「第4回 ADCT研究会」が開催
2013-1-15
271人が参加したADCT研究会
2013年1月12日(土),千葉大学けやき会館(千葉県千葉市)において,「第4回ADCT研究会」が開催された。ADCT研究会と東芝メディカルシステムズ(株)の共催によるこの研究会は,同社が誇るArea Detector CT「Aquilion ONE」に関し,撮影プロトコールや検査技術などの情報を共有する場として,2009年12月に設けられた。藤田保健衛生大学病院の井田義宏氏が理事長となり,これまで年1回のペースで研究会が開催されている。今回の当番理事は千葉大学医学部附属病院の梁川範幸氏が務めた。開会にあたり挨拶した梁川氏は,ADCTの最新動向を知り,これからの方向性を探る場としたいと述べた。
プログラムは4部構成。第一部の情報提供,第二部の一般演題,第三部のアンケート報告,第四部の特別講演の順番で進行した。
第一部の情報提供では,東芝メディカルシステムズの谷口彰氏が,「ADCT最新情報レポート—最新RSNA情報—」と題して,RSNA 2012の学会情報と同社ブースの概要について説明したほか,2012年に発表された第二世代のADCTと位置づけられる「Aquilion ONE / ViSION Edition」の技術的特長を解説した。
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続いて行われた第二部の一般演題では,梁川氏と日本大学医学部附属板橋病院の君島正一氏が座長を務め,5題の発表が行われた。まず,岩手医科大学附属病院循環器医療センターの千葉工弥氏が,「320列CTの心臓検査に役立つ技術と工夫」と題して発表した。千葉氏は,心臓CTにおける管電流の調整方法として,石灰化スコアを計測するための単純CTを用いる方法とVolume ECを用いる方法での検討結果を報告した。2番目に発表した高瀬クリニックの佐野始也氏は,「320列面検出器CTを用いた前向き心電図同期冠動脈撮影の心拍数別撮影プロトコルにおける被ばくと画質の検討」と題して,βブロッカーによる心拍コントロールなどによるMD 1beat protocolでの撮影について解説した。次いで登壇した広島大学病院の木口雅夫氏は,「AIDR 3Dの臨床評価」をテーマに発表した。木口氏は,石灰化スコア,股関節動態撮影,CPA蘇生後冠動脈CTと冠動脈・腎動脈同時相CTA,心筋パーフュージョンにおける“AIDR 3D”の使用経験を報告した。4番目に発表した福山市民病院の三村尚輝氏は,「救急医療現場でのCT撮影の役割」と題して,救急におけるAquiion ONEの撮影プロトコールや,小児救急,脳死判定などの使用例を紹介した。第二部最後は,藤田保健衛生大学病院の片岡由美氏が「Variable Helical Pitch Scanの有用性と課題」をテーマに発表した。片岡氏は,1回の検査でヘリカルピッチを変調して撮影する技術である“Variable helical pitch scan(VHP)”の画質と被ばくの評価や撮影プロトコールを報告した。
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この後,休憩を挟み,第三部の前に,井田氏が「ADCT研究会からの報告」として,改めて研究会の趣旨を述べた上で,今後の活動について説明した。井田氏は,ユーザー施設だけでなく,今後ADCTの導入を検討している施設や,その技術に関心を持っている人も参加できるオープンな研究会へと発展させると述べた。
次いで行われた第三部のアンケート報告では,三井記念病院の赤城輝哉氏が座長を務めた。先に,東京大学医学部附属病院の井野賢司氏より,「ADCT研究会幹事による報告」として,ADCTユーザー施設を対象に行った心臓検査,小児体幹部検査の検査プロトコールなどの調査結果が報告された。続いて,「頭部PERFUSION-CTからの報告」と題して,国立国際医療研究センターの砂岡史生氏が撮影プロトコールについてのアンケート結果を紹介した。
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引き続き,第四部の特別講演が行われ,東京大学医学部附属病院の富澤信夫氏が登壇した。座長は井野氏が務めた。富澤氏の講演テーマは,「心臓CTの最前線」。被ばく低減の方法や造影剤・撮影のタイミング,Aquilion ONE / ViSION Editionの評価について解説したほか,心臓検査以外の検査として,体幹部造影CTA,肺動脈評価,アダムキュービッツ動脈の描出などの症例を紹介した。
研究会の最後には,次回の当番理事である静岡がんセンターの中屋良宏氏が閉会の挨拶を行った。次回は,2014年1月もしくは2月の開催を予定しており,会場は名古屋市内で調整中とのことである。このほか,会場の外では,協賛企業である(株)AZEやコニカミノルタヘルスケア(株),ザイオソフト(株)のほか,(株)根本杏林堂などが展示を行った。
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なお,今回の参加者数は271人であった。ADCTの普及が進んでいることと,その装置の性能を臨床に生かすために,医師,診療放射線技師たちが熱心に取り組んでいる姿勢が感じられる研究会となった。
●問い合わせ先
ADCT研究会 事務局
(藤田保健衛生大学病院放射線部内)
http://adct.kenkyuukai.jp