Vscan Extendを掲げる，
GEヘルスケア・ジャパンの多田社長

GEヘルスケア・ジャパン（株）は，2017年7月6日（木），ポケットに入る小型超音波診断装置「Vscanシリーズ」の最新機種となる「Vscan Extend」を発表し，マンダリンオリエンタル東京（中央区）にて記者発表会を開催した。

記者発表会では，GEヘルスケア・ジャパンの代表取締役社長である多田荘一郎氏，同社超音波本部プライマリケア部の清水俊博氏が，Vscan Extendについてヘルスケア事業の中での位置づけや製品ポイントを紹介した。また，プライマリケア，周産期医療，循環器診療の各領域から専門臨床医が登壇し，各領域における現在の課題と携帯型超音波診断装置への期待などを講演した。講演後には，多田氏，清水氏と講演者によるトークセッションや，Vscan Extendによるデモンストレーションなども行われた。

多田荘一郎 氏 （GEヘルスケア・ジャパン 代表取締役社長兼CEO）	清水俊博 氏 （GEヘルスケア・ジャパン 超音波本部プライマリケア部部長）
佐々木　淳 氏 （医療法人社団悠翔会 理事長・診療部長）	松岡　隆 氏 （昭和大学医学部産婦人科学講座 准教授）	渡辺弘之 氏 （東京ベイ・浦安市川医療センター ハートセンター長）

今回発表された「Vscan Extend」は，2010年に発売された「Vscanシリーズ」を7年ぶりに刷新し，よりプライマリケアに特化した機能を搭載した超音波診断装置となった。最初のVscanの立ち上げに超音波事業部長として携わった多田氏は，Vscan Extendについて，「医療の入り口となるプライマリケアにおいて，専門領域や他の医療機関へ“つなぐ”ためのツールとして最新技術を導入してさらなる進化を図った。Vscanシリーズは，これまで日本国内で約5200台を販売し，国別でも最多となっている。Vscan Extendは，日本のユーザーの声が反映されており，高齢化社会における医療の“質”と“アクセス”を向上する製品である」と述べた。

Vscan Extend は，寸法168mm（高さ）×76mm（幅）×22mm（奥行き），重量441g（プローブを含む）のコンパクトな筐体に5インチの液晶ディスプレイを採用し，プライマリケアに必要な可搬性を維持しながら診断画像の視認性を向上した。さらに，タッチパネル操作の採用により，診断中でも片手でカラー/モノクロ表示の切り替えが行えるなど，直感的な操作を実現した。主電源を切らずに待機状態へ移行した場合，最短で1秒での起動が可能となった。
Vscan Extendの特徴を説明した清水氏は，「Vscan Extendは超音波診断装置に求められる操作性，起動時間，携帯性を向上し，救急現場や在宅医療に必要なハードウェアとして大きな進化を遂げている」と述べた。
また，プライマリケアに対応するアプリケーションとして，「在宅医療を担当する医師からのニーズにいち早く応え，残尿量を半自動で測定するアプリケーションを搭載した。これにより，コミュニケーションが困難となった高齢者に対しても残尿量の把握が行え，排尿障害のケアによるQOLの向上が期待できる」と解説した。
ほかにも，1本でリニア/セクタの切り替えが可能な「Vscan Dual Probe」にも対応し，心臓，腹部，血管表示，肺エコーなど，さまざまな領域で高画質の診断画像を描出する。また，Wi-Fi通信に対応し，DICOM規格画像のサーバ転送や，専用クラウドストレージサービスでの共有が可能となった。

5インチのタッチパネルを採用した Vscan Extend

リニアとセクタを1本にまとめた Vscan Dual Probe

臨床医による講演では，（1）医療法人社団悠翔会理事長・診療部長の佐々木　淳氏が「在宅・訪問診療におけるポータブル医療機器とICTの活用」，（2）昭和大学医学部産婦人科学講座准教授の松岡　隆氏が「産婦人科領域における助産師との協働の取組み」，（3）東京ベイ・浦安市川医療センターハートセンター長の渡辺弘之氏が「プライマリケアを専門的診療へ」の3題が行われた。

Vscan Extendを使った胸部エコーの デモンストレーションを行う渡辺氏