LINK-Jが医療とAIをテーマにしたイベントを開催

2018-5-21

AI(人工知能)


AIへの期待や普及への課題を話し合ったパネルディスカッション

AIへの期待や普及への課題を話し合った
パネルディスカッション

一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)は2018年4月20日(金),日本橋ライフサイエンスハブ(東京都中央区)において,「ドクターとAIの協力がもたらす医療現場の革新」をテーマにしたイベントを開催した。LINK-Jは,ライフサイエンス分野での新産業創出のための人や企業の交流,情報交換・共有の場を提供することを目的に,2016年6月に三井不動産(株)などによって設立された。LINK-Jでは,その活動を支援するためのサポーター制度を設けており,サポーターを中心としたイベントを定期的に設けている。「第12回 LINK-J ネットワーキング・ナイト WITH SUPPORTERS」と銘打ったこのイベントでは,(株)インディージャパン代表取締役テクニカルディレクターの津田真吾氏が参加し,医療現場のAI活用に取り組む3名の演者による講演とパネルディスカッションが設けられた。開会に当たり,まずLINK-J理事/事務局長の曽山明彦氏が挨拶。その後,LINK-Jサポーターの津田氏が,医療はAIとの親和性が高く導入しやすいとして,今回のイベント開催のねらいを説明した。

曽山明彦 氏(LINK-J)

曽山明彦 氏
(LINK-J)

津田真吾 氏(インディージャパン)

津田真吾 氏
(インディージャパン)

 

 

続いて,最初の演者として,エヌビディア(同)エンタープライズ事業部マネージャーの山田泰永氏が登壇。「医師と共存するAI—医療分野でのディープラーニングの普及に向けて」をテーマに講演した。山田氏は,同社のGPUがディープラーニングの研究開発において標準環境になっていると述べ,GEヘルスケアとの提携など,医療分野における取り組みを説明した。その上で,機械学習の定義,畳み込みニューラルネットワーク(CNN),リカレントニューラルネットワーク(RNN)といったディープラーニングの手法を解説した。さらに,山田氏は,同社のGPUを用いたディープラーニングによる医用画像の解析処理技術を開発するエルピクセル社などを紹介したほか,米国マサチューセッツ総合病院のAI開発を取り上げた。最後に山田氏は,ディープラーニング活用への課題として,AI活用戦略,データの量と質,投資判断の3つの観点から解説。データを集めるためには国家レベルの取り組みも重要と指摘したほか,リスクをとって投資する企業が先行して利益を得ることができると述べた。

次いで,Ubie(株)の共同代表取締役兼医師の阿部吉倫氏が登壇し,「AI問診で医療をredesignする」と題して講演した。阿部氏は,まず,重厚な初診カルテ,長い待ち時間と患者満足度低下,人件費増大と医師QOL低下という医療機関が抱える課題を指摘。その解決に貢献するソリューションとして開発したAIを用いた問診アプリケーション“Ubie”を紹介した。Ubieは,患者の主訴などに応じ,AIが問診内容を出題し,詳細な問診を作成することができる。患者はタブレットにタッチ操作で入力するだけで,紙の問診票よりも大幅な効率化と時間短縮が図れる。2018年4月時点で,40施設の病院が運用しており,3病院が導入を予定している。阿部氏は,Ubieの問診アルゴリズムや継続的な学習の仕組みなどを解説したほか,画像認識技術を用いた“Ubieお薬サマリー”も紹介した。

3番目に登壇した東京都医師会理事で,目々澤醫院院長の目々澤 肇氏は,「将来,診療所のデスクトップでAIが役立てることはあるか?」をテーマに講演した。目々澤氏は4月から本稼働を開始した東京総合医療ネットワークを説明したほか,Ubie導入のメリットを説明し,問診時間が従来の1/3に短縮できていると述べた。その上で,日常診療の中で,AIが検査項目や可能性のある疾患を列挙するような技術に期待を示した。

山田泰永 氏(エヌビディア)

山田泰永 氏
(エヌビディア)

阿部吉倫 氏(Ubie)

阿部吉倫 氏
(Ubie)

目々澤 肇 氏(目々澤醫院)

目々澤 肇 氏
(目々澤醫院)

 

●問い合わせ先
一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)
TEL 03-3241-4911
http://www.link-j.org

AI(人工知能)


TOP