シーメンスヘルスケアが「RSNA 2016 Flash Seminar」を開催

2016-12-21

シーメンスヘルスケア


会場の様子

会場の様子

シーメンスヘルスケア(株)は2016年12月17日(土),ベルサール神田(東京都千代田区)にて「RSNA 2016 Flash Seminar」を開催した。本セミナーは,2016年11月27日(日)〜12月2日(金)に米国シカゴで開催されたRSNA 2016(第102回北米放射線学会)にて発表された最新の知見と,展示会における同社の最新情報を紹介するもので,12月から2017年1月にかけて全国9都市で開催される。この日は,東京会場と福岡会場(TKP博多駅前シティセンター:福岡市博多区)の2会場で開催された。
東京会場では,RSNAで発表された臨床や技術の最新情報を紹介する講演が3題と,同社が展示会で発表した各モダリティ(超音波,X-ray,CT,IT・デジタルヘルス,核医学,MRI,アンギオグラフィ・サージカルイメージ)の報告が行われた。

冒頭,北関東新潟営業部部長の明吉保彦氏が挨拶に立ち,「シーメンスは2014年に発表した中期経営計画“Vision 2020”の中で,ヘルスケア事業を独立経営していくことを決めた。2016年5月に新ブランド“Siemens Healthineers”を発表しているが,今後,ヘルスケアのパイオニア精神とエンジニアリングの高い専門知識を合わせ,医療画像から臨床検査まで幅広い分野でイノベーションを起こし,ユーザーとともに医療に貢献できるように取り組んでいく」と述べた。
セミナーの座長は,国家公務員共済組合連合会虎の門病院放射線部副部長の田野政勝氏が務めた。

明吉保彦 氏(北関東新潟営業部)

明吉保彦 氏
(北関東新潟営業部)

座長:田野政勝 氏(虎の門病院)

座長:田野政勝 氏
(虎の門病院)

 

 

最初に,東京慈恵会医科大学放射線医学講座教授の福田国彦氏が,「RSNAクリニカルレポート」を発表した。福田氏はまず,RSNA 2016のテーマや,大会長講演,特別講演について紹介し,金沢大学名誉教授の松井 修氏が日本人として8人目の名誉会員に選出され,国別の名誉会員数がフランスを抜いて単独5位となったと述べた。また,学会運営の変化として,セッション参加が予約不要となったことや企業主催シンポジウムの新設,Virtual Meetingの充実を挙げた。そして,今回の学会で目立ったこととしてRadiomics(Radiologyとビッグデータを系統的に扱う学問Omicsの合成語),QIBA(定量指標をバイオマーカー化する研究),Precision Medicine(個別化医療)を挙げるとともに,「Eyes of Watson」体験コーナーを紹介し,来年にはAI(人工知能)はより進化しているだろうと展望した。加えて,シーメンスが発表したコンピュータユニット一体型CT を取り上げ,究極のCTの一つの姿であると評価した。最後に福田氏は,PACSにより放射線科による画像の独占は終わり,放射線科を取り巻く環境は大きく変わりつつあるとし,バイオマーカー研究なども含め新しい分野に積極的に関わっていくべきであると締めくくった。

次いで,「RSNAテクニカルレポート」として,金沢大学医薬保健研究域保健学系量子医療技術学講座教授の市川勝弘氏によるビデオ講演が行われた。市川氏は,CT,MRI,ブレストイメージングを中心に,注目される学会での発表を紹介するとともに,各社の技術動向を説明した。CTについては,フォトンカウンティング技術が臨床を見据えた評価段階となりつつあり,高解像度CTへの期待が高まっているとした。また,各社とも診断価値を上げるために装置性能の向上を図っていることや,定量化イメージングがますます進化していることを報告した。

セミナー後半では,順天堂大学医学部・大学院医学研究科放射線医学教室放射線診断学講座准教授の堀 正明氏が登壇し,「RSNAレポートおよびSMSの臨床応用」と題して発表した。シーメンスブースで注目した技術を紹介した堀氏は,中でも複数の断面を同時に励起,撮像することで撮像時間を短縮する“Simultaneous Multi-Slice(SMS)”と,これを活用した脳神経領域のミエリン定量を行う後処理ソフトウェアについて詳述した。このソフトウェアは,T1緩和,T2緩和からミエリン(髄鞘)を推定するものでミエリンそのものを測定しているわけではないが,健常例では良好な結果を得られており,症例検討も進められていると述べた。また,SMSについて手法を概説するとともに,複数のb値で撮像するmulti-shellの有用性について,高精細な画像が期待できるDKIトラクトグラフィなどの臨床画像を示して説明した。SMSの臨床応用(研究)として,順天堂大学での研究状況も交えながらoscillating gradient spin-echo(OGSE)や脊髄拡散MRIについて解説し,今後の可能性を展望した。

福田国彦 氏(東京慈恵会医科大学)

福田国彦 氏
(東京慈恵会医科大学)

堀 正明 氏(順天堂大学)

堀 正明 氏
(順天堂大学)

 

 

市川勝弘氏(金沢大学)はビデオ講演にて発表

市川勝弘氏(金沢大学)はビデオ講演にて発表

会場には,心臓弁の自動解析ソフトを搭載した超音波画像診断装置「ACUSON SC2000 PRIME」と「S3000 HELX Evo」を展示

会場には,心臓弁の自動解析ソフトを搭載した超音波画像診断装置「ACUSON SC2000 PRIME」と「S3000 HELX Evo」を展示

 

各講演の合間には,シーメンスの各モダリティ担当者よりRSNA 2016で発表した装置や技術についての報告が行われた。シーメンスの展示詳細については,インナビネットのRSNA 2016スペシャル の取材速報を参照されたい。
なお,RSNA 2016 Flash Seminarは,2017年1月7日(土)に札幌と仙台,14日(土)に新潟都名古屋,21日(土)に岡山で開催される予定である。
https://www.healthcare.siemens.co.jp/news-and-events/conferences-events-new/rsna

 

●問い合わせ先
シーメンスヘルスケア(株)
コミュニケーション部
TEL 03-3493-7630
http://www.siemens.co.jp/healthineers

シーメンスヘルスケア


TOP