エドワーズライフサイエンスがTAVI用生体弁「サピエンXT」を発表

2013-10-2


発売が開始されたサピエンXT

発売が開始されたサピエンXT

心臓人工弁などのテバイスを提供するエドワーズライフサイエンス(株)は2013年10月1日(火),経カテーテル大動脈弁治療(TAVI)用の生体弁「サピエンXT」の発売を開始した。同日,ステーションコンファレンス東京(東京都千代田区)において記者発表会を開催し,海外のTAVIの状況や国内での施行に向けた取り組みなども紹介された。

サピエンXTは,重度の大動脈弁狭窄症患者の中でも開胸での大動脈弁置換術の適応とならない高齢者などの患者に対し施行するTAVI用のデバイス。経太腿(TF)と経心尖(TA)の2つのアプローチに対応したキットを用意。このキットには,生体弁のほか,バルーンカテーテル,デリバリシステム,クリンパなどが組み合わされている。保険償還価格は453万円(迅速導入評価額を除いた償還価格は431万円)としている。

ケイミン・ワング 氏(代表取締役社長)

ケイミン・ワング 氏
(代表取締役社長)

当日は,同社代表取締役社長のケイミン・ワング氏が,同社の事業展開について紹介した後に,我が国における大動脈弁狭窄症の現状を説明。開胸手術数が最近の10年間で2倍に増加しているが,一方で,30%の患者が手術を受けられていないと述べた。TAVIはこの30%の患者に対して,施行できる可能性を持つ治療法であり,同社のデバイスにより全世界5万人の患者が治療を受けてきた。日本では6月にサピエンXTが薬事承認を受け,10月に発売されたことで,世界64か国にデバイスを提供することになった。また,ワング氏は,TAVIを施行するためには,関連学会による施設基準や,企業によるトレーニングプログラムの受講,関連学会のレジストリーが承認条件になると説明。さらに,詳細な施設基準として多職種で構成されるTAVIハートチームや,同社が提供するトレーニングプログラムの内容を解説した。このほか,ワング氏は,対症療法と比較して再入院率が低く,QOLが向上するといった医療コスト低減にもつながるメリットについても言及した。

林田健太郎 氏(慶應義塾大学)

林田健太郎 氏
(慶應義塾大学)

続いて,同社のデバイスを用いたTAVIの施行経験を持つ慶應義塾大学病院循環器内科の林田健太郎氏が,「経カテーテル大動脈弁治療(TAVI)—日本での本格導入に向けて—」をテーマに講演した。林田氏は,大動脈弁狭窄症の患者の多くが開胸手術の不適応である状況を説明した上で,TAVIの手技やデバイス選択のデシジョンツリーを解説した。また,自身が留学したフランスのInstitut Cardiovasculaire Paris Sud(ICPS)でのTAVIの経験について触れたほか,合併症のリスク,弁輪サイズの正確な計測などを取り上げ,日本人症例の特徴を理解し,安全性を確立することが重要だと述べた。さらに林田氏は,TAVI適応患者の要件と不適応の場合の治療法を紹介した上で,早期診断が大事であると言及。そして,わが国におけるTAVIの普及に向け,施行の判定にかかわるScreening proctor,施設や術者間での経験の共有,日本人proctorの育成,proctor間の情報共有がカギになると説明した。

同社によると,現在TAVIの実施施設は国内7施設となっており,今後,さらに増えることが予想される。対症療法しかなかった重症患者にとって,TAVIという新たな選択肢が加わったことは,大きな希望になると言えるだろう。

キットを用いた装着方法や手技の説明

キットを用いた装着方法や手技の説明

 

サピエンXTのキットの構成

サピエンXTのキットの構成

 

エドワーズライフサイエンスが提供するトレーニングプログラム

エドワーズライフサイエンスが提供するトレーニングプログラム

 

●問い合わせ先
エドワーズライフサイエンス株式会社
THV事業部
TEL 03-6894-0680
http://www.edwards.com/jp/


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