バリアンメディカルシステムズ,「varian seminar 2018」を開催
「高品質なケアをより多くの人に〜がん医療の中の放射線治療〜」のテーマのもと,全国4会場に約400人が参集

2018-7-25

バリアンメディカルシステムズ

放射線治療


約200名が参加した東京会場の様子

約200名が参加した東京会場の様子

(株)バリアンメディカルシステムズは,2018年7月21日(土),「varian seminar 2018」を開催した。本セミナーは,東京と大阪の2か所のメイン会場〔ベルサール秋葉原(東京都千代田区),マイドームおおさか(大阪府大阪市)〕と,仙台・福岡のサテライト会場2か所,計4会場をインターネットで中継して行われたもの。「高品質なケアをより多くの人に〜がん医療の中の放射線治療〜」のテーマのもと,全国から約400名が参集した。

大阪会場(左上)およびサテライト会場の様子

大阪会場(左上)およびサテライト会場の様子

 

 

冒頭,同社代表取締役のミッチェル・シロン氏が挨拶に立ち,同社のグローバルコンセプトとして,放射線治療装置やサービスの提供だけでなく,がん医療全体に貢献する企業へと戦略をシフトすると述べた。それに伴い,2017年には社名ロゴを刷新したほか,ユーザーとのコラボレーションや教育にも注力しており,本セミナーもその一環であると紹介。また,具体的な取り組みの柱として,キャンサーケアネットワークを実現するプラットフォームの構築や,放射線治療の認知度向上をめざしたPatient Advocacyの取り組み,がん医療連携ネットワークの構築を挙げ,「がん医療の課題の解決に注力し,がん医療の中の放射線治療の位置づけを向上していきたい」と述べた。

ミッチェル・シロン 氏(代表取締役)

ミッチェル・シロン 氏
(代表取締役)

   

 

プログラムは,第1〜3部と特別講演で構成された。東京会場で行われた第1部では,井内俊彦氏(千葉県がんセンター)が座長を務め,「転移性脳腫瘍に対する定位手術的照射の新たな潮流」をテーマに,3名の演者が同社の放射線治療装置「TrueBeam Ver.2.7」にオプション搭載可能な定位手術的照射(SRS)専用ツール“HyperArc”の有用性を報告した。日本では今春,薬機法承認を取得したHyperArcは,多発性脳腫瘍の複数病変に対するSRSのノンコプラナー治療を一度で施行でき,治療時間の大幅な短縮が可能となる。講演1では,Agam Sharda氏(Varian Medical Systems Inc., US)が「HyperArc : Establishing a New Benchmark for Radiosurgery」と題して,HyperArcの技術的特長や海外での臨床実績を紹介した。また,講演2では,大平新吾氏(大阪国際がんセンター)が「HyperArcによる転移性脳腫瘍に対する定位手術的放射線治療計画」と題し,従来のVMATと比較したSRS治療計画の特長を報告。HyperArcでは,自動化や,正常脳への線量低減,高いconformityなどによりVMATよりも優れた治療計画が作成でき,臨床的に有用なツールとなりうるとまとめた。講演3は,角谷倫之氏(東北大学病院)が,「転移性脳腫瘍に対するHyperArcの有効性の検討」と題して,複数転移性脳腫瘍症例を対象にしたサイバーナイフとHyperArcの治療計画の比較について報告した。HyperArcではサイバーナイフと同等の優れた線量計画が容易に作成できるとし,HyperArcの普及によって脳のSRSが簡便かつ高精度に実施可能となることへの期待を述べた。

第1部座長:井内俊彦 氏(千葉県がんセンター)

第1部座長:井内俊彦 氏
(千葉県がんセンター)

Agam Sharda 氏(Varian Medical Systems Inc., US)

Agam Sharda 氏
(Varian Medical Systems Inc., US)

 
     
大平新吾 氏(大阪国際がんセンター)

大平新吾 氏
(大阪国際がんセンター)

角谷倫之 氏(東北大学病院)

角谷倫之 氏
(東北大学病院)

 

 

大阪会場で行われた特別講演では,中村聡明氏(関西医科大学)が座長を務め,太田陽介氏(兵庫県立がんセンター)が「免疫放射線療法への期待〜基礎から臨床まで〜」と題して,免疫療法と放射線照射を併用することで得られる効果や有用性などを報告した。
放射線照射による免疫活性化の機序が解明されつつあり,局所抗腫瘍効果の増強のみならずアブスコパル効果に示される全身免疫活性化のトリガーとしての放射線治療の新たな展開が期待されると述べた。

同じく,大阪会場にて行われた第2部では,長谷川正俊氏(奈良県立医科大学)が座長を務め,「高品質治療のさらなる可能性」をテーマに2つの講演が行われた。講演1は,松浦寛司氏(広島市立広島市民病院)が,「緊急照射における高品質放射線治療〜広島市民病院での取り組み〜」と題し,がん救急における放射線照射について報告した。緊急照射に求められる技術や,VAMTやIMRTなどの高精度放射線治療法を選択する際の考慮点などについて実際の症例を踏まえて述べ,従来,症状緩和を主目的として行われる緊急照射であるが,臨床因子によっては高精度照射技術を用いた“高品質緊急照射”を行う意義は大きいと強調した。講演2は,Talia Jarema氏(ICON group,Toowoomba,Australia)が「Varian Halcyon : Commissioning, QA & Plan Quality」と題し,日本では2017年11月に薬機法承認を取得した同社の放射線治療装置の新製品「Halcyon」の特長や品質保証(QA)について述べた。Halcyonは,100cmの大きなガントリ開口径や,独自開発の2段式マルチリーフコリメータ「Dual-Layer MLC」,ガントリ回転速度の高速化,ワークフローの効率化などにより,高精度なIMRTが簡便に行える装置となっている。インストール期間が短いことも特長であり,同院では2017年9月にHalcyonを導入し,10月には第1例目の治療が実施できたことや,稼働までのQAテストの詳細などのほか,高精度な治療が低線量で実施できていることなどが紹介された。

東京会場で行われた第3部では,小口正彦氏(がん研究会有明病院)が座長を務め,「高品質なケアを多くの人に」をテーマに3つの講演が行われた。講演1は,樽谷和雄氏(関西労災病院)が,「ARIAによる治療情報システム構築・運用の実際」を報告した。同社の放射線治療データ管理システム「ARIA」は,HIS連携機能やワークフロー管理機能などにより,放射線治療に関する情報の一元管理が可能である。同院では,ARIAを用いて治療RISを介在させないシステム構築を実現したことで,省スペース化が図られたほか,過去の照合画像を確認しながら治療できるなど多くのメリットがあることを,実際のワークフローを示しながら報告した。講演2は,糟谷健夫氏(神奈川県立循環器呼吸器病センター)が,「放射線治療をより利用してもらうために〜その周知と連携について〜」と題し,院内および他院への放射線治療の認知度向上のための取り組みを紹介。また,最後に,講演3では,清水口卓也氏(がん・感染症センター都立駒込病院)が,「がん診療連携拠点病院における治療方針決定と理想のキャンサーボード」として,同院で行われているキャンサーボードの実態と重要性を報告した。

第3部座長:小口正彦 氏(がん研究会有明病院)

第3部座長:小口正彦 氏
(がん研究会有明病院)

樽谷和雄 氏(関西労災病院)

樽谷和雄 氏
(関西労災病院)

 
     
糟谷健夫 氏(神奈川県立循環器呼吸器病センター)

糟谷健夫 氏
(神奈川県立循環器呼吸器病センター)

清水口卓也 氏(がん・感染症センター都立駒込病院)

清水口卓也 氏
(がん・感染症センター都立駒込病院)

 

 

●問い合わせ先
(株)バリアンメディカルシステムズ
マーケティング部
TEL 03-4486-5020
https://www.varian.com/ja

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