ITEM2024 アトックス ブースレポート 
認知症対策に貢献する世界初のヘルメット型PET「Vrain」や,ユーザービリティに優れるワイヤレスFPDなどを紹介


2024-5-7


アトックスブース

アトックスブース

アトックスは今回のITEMで,世界初のヘルメット型PET「Vrain」と2024年2月から発売を開始した韓国Rayence社のワイヤレスFPD「デジタルラジオグラフィ AX-α」シリーズ,ベルギーのIRE ELiT社の68Ge/68Gaジェネレータ「Galli Eo」を展示した。アトックスは1980年に設立され,原子力関連施設のメンテナンス事業を柱に成長してきた。現在では,これまでの実績を基に,放射線管理,放射線廃棄物処理,施設管理などを行う原子力施設関連事業を展開しているほか,福島第一原子力発電所の廃炉事業にもノウハウを提供している。さらに,長年にわたり培ってきた技術力を基に,医療機器市場にも参入。その第一弾となるのが,量子科学技術研究開発機構(量研,QST)と共同で,認知症などの診断を目的に開発したPETのVrainである。2023年に早期アルツハイマー型認知症の疾患修飾薬としてレカネマブが承認され,これに伴いアミロイドPETも保険適用となり加算が新設された。今後,アミロイドPETの需要が伸びると予想され,Vrainへの注目も高まっている。
また,新たに取り扱いを開始したワイヤレスFPDのAX-αシリーズは,10×12インチのAX-1012α,14×17インチのAX-1417α,17×17インチのAX-1717αの3サイズをラインナップ。交換式のバッテリーを採用しており,回診撮影においても,バッテリー残量を気にせず業務を施行できる。また,高い防塵・防水性能を持ち,外装背面には滑りにくい素材を用いるなど,ユーザービリティに優れ安心して使用できるのも特長だ。

●245ピコ秒のTOF時間分解能を誇るヘルメット型PET「Vrain」

ブース前面で披露したのが,世界初のヘルメット型PETであるVrainだ。アトックスは2015年から量研と共同研究を開始。7年の歳月をかけて開発し,2022年2月からVrainの販売を開始した。Vrainは,放射線の検出効率に優れるヘルメット形状をした直径28cmのガントリを採用。このガントリに,シリコン光電子増倍管(Silicon Photomultiplier:SiPM)の半導体検出器を54個配置している。ヘルメット型ガントリにすることで,高画質を実現しつつ,リング型の装置よりも検出器数を1/4〜1/5程度に減らしてコストを抑えることができた。また,半導体検出器によりtime-of-flight(TOF)-PETが可能。TOF時間分解能は245ピコ秒となっている。

放射線の検出効率に優れる「Vrain」の直径28cmのガントリ

放射線の検出効率に優れる「Vrain」の直径28cmのガントリ

 

「Vrain」はTOF-PETによる高画質画像を提供

「Vrain」はTOF-PETによる高画質画像を提供

 

アミロイドPETの保険収載で注目される「Vrain」

アミロイドPETの保険収載で注目される「Vrain」

 

●「Vrain」は検査室の面積を全身用PETの1/5程度に抑えられるコンパクトな設計

全身用PETでは寝台が必要となるが,Vrainは頭部専用PETとしたことで,被検者は座位で検査を受けられる。これにより装置を小型化。サイズは945mm(W)×2150mm(D)×1820mm(H)で,フットプリントは2m2と,省スペースで設置できる。検査室の面積を全身用PETの1/5程度に抑えられることも,Vrainのセールスポイントだ。
2023年に早期アルツハイマー型認知症の疾患修飾薬としてレカネマブが承認を受けた。これに伴い早期アルツハイマー型認知症の診断のためにアミロイドPETが保険収載され,加算が新設された。国を挙げて認知症対策が進む中,今後アミロイドPET検査の需要が伸びることが予想される。Vrainはこのようなニーズに応える装置として,新規導入だけではなく,すでにPETが稼働している大学病院や地域中核病院の追加導入にも適した装置だと言えるだろう。

コンパクトな筐体で設置面積も少なくできる「Vrain」

コンパクトな筐体で設置面積も少なくできる「Vrain」

 

●ユーザービリティに優れたワイヤレスFPD「デジタルラジオグラフィ AX-α」シリーズ

ITEMで初展示となるのが,韓国Rayence社が手がけるワイヤレスFPDのデジタルラジオグラフィ AX-αシリーズである。2024年2月に発売を開始した間接変換方式のFPDで,10×12インチのAX-1012α,14×17インチのAX-1417α,17×17インチのAX-1717αの3サイズをラインナップしている。FPDのシンチレータの素材はヨウ化セシウム結晶(CsI)を採用。画素サイズが140μm,量子検出効率(DQE)が65%(1LP/mm)となっており,低線量でも高画質画像を得られる。
さらに,デジタルラジオグラフィ AX-αシリーズは軽量であることも特長。AX-1417αの重量は,バッテリーを含めて約3kgである。筐体は,スリップ防止表面処理,側面エッジ加工により持ち運びがしやすくなっているほか,IP66の防塵・防水性能,全面の耐荷重300kgと堅牢なのもセールスポイントだ。また,1個のバッテリーで,標準同期モード・X線検出モードいずれも,約2000枚の連続撮影,140枚の100秒サイクル撮影が可能。充電時間は約3時間で,取り外して交換でき,2個充電できる専用バッテリーチャージャーが付属する。有線での撮影にも対応する。
撮影画像を閲覧には,専用の「Xmaru Viewer」が3ライセンス付与される。撮影後約2秒でモニタ上に画像が表示され,速やかに読影を行える。

「デジタルラジオグラフィ AX-α」は3サイズをラインナップ

「デジタルラジオグラフィ AX-α」は3サイズをラインナップ

 

スリップ防止表面処理,側面エッジ加工を施された「デジタルラジオグラフィ AX-α」

スリップ防止表面処理,側面エッジ加工を施された「デジタルラジオグラフィ AX-α」

 

「デジタルラジオグラフィ AX-α」は長尺撮影にも対応

「デジタルラジオグラフィ AX-α」は長尺撮影にも対応

 

「デジタルラジオグラフィ AX-α」にはビューワ「Xmaru Viewer」を3ライセンス付与

「デジタルラジオグラフィ AX-α」にはビューワ「Xmaru Viewer」を3ライセンス付与

 

●お問い合わせ先
社名:株式会社アトックス
住所:東京都港区芝4丁目11番3号
TEL:03-6758-9004
URL:https://www.atox.co.jp/


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