 氏
(東京大学)

 

 

榑林氏の基調講演の後に行われたパネルディスカッションでは,「日本におけるメディカルAI研究の発展に向けて」をテーマに,浜本氏が座長を,榑林氏,間野氏,大江氏,西田俊明氏(国立がん研究センター中央病院病院長),杉山 将氏(理化学研究所革新知能統合研究センターセンター長/東京大学大学院新領域創成科学研究科教授)がパネリストを務めた。このパネルディスカッションは,個人情報保護法や次世代医療基盤法などの法令を順守しつつ研究開発を加速させるための方策などを議論する場として設けられた。榑林氏からは創薬の観点からAIの研究開発,間野氏からは目的志向型AIの重要性が言及された。また,大江氏は,質の高いデータを安全に活用できる仕組みが必要だと指摘。西田氏は,医療が高度化する中,診療にAIを取り入れる体制が求められると述べた。杉山氏は研究者不足を課題に挙げて,医工連携や人材育成の必要性を訴えた。この人材育成については,間野氏から医学教育のカリキュラムにプログラミングを取り入れるといった意見も出された。このほか,診療報酬上での取り扱いや薬機法承認などの動きに関する話題も取り上げられた。

人材育成などについて意見交換したパネルディスカッション

人材育成などについて意見交換した
パネルディスカッション

 

 

このほか,企業のブース展示も行われ,12社・団体が出展した。また,キヤノンメディカルシステムズ(株),エヌビディア(同)/(株)GDEPアドバンス,日本マイクロソフト(株)がランチョンセミナーを共催した。

12社・団体が出展したブース展示

12社・団体が出展したブース展示

キヤノンメディカルシステムズのランチョンセミナー

キヤノンメディカルシステムズのランチョンセミナー

 

次回の第2回学術集会は,2020年1月31日(金),2月1日(土)の2日間の日程で,東京ビッグサイトTFTホール(東京都江東区)を会場に開催される予定である。学術集会会長は瀬々 潤氏〔(株)ヒューマノーム研究所代表取締役社長/産業技術総合研究所人工知能研究センター招聘研究員〕が務め,「AIを医師にも患者にも」がテーマに決まった。

 

●問い合わせ先
日本メディカルAI学会
事務局
(国立研究開発法人国立がん研究センター研究所がん分子修飾制御学分野内)
TEL 03-3547-5201
https://www.japan-medical-ai.org

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