第8回ADCT研究会が開催
2017-1-23
ADCTの進化を知る貴重な機会
第8回ADCT研究会が2017年1月21日(土),尾張一宮駅前ビル(i-ビル)7階のシビックホール(愛知県一宮市)を会場に開催された。東芝メディカルシステムズ(株)との共催で,年1回のペースで開かれるこの研究会は,同社のarea detector CT(ADCT)「Aquilion ONE」の技術や,検査のノウハウなどを共有する場として回を重ねてきた。当初,Aquilion ONEの導入施設は限られていたが,その後多くの施設で使われており,それとともに,装置のラインアップも増え,多様な臨床ニーズに応えている。当番世話人を務めた研究会理事長の井田義宏氏(藤田保健衛生大学病院)は,「装置の普及に伴い,高精度で低侵襲な検査を構築する時期である」と,研究会の活動の方向性を示した。今回の研究会もこの方針に基づき,2016年12月18日(日)に行われた「画論―The Best Image 2016 」の表彰者講演を設けたほか,1回転で160mmを撮影できる「もう一つのADCT」として,GEヘルスケア・ジャパン(株)の「Revolution CT」に関する講演も行われた。
井田氏の挨拶に続き,東芝メディカルシステムズからの情報提供が行われ,同社の堤 高志氏が,RSNA 2016の出展概要のほか,Aquilion ONEシリーズの最新・最上位機種の「Aquilion ONE / GENESIS Edition」と,超高精細CT,冠血流予備量比(FFR)を測定するアプリケーション“SURECardio CT-FFR”について解説した。
この後,辻岡勝美氏(藤田保健衛生大学)が座長を務め,「画論2016表彰者講演」が行われた。先に「64〜160列(心血管)部門」の最優秀賞を受賞した藤代 渉氏(平塚市民病院)が,「下腿の穿通枝動脈描出を目的とするニトログリセリン舌下スプレー剤を用いたCTA」と題し講演した。藤代氏は皮弁形成術の術前CT検査において,造影剤注入時直前にニトログリセリン舌下スプレー剤を使用し末梢血管を拡張させて,微細な穿通枝動脈を描出したノウハウを報告した。さらに,「Aquilion ONE部門」の最優秀賞・テクニカル賞を受賞した倉持賢司氏(聖マリアンナ医科大学病院)が,「右環指MP関節部AVM」をテーマに講演した。倉持氏は,ガントリに対して手を斜めにポジショニングすることで撮影範囲を広くしたこと,寝台に腰をかけた座位での撮影にしたこと,模擬心電図波形を用いた心電同期間歇スキャンを行ったことなどの工夫を説明した。
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さらに,中屋良宏氏(静岡県立静岡がんセンター)と牛尾哲敏氏(滋賀医科大学医学部附属病院)を座長に,一般演題の発表が行われた。まず,室賀浩二氏(長野赤十字病院)が「頭部領域で被ばくを減らすには?〜当院での被ばく低減プロトコル」と題し,“Organ Effective Modulation(OEM)”による水晶体被ばく低減,ザイオソフト(株)の“PhyZiodynamics”と模擬心電図波形による心電同期撮影による4D-CTの被ばく低減について発表した。2番目に登壇した佐々木忠司氏(岩手医科大学附属病院循環器医療センター)は,「ADCTにおける小児領域の撮影」をテーマに,“FIRST”による被ばく低減や“SEMAR”によるアーチファクト低減といった検査のポイントを解説した。続いて,滝口京佑氏(静岡県立静岡がんセンター)が,「ボリュームMPRによるCT下穿刺ナビゲーション」と題して,穿刺が困難な病変にも安全で高精度な穿刺を可能にするvolume MPRを紹介した。4番目の発表では,朝倉一義氏(北九州総合病院)が「Aquilion ONE / GENESIS Editionの使用経験」をテーマに,FIRSTや“PUREViSION Optics”などの技術と検査の実際を報告した。
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この後,井田氏がADCT研究会の活動報告を行い,特別企画へと移った。特別企画では,井田氏が座長を務め,横町和志氏(広島大学病院)が「The Revolution」をテーマに,Revolution CTの使用経験を報告した。横町氏は物理特性について解説した上で,心筋ダイナミックCTなどの症例画像を供覧した。また,高速撮影技術である“HyperDrive”など,今後搭載される予定の技術を紹介した。
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続いて特別講演が行われた。片田和広氏(藤田保健衛生大学)が座長を務め,元山貞子氏(藤田保健衛生大学)が「最新CTによる循環器領域診断」をテーマに講演した。元山氏は循環器内科医の立場から,虚血性心疾患の診断と治療において,CTは狭心症の除外診断や急性冠症候群の診断,予測,治療効果判定に有用であると説明した。また,超高精細CTやSURECardio CT-FFRを紹介し,診断能の向上が期待されると述べた。
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なお,当日の総合司会は,瓜倉厚志氏(静岡県立静岡がんセンター)が務めた。また,会場横では,(株)AZE,アミン(株)/ザイオソフト(株)(株)インテグラル,(有)クオリタ,(株)根本杏林堂,東芝メディカルシステムズが機器展示を行った。
次回は2018年1月に大阪府での開催を予定している。当番世話人は辻 貴裕氏(天理よろづ相談所病院)が務める。
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●問い合わせ先
ADCT研究会事務局
藤田保健衛生大学病院(放射線部CT室)
TEL 0562-93-2748
http://adct.kenkyuukai.jp/special/?id=4618