NEC医療セミナー2013 大阪
鹿児島大学病院,倉敷中央病院におけるICTの活用事例を講演

2013-3-1

NEC

ヘルスケアIT


会場風景

会場風景

NEC医療セミナー2013大阪が,2013年2月22日(金),ホテルニューオータニ大阪で開催された。
NEC医療セミナーは,医療情報のみならず病院経営や医療行政など幅広いジャンルからの講演とNECとその関連企業によるシステム展示を中心に毎年開催されている。今回の大阪会場では,講演として,鹿児島大学病院医療情報部部長の宇都由美子氏による「医療現場に活力を,医療人に元気を! 〜病院マネジメントで変わる病院の現場力」,倉敷中央病院院長の小笠原敬三氏の「倉敷からの発信 地域急性期病院であり続けるために」の2題の講演と電子カルテシステム「MegaOakHR」などの展示が行われた。
講演に先立って挨拶したNEC医療ソリューション事業部の山口琢也事業部長は,「電子カルテからデータの利活用や地域医療連携,どこでもMY病院とNECの事業領域は拡大している。ID-Linkは,現在,24都道府県1610施設に導入されている。ヘルスケア分野に幅広く取り組んでいきたい」と述べた。

宇都由美子 氏(鹿児島大学)

宇都由美子 氏
(鹿児島大学)

最初に,講演した宇都氏は,鹿児島大学病院おいて進めてきた病院経営改善の取り組みについて,医事データを基にした「eーByoin指標システム」を活用した経営改善に向けたマネジメント,医療クラークの活用,電子指示システムの開発などを紹介した。鹿児島大学病院は,2008年にDPC対象病院における医療機関系数の中の効率性指数で1340施設中1290位となったことから,抜本的な病院経営改善計画がスタートした。経営改善の取り組みでは,医事データの2次利用を可能にするeーByoin指標システム(NECと共同開発,評価中)を活用し,外来や入院のデータを分析して問題点を洗い出し,具体的な行動レベルにまで落とし込んだ実践計画を作成した。例えば,二次医療圏別の外来診療単価の分析から,大学近隣の医療圏からの単価の低い受診が多く,医療連携による再診の見直しが必要なことがわかった。逆紹介や予約制の導入によって外来の負担を減らすことで,入院診療へのシフトが進み業務が改善,平均在院日数が21.2日(2011年5月)から16.5日(2013年2月)まで短縮した。宇都氏は,情報を出すだけでなく診療現場の医長や師長といった指揮官クラスに直接伝達し,行動につなげることが重要で,データの根拠が見えるeーByoin指標システムは大きなツールになると述べた。また,医療クラークの活用では,医学管理料やDPCのコーディングをシステムでチェックできる「医学管理料なびシステム」「DPCナレッジシステム」を開発し,医療クラークが業務が行える体制を構築することで,請求漏れを防いでいることを紹介した。さらに,鹿児島大学病院では電子クリティカルパスの実現のために,指示の標準化をめざした電子指示システムを開発しており,「e-kanja指示」などの機能について解説した。

小笠原敬三 氏(倉敷中央病院)

小笠原敬三 氏
(倉敷中央病院)

後半の講演は,倉敷中央病院院長の小笠原敬三氏による,「倉敷からの発信 地域急性期病院であり続けるために」が行われた。倉敷中央病院は,1161床,1日外来患者2719人,紹介率70.5%。救急受け入れはDPC調査対象1634病院の5位,二次医療圏(倉敷市を中心とした県南西部)の40%の患者を受け入れている。小笠原氏は,1923年の倉敷紡績2代目社長の大原孫三郎による病院創設からの歴史を振り返り,関東大震災や石油ショックなどの経済不況や建物の老朽化などの何度かの危機を乗り越えて発展してきた歩みを紹介した。同院では,2000年以降,地域の急性期医療の中核病院として高度先進医療の提供をめざし,救急医療センターの増築,心臓病センターの開設などを行い,2012年には新病棟が完成した。診療体制としては,医療の質の向上に取り組み,循環器内科,神経内科の開設,内科を6つの診療科に分科するなど専門化を進めた。また,病院として2000年頃から平均在院日数の短縮に積極的に取り組み,2011年には12.2日になっている。これからの超高齢社会・多死社会に対応するためには,地域医療連携が重要になっており,倉敷中央病院も2013年1月から岡山県医療情報共有ネット「晴れやかネット」にIDーLinkで参加している。救急医療センターを経由した入院患者数は2012年で8295人に上るが,緊急入院より7日以内に地域医療機関へ転院した件数は86件と増加しており,医療連携が定着していることを紹介した。小笠原氏は,創設者の大原孫三郎の“新しいことへの挑戦,自助,独創性重視”などの理念と文化を引き継ぎながら,時代の変化に対応しスピードと柔軟性のある運営を行って行くことが重要だと述べた。

また,併設された展示コーナーでは,NECと関連各社によるシステムや製品の紹介,プレゼンテーションが行われ,電子カルテシステム「MegaOakHR」の新機能の紹介や,講演で紹介されたeーByoin指標システム,倉敷中央病院で運用さている「救急センター向け患者スタッフロケーションシステム」などが出展された。

MegaOak,ID-Linkなど最新のシステムを展示

MegaOak,ID-Linkなど最新のシステムを展示

鹿児島大学で評価中の「eーByoin指標システム」

鹿児島大学で評価中の「eーByoin指標システム」

 

山口琢也 氏(NEC)

山口琢也 氏
(NEC)

 

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●問い合わせ先
NEC 医療ソリューション事業部
TEL 03-3798-6756
http://www.nec.co.jp/medsq/

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