ITEM2018 インテグラル ブースレポート 
低濃度造影剤での検査ニーズの高まりに応えるCT用インジェクタ「CT motion」のほか,新製品の超音波滅菌ジェル,滅菌潤滑ジェリーを展示


2018-4-20


インテグラルブース

インテグラルブース

インテグラルは,今年もウルリッヒ社(ドイツ)のテーマカラーである青・白・グレーでまとめた清潔感のあるブースで,CT専用インジェクタ「CT motion」と新製品に絞って展示を展開した。なかでも特に目を引いたのがCT motionのコーナーで,壁面に大きく「Dual energyの時代,低濃度造影剤の時代,CT motionの時代」と掲示し,近年検査数が増加しているdual energy撮影や低管電圧撮影時の低濃度造影剤の使用におけるCT motionの有用性などを強くアピールした。このほか,新製品として,turkuaz社(トルコ共和国)製の超音波用ジェル「KONIXウルトラサウンドジェル」と潤滑補助剤「KLY滅菌潤滑ジェリー」が紹介された。

ブースの壁面に大きく掲示されたCT motionのコンセプト

ブースの壁面に大きく掲示されたCT motionのコンセプト

 

●CT motionを用いた新しい造影プロトコールなども提案

近年,モダリティメーカー各社は次々とdual energy撮影が可能なCT装置を開発し,新たな画像情報が得られることに加え,造影剤量およびアーチファクトの低減が図れるとして,CT技術の大きなトピックの一つとなっている。また,小児や腎機能低下症例の造影検査では,造影剤量の減量や被ばく低減を目的に低管電圧撮影が行われることが増えている。従来,これらの撮影では高濃度造影剤と生理食塩水の混合注入などが行われているが,最近では低濃度造影剤(140mgIや150mgI)が販売されるようになった。こうした背景を受け,今回の展示では,特に低濃度造影剤のニーズの高まりに着目してCT motionの有用性がアピールされた。
2連交差仕様での分割注入が可能なCT motionは,ロールポンプによる自動注入方式を採用し,500mLまでのバイアルタイプの造影剤と,最大2Lの生食パックをそのまま使用できることが大きな特長である(プレフィルドシリンジは使用不可)。現在,低濃度造影剤は2社から販売されており,いずれもバイアルタイプであるが,CT motionであればシリンジに移し替えることなく,そのままセットして使用することができる。そのため,同社では,これからdual energy撮影が可能なCT装置を導入する医療機関には,低濃度造影剤とCT motionを組み合わせてパッケージとして導入することを提案していた。
なお,140mgIや150mgIの造影剤については,現在,臨床使用実績が世界的に見ても報告されていないことから,同社では近々国内の大学病院との共同研究を開始する予定である。また,低濃度造影剤の粘稠度と浸透圧は生理食塩水と同等であることから,小児では24G針が使用できるというメリットがある。そのため,同社では今後,低濃度造影剤とCT motionを用いた小児の造影検査についても検討を進めていきたい考えだ。
さらに,生食パックが使用できるというCT motionの特長を生かした造影プロトコールも提案された。例えば,test bolus tracking(TBT)法では通常,テスト注入後に5秒間の休止時間が設けられるが,シリンジタイプのインジェクタの場合,1本につき50ccしか入らないため1回の造影検査で使用する生理食塩水の量としては十分ではなく,シリンジの交換のために休止時間が必要であると考えられる。しかし,CT motionでは大量の生理食塩水を連続して使用可能なことから,休止時間を設けない冠動脈の造影プロトコールが可能となる。今回の展示では,休止時間のない冠動脈のTBT法のプロトコールや,冠動脈と大動脈の連続的な造影プロトコールが提案された。

dual energy撮影での有用性がアピールされたCT専用インジェクタ「CT motion」

dual energy撮影での有用性がアピールされた
CT専用インジェクタ「CT motion」

 

5秒の休止時間を設ける一般的なTBT法による冠動脈造影プロトコール

5秒の休止時間を設ける一般的なTBT法による冠動脈造影プロトコール

 

CT motionによる連続的なTBT法による冠動脈造影プロトコールの提案

CT motionによる連続的なTBT法による冠動脈造影プロトコールの提案

 

CT motionによる冠動脈と大動脈の連続的な造影プロトコールの提案

CT motionによる冠動脈と大動脈の連続的な造影プロトコールの提案

 

●防腐剤不使用の超音波用ジェル「KONIXウルトラサウンドジェル」

KONIXウルトラサウンドジェルは,わが国で初めて(2017年12月現在,同社調べ),パラベンやメチルクロロイソチアゾリノン(CIT),メチルイソチアゾリノン(MIT)を含まない製品である。これは,欧州で化粧品へのパラベンの使用が制限されたことを受けて製造されたものであり,化学物質に過敏な被検者でもより安全に検査を受けることができる。KONIXウルトラサウンドジェルにはハードとソフトの2種類があり,ハードはブルーで着色され,一目で区別しやすくなっている。また,今年1月には,滅菌ジェルをプレフィルドシリンジに封入した「KONIXウルトラサウンド滅菌ジェル12mLシリンジ」の販売も開始されており,超音波ガイド下生検などの際に,滅菌ジェルをシャーレに移し替えるなどの手間を省くことができる。さらに,価格は物流の改善や包装の簡易化などにより他社同等製品の標準価格よりも50%ほど安価になっており,患者,医療機関の双方にとって有用な製品と言える。

KONIXウルトラサウンドジェルとKLY滅菌潤滑ジェリーのコーナー

KONIXウルトラサウンドジェルとKLY滅菌潤滑ジェリーのコーナー

 

ボトルタイプのKONIXウルトラサウンドジェル

ボトルタイプのKONIXウルトラサウンドジェル

 

KONIXウルトラサウンド滅菌ジェル12mLシリンジ(左)とパックタイプのウルトラサウンドジェル(右)

KONIXウルトラサウンド滅菌ジェル12mLシリンジ(左)とパックタイプのウルトラサウンドジェル(右)

 

●リドカイン非含有で多目的に使用できるKLY滅菌潤滑ジェリー

潤滑補助剤であるKLY滅菌潤滑ジェリーは,今年1月に販売が開始され,新製品として展示された。麻酔成分のリドカインを含まないことが大きな特長で,ショック症状を起こす心配がなく,安心して使用することができる。KLY滅菌潤滑ジェリーは,放射線分野では注腸および大腸CT用直腸カテーテルの挿入や,超音波検査の経食道・経腟・経直腸用プローブの挿入などで使用できるほか,滅菌ずみのため気管内挿管など医療現場の幅広い用途に使用可能である。価格も安価に抑えられており,他社同等製品の標準価格の約60%引きで提供している。

リドカイン非含有の潤滑補助剤「KLY滅菌潤滑ジェリー」

リドカイン非含有の潤滑補助剤「KLY滅菌潤滑ジェリー」

 

KLY滅菌潤滑ジェリーの5gの個包装タイプ

KLY滅菌潤滑ジェリーの5gの個包装タイプ

 

●お問い合わせ先
会社名:株式会社インテグラル インジェクター事業部
住所:東京都品川区上大崎2-25-2
TEL:03-6417-0810
FAX:03-6417-0853
URL:https://www.integral.to/


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