新生「キヤノンメディカルシステムズ」がスタート

2018-1-4

キヤノンメディカルシステムズ


新しいキヤノンロゴの下で挨拶する瀧口登志夫 氏(代表取締役社長)

新しいキヤノンロゴの下で挨拶する
瀧口登志夫 氏(代表取締役社長)

東芝メディカルシステムズ(株)は,2018年1月4日に社名を「キヤノンメディカルシステムズ(株)」に変更した。仕事始めとなる同日,栃木県大田原市の本社において社名変更のイベントを開催し,代表取締役社長の瀧口登志夫氏らが出席して鏡割りとキヤノンロゴの除幕式を行った。挨拶した瀧口氏は,「新生キヤノンメディカルシステムズとして新たな一歩を踏み出すことができた。この2年間の困難な時期を乗り越えられたのは,関係各方面の理解と全世界1万人の従業員が力を結集し一丸となった努力の賜だ。これまで100年におよぶ医療事業の歴史の中で築いてきた成果は“Made for Life”として当社の理念となっているが,その魂を新しい社名の下でも引き継ぎ,実現していくことがわれわれの使命だ。そしてキヤノングループの一員となることで,『共生』『三自の精神(キヤノンの行動指針の原点として創業期から受け継がれる“自発・自治・自覚”)』として表される素晴らしい企業文化を取り入れ,これをわれわれのものとして新たな歴史を築いていくことも今後のわれわれに求められることだ。新しい社名の下でスタートする記念すべき日に,改めて社員一同が力を合わせて取り組んではしい」とメッセージを送った。

東芝メディカルシステムズは,東芝(本体)の不正会計問題に端を発する経営危機を受け,2015年に発表された「新生アクションプラン」に基づき株式の売却が決定。2016年3月にキヤノングループ入りが決まり,規制当局の審査をクリアした同年12月に株式等譲渡契約が締結され正式にキヤノングループの子会社となった。社名については2017年1月に新社名を「キヤノンメディカルシステムズ」とすることを決定し,薬機法などの法規対応を進め10月に2018年1月4日からの変更を発表していた。

新しい門出を祝う鏡割り。左から信太泰雄 氏(取締役専務),築山浩幸 氏(労働組合委員長),瀧口 氏,鷲尾信宏 氏(取締役専務)

新しい門出を祝う鏡割り。左から信太泰雄 氏(取締役専務),築山浩幸 氏(労働組合委員長),瀧口 氏,鷲尾信宏 氏(取締役専務)

工場建屋の壁面に新たに掲げられた「Canon」のロゴをお披露目

工場建屋の壁面に新たに掲げられた「Canon」のロゴをお披露目

   
イベントには大田原市長の津久井富雄 氏も登壇し祝辞を述べた。

イベントには大田原市長の津久井富雄 氏も登壇し祝辞を述べた。

本社従業員約1000人が参加して行われた写真撮影(キヤノンメディカルシステムズ提供)

本社従業員約1000人が参加して行われた写真撮影
(キヤノンメディカルシステムズ提供)

 

瀧口社長はイベント終了後に記者の囲み取材に対応した。コメントと一問一答の概要は次の通り。

瀧口「2015年の『新生東芝アクションプラン』の発表から約2年,本日,社名を東芝メディカルシステムズからキヤノンメディカルシステムズへ変更することができた。1年前からキヤノングループ入りしていたとはいえ,社名をはじめとして“東芝”の影響が残っていた。新社名となり名実ともにキヤノングループ入りを果たしたことで,グループの成長のために尽力していく決意を新たにしたところだ。とはいえ,100年に渡って東芝グループの一員として事業を行ってきたことから,一部子会社の名称変更に時間がかかっているなど完全な離脱には今少し時間が必要だ。2018年は新社名の下で,“キヤノン化”を進める重要な年となる。
1月3日にキヤノングループの御手洗富士雄会長による基本方針,重点施策の発表があった。キヤノングループでは,ヘルスケアを含め4事業を中核と位置づけ,2017年にはさまざまな施策を実施し一定の基盤を築くことができた。2018年は,2020年に向けた中期経営計画のための新たなスタートの年となる。メディカル事業については,キヤノン本体にメディカル事業本部を設立し,キヤノンメディカルシステムズがその中心となる。キヤノンメディカルシステムズとなったことで,キヤノンのさまざまな良い面を取り入れ,化学反応を起こして成長を確かなものにしていきたい」

−−両社のシナジーを生かした製品はいつ頃?
ソフトウエアの製品については,2018年春にも投入を予定している。そのほか,製造現場ではすでにキヤノンの技術を取り入れて製造の革新を図っている。例えば製造機械の稼働音をモニタして動作の異常を感知するシステムを取り入れて,工場の生産性の向上を図っている。

−−キヤノンのシーズの活用はどこに期待するか?
1つは画像処理のソフトウエアだ。キヤノンは一眼レフなど民生用カメラで培ってきた画像処理の優れた技術がある。それを画像診断機器でどのように活用するか,現在,両手にあまる数のプロジェクトを立ち上げ検討を行っている。また,キヤノンと京都大学との10年におよぶ共同研究(京都大学・キヤノン協働研究プロジェクト)では,産学連携による医療分野での研究開発を行ってきたが,その中で開発された技術によって製品化が加速できるのではないかと検討を進めている。

−−キヤノンの既存のメディカル事業との関係は?
基本的な考え方として,医療機関を直接顧客にするビジネスは1つの顔でということでキヤノンメディカルシステムズに統合して進める。一方で,キヤノンが持っているフラットパネルディテクタ(FPD)などのコンポーネントは基本的にBtoBのビジネスで,場合によってはキヤノンメディカルシステムズの競合会社が顧客になっているケースもある。これについてはしっかりと切り分けてビジネスを展開する必要があると考えている。この2つを明確に分離して,キヤノンのこれまでの商流を活用してビジネスを展開していきたい。

イベント終了後,記者の囲みに答える瀧口氏

イベント終了後,記者の囲みに答える瀧口氏

 

 

●問い合わせ先
キヤノンメディカルシステムズ(株)
広報室
TEL 0287-26-5100
https://jp.medical.canon/

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