フィリップス,Value based careに向けた画像診断を考える「Philips Summer Seminar 2018」が開催
——“First Time Right”のソリューションがもたらすメリットを紹介

2018-7-25

フィリップス・ジャパン


“First Time Right”に焦点を当てたセミナー

“First Time Right”に焦点を当てたセミナー

(株)フィリップス・ジャパンは2018年7月21日(土),東京国際フォーラム(東京都千代田区)において,放射線科医や診療放射線技師を対象に,「Philips Summer Seminar 2018」を開催した。欧米を中心に広がっているvalue based care(価値ベースの医療)と,それに向けた同社の画像診断装置を中心とした“First Time Right”のソリューションについての講演が行われた。今春の2018国際医用画像総合展(ITEM in JRC 2018)の同社ブースの展示テーマである“First Time Right”は,「一度で正確な診断」を意味する。「診断のアウトプットを向上させ,患者のストレスを緩和し,再現性・信頼性の高い検査を実現する」ことをめざしており,value based careにも結び付くものである。セミナーでは,この観点からプログラムが組まれ,2部構成で計6題の講演が用意された。開会に先立ち挨拶に立った代表取締役社長の堤 浩幸氏は,“First Time Right”を具現化するには,患者や医療従事者といった人を中心に考えることが重要であり,タイムリーかつ確実で,生産性・効率性の高い医療を,ユーザーとともに実現したいと,今回のセミナーの目的を説明した。続いて,セミナーの代表世話人である山下康行氏(熊本大学大学院生命科学研究部生命情報分析医学講座放射線診断学分野)が挨拶し,6人の演者の講演から,“First Time Right”について考えてほしいと述べた。

堤 浩幸 氏(代表取締役社長)

堤 浩幸 氏
(代表取締役社長)

代表世話人・第一部座長:山下康行 氏(熊本大学)

代表世話人・第一部座長:
山下康行 氏
(熊本大学)

 

 

この後,山下氏を座長に,第一部の講演が行われた。

最初に,基調講演として,隈丸加奈子氏(順天堂大学医学部放射線診断学講座)が登壇。「Value Based CareとFirst Time Right〜新しい時代の画像診断〜」をテーマに講演した。隈丸氏は,医療の価値(value)は「達成された患者の健康効果÷アウトカム達成に伴う損失」であるとし,value based careとはvalueの高い医療を推進する動きであると説明した。また,日本の診療報酬は,出来高払いから包括払いへと進み,さらに費用対効果など価値に基づく支払いへと移行していると述べた。その上で,隈丸氏は,迅速かつ高精度の診断を行う“First Time Right”はvalue based careを後押しするものであるとまとめた。

隈丸加奈子 氏(順天堂大学)

隈丸加奈子 氏
(順天堂大学)

   

 

次に,真鍋徳子氏(北海道大学病院放射線診断科)が,心臓領域について「マルチコントラストがかなえる治療に直結する心血管病変の診断」をテーマに講演した。真鍋氏は,同社の「IQon Spectral CT」による心臓領域の画像診断について,コントラストの概念が変わり,造影剤量を減少し,診断も変わると説明。IQon Spectral CTは,診断から治療までのプロセスを効率化して,時間を短縮し,“First Time Right”を実現する装置であると述べた。さらに真鍋氏は,IQon Spectral CTによるスペクトラルイメージングについて解説し,レトロスペクティブにスペクトラルイメージを取得でき,検査部位を問わず,放射線線量も最適化が可能で,心電図同期下でもズレのない画像を得られると説明した。さらに,症例画像を提示した上で,腎機能低下症例などへの心臓CT適用拡大についても言及した。

真鍋徳子 氏(北海道大学)

真鍋徳子 氏
(北海道大学)

   

 

第一部3番目の講演では,脳神経領域について「脳神経疾患の初療におけるArterial Spin Labelingの役割」をテーマに,新谷好正氏(小樽市立病院脳神経外科)が登壇した。新谷氏は,arterial spin labeling(ASL)法による血流について解説を行った。同院では,救急領域でのMRI検査においてルーチンでASL法を用いており,同社の「Ingenia 3.0T」を使用し,2014年12月〜2018年6月に脳神経疾患の5000例に対してASL法での撮像を行っている。新谷氏は,その症例画像を示して,その有用性を説明し,局所脳血流や脳血液量の変化などを鋭敏にとらえることができるなど,必要不可欠撮像法であるとまとめた。

新谷好正 氏(小樽市立病院)

新谷好正 氏
(小樽市立病院)

   

 

休憩を挟んで行われた第二部では,五島 聡氏(岐阜大学医学部附属病院放射線部)が座長を務めた。まず,腹部領域について,片平和博氏(熊本中央病院放射線科)が「腹部領域におけるFirst Time Rightを考える」をテーマに講演した。片平氏は腹部領域の画像検査について,非造影MRI,非造影CT,造影MRI,造影CTの順で,被検者の不快度が高くなるとし説明し,胆道系スクリーニング,膵スクリーニング,副腎腫瘍チェック,腎腫瘍スクリーニング,肝腫瘍チェック,骨盤内臓器精査,腹部大血管フォローにおけるMRI検査について解説した。さらに,IQon Spectral CTを用いた腹部CTにも言及し,空間分解能に加えコントラスト分解能の高い画像を得ることができるという有用性を示した。その上で片平氏は,CTとMRIそれぞれの有用性を理解し,使い分けることが重要であると述べた。

第二部座長:五島 聡 氏(岐阜大学)

第二部座長:
五島 聡 氏
(岐阜大学)

片平和博 氏(熊本中央病院)

片平和博 氏
(熊本中央病院)

 

 

続いて,診断支援領域として「First Time Rightに求められる検査画像とは」と題し,麻生智彦氏(国立がん研究センター中央病院放射線技術部)が講演した。麻生氏は,放射線診断における三原則として,正当化,最適化,線量限度の3点を挙げて,これによって得られるのが最適・効率的で安全確保された診断価値のある画像,“First Time Right”が求める検査画像であると述べた。その上で,診療放射線技師は,知識と技術に基づき,正しい部位と体位を把握し,適切な条件とプロトコールによって最適な撮影と画像処理を行い,さらに装置の理解と管理,安全の確認と利用をしなければならないと指摘。また,診療放射線技師は自己研鑽により知識と技術の向上を図ることが重要だと説明した。

麻生智彦 氏(国立がん研究センター中央病院)

麻生智彦 氏
(国立がん研究センター中央病院)

   

 

第二部最後の講演では,「機械学習の基本と臨床応用」をテーマに,中浦 猛氏(熊本大学大学院生命科学研究部生命情報分析医学講座放射線診断学分野)が講演した。中浦氏は,ディープラーニングについて2012年の画像認識コンテストにおいてトロント大学が圧勝して以降,注目されるようになり,医用画像など,放射線医学への応用に向けた研究開発が進んでいると説明した。その上で,実際の医用画像において,ディープラーニングを用いて画質の改善を図った例や,ディープラーニングの手法である敵対的生成ネットワーク(GAN)により画像解析などを紹介した。中浦氏は,ディープラーニングは,多様な応用が可能であるが,パフォーマンスを発揮できるかどうかは使用者にかかっていると述べた。

中浦 猛 氏(熊本大学)

中浦 猛 氏
(熊本大学)

   

 

すべての講演後には,PhilipsのDiagnostics Imaging部門Global MarketingのVice PresidentであるTamanna Bembenek氏が挨拶を行い,盛況のうちに閉会となった。

Tamanna Bembenek 氏(Philips)

Tamanna Bembenek 氏
(Philips)

   

 

●問い合わせ先
(株)フィリップス・ジャパン
ブランドコミュニケーション部
TEL 03-3740-5896
www.philips.co.jp/healthcare

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