ITEM2014 日立メディコ/日立アロカメディカル ブースレポート
新ブランド超音波診断装置や16列CTなど新製品を中心に,グループの技術を結集したソリューションを提案


2014-4-17

富士フイルムヘルスケア


日立メディコ/日立アロカメディカル ブース

日立メディコ/日立アロカメディカル ブース

日立メディコ/日立アロカメディカルは,展示テーマ「embracing life through innovation」のもと,“いのちを慈しむ”という医療の原点に貢献する製品やソリューションを展示した。日立メディコ/日立アロカメディカルは,4月1日付で日立製作所に設立された日立の7つめのグループ「ヘルスケアグループ」の一員としてスタートしており,“日立グループ”としてヘルスケアの進歩に貢献していくという姿勢をよりいっそう強めている。4月1日付で日立メディコの代表取締役取締役社長に就任した山本章雄氏は,ITEMに先立って行われたメディア向けのプロダクトミーティングで挨拶し,これからの取り組みについて次のようにコメントした。
「日立メディコや日立アロカメディカルが持つプロダクトと,日立製作所が強みとする情報インフラを組み合わせることで,患者さんや先生方へ,プロダクトだけでなくソリューションとして提案していくことができる。先進国の高齢化や新興国における医療の質の向上,また,高騰する医療費の抑制といった課題に対して,フェーズに対応したソリューションを提供する必要性はますます高まっており,われわれは“日立”として,そのような局面に対応していく」
ブースでは,診断,ヘルスケアIT,治療のソリューションと,それらを支えるサービスソリューションという構成で展示が行われた。新製品として,4月に発表されたばかりの移動型X線装置「Sirius Starmobile tiara」や,ITEM初展示となる16列マルチスライスCT装置「Supria」,日立メディコと旧アロカの技術を結集させた超音波診断装置の新ブランド「ARIETTA」などが初披露された。また,正面ステージでは,日立グループのヘルスケア事業や,日本国内で医療現場への導入がスタートした3T MRI装置「TRILLIUM OVAL」などを紹介するプレゼンテーションが行われた。(4月11日取材)

●超音波診断装置:“音”にこだわった新ブランド「ARIETTA」を初展示

2011年に日立メディコの超音波部門と旧アロカが統合して誕生した日立アロカメディカル。それぞれが持つ高い技術を合わせ,製品や技術の開発が行われてきたが,2014年4月,ついに統合後最初の新ブランドとなる「ARIETTA」が発表された。オペラのクライマックスである“アリア”,そしてラテン語の“音”“音楽”という言葉から名付けられたARIETTAは,その名の表す通り,音にこだわって開発された装置で,特に上位機種となる「ARIETTA 70」は,プローブや画像生成技術,モニタにまでこだわり,高いパフォーマンスの超音波診断を可能にする。プローブには,発生する熱を抑えて高感度な画像を描出する“Multi-layered Crystal Technology”を採用。また,画像生成に最も効率の良い波形を送信する“CPWG+”により感度と分解能の両立を実現し,被検者の体型にかかわらず高い画質を提供する。モニタにおいては視野角が広く高コントラスト分解能をもつ“IPS-Proモニタ”を搭載して,均一な画像表示を実現し,高精度の検査と検査者の負担軽減を図っている。アプリケーションとしては,他モダリティ画像とリアルタイム超音波画像を融合させるReal-time Virtual Sonography(RVS)や,組織の弾性を画像化するReal-time Tissue Elastography(RTE)などを搭載。病変の早期発見や精密な検査に貢献する,臨床的有用性の高いハイエンドの装置となっている。
「ARIETTA 60」は,被検者,検査者が快適な検査を行えるように,操作性を追求したミドルクラスの装置で,オペ室やクリニックなどへの導入を想定している。軽量化・小型化した筐体に,つかみやすい大きな持ち手,従来より10%大きな車輪を採用したことで,容易な持ち運びを実現している。
このほかブースでは,4Dエラストが可能なプレミアム〜ハイエンドクラスの「HI VISION Ascendus」,多機能かつミドルクラスの画質を有するコンパクト装置「Noblus」も展示された。

新ブランド最上位機種のARIETTA 70

新ブランド最上位機種のARIETTA 70

軽量・小型のARIETTA 60

軽量・小型のARIETTA 60

 

●X線撮影装置:ワイヤレスFPDを搭載したコンパクトなポータブル装置
「Sirius Starmobile tiara」が登場

移動型X線装置「Sirius Starmobile tiara」が初展示となった。Sirius Starmobile tiaraは,現場の要望を重視し,積極的に取り入れるマーケットインの手法で開発された。女性でも扱いやすい装置を望む声に応え,小回りの利くスリムボディ,簡単で素早いポジショニングを実現する独自のパンタグラフアーム,撮影後の迅速な画像確認が可能なワイヤレスFPDの搭載を大きな特長とする。ボディの幅は48cm(台車幅は57.5cm)で,支柱も178cmと低めの設計となっており,移動時にはX線管球を下げることで広い前方視界を確保できる。車輪にはデュアルモーター機構を搭載し,回転操作も容易で,狭い病室やエレベーターでもスムーズな移動が可能。従来のSiriusシリーズからの特長でもあるパンタグラフアームは,5か所の可動関節によりポジショニングを簡便に行え,221cmまでアームを伸ばせることで,ベッドの高いオペ室などでも十分な撮影距離を確保できる。FPDは,標準搭載の14インチ×17インチに加え,オプション提供の17インチ×17インチ,10インチ×12インチの3サイズを用意。14インチ×17インチと17インチ×17インチのFPDのシンチレータは,ヨウ化セシウムとガドリニウムから選択でき(10インチ×12インチはヨウ化セシウム),計5種類のFPDが提供可能となっている。装置に搭載された15インチモニタには,撮影後3秒以内に画像が表示され,スループットの向上に貢献する。さらに,装置は5色のカラーバリエーションとアニマルグラフィックの6種類のデザインが用意され,小児など病棟のイメージに合わせたり,施設のイメージカラーに合わせた選択ができる。
X線透視診断装置としては,新しく42cm×42cmのFPDが搭載された新バージョンの「CUREVISTA」を展示。有効視野が従来の40cm×30cmから約1.5倍に拡大し,大腸全体など広範囲の透視・撮影が可能となっている。一般的にFPDによる透視は,4〜6画素を加算平均して1画素として表示されるが,CUREVISTAの詳細透視機能では,撮影と同様に1画素を1画素として表示でき,解像度の高い透視像が得られ,ガイドワイヤやステントの確認などに威力を発揮する。ブースには実機を展示し,縦横の方向に動作する2WayArmや,被検者にアクセスしやすいオフセットテーブル・オフセットアームを体感していた。
マンモグラフィシステムは,直接変換FPDを搭載し,トモシンセシス撮影が可能な「Selenia Dimensions」を紹介した。トモシンセシス(3D)画像から2D画像を生成する“C-View”や,3D画像により位置決めを行うTomoBiopsyが,2013年末に薬事承認されたことを受け,臨床画像も含めITEMで初めて展示された。

Sirius Starmobile tiaraは多彩なカラーバリエーション展開

Sirius Starmobile tiaraは
多彩なカラーバリエーション展開

 

天板上すべての視野をカバーするCUREVISTA

天板上すべての視野をカバーするCUREVISTA

tiaraに搭載されるFPDは3サイズ・5種類から選択可能

tiaraに搭載されるFPDは
3サイズ・5種類から選択可能

 

トモシンセシス(3D)から2D画像を作成する“C-View”

トモシンセシス(3D)から2D画像を作成する
“C-View”

 

●MRI:国内導入が始まった3T装置や,1.5T「ECHELON RX」の新バージョンを紹介

高画質と快適性を両立した3T装置TRILLIUM OVAL

高画質と快適性を両立した3T装置TRILLIUM OVAL

2013年に,3T MRI装置「TRILLIUM OVAL」がラインナップに加わったことで,永久磁石型オープンタイプから高磁場超電導装置までフルラインナップとなった日立のMRIは,累計出荷台数6600台,78か国で稼働している。日立の特徴でもあるペイシェントフレンドリーなオープンMRIも,1994年の0.3T装置「AIRIS」の誕生から20周年を迎え,ブースの一角にはその歴史を振り返るコーナーも設置された。
縦74cm×横65cmの楕円形ボアを持つTRILLIUM OVALは,モックアップが展示され,来場者は開放的な検査空間やポジショニングのしやすさを実際に確かめていた。3Tでは原理的にRF照射不均一による画像ムラが生じやすいが,TRILLIUM OVALにはこれを均一化するために独自RFシミング技術“QUARTET”を搭載した。Blink Scanにより高速にRF照射分布を取得し,4ch-4port独立してRF照射波形を制御することで,ムラのない画像を取得できる。国内での導入がスタートしており,ブースでは全領域の臨床画像も展示された。
1.5T MRI装置「ECHELON RX」は,新しいシステムソフトウエア「ORIGIN4」を搭載した新バージョンが紹介された。ORIGIN4により,狭窄などによる血行動態変化の視認性向上を図る“BeamSat TOF”や下肢非造影MRA“VASC-FSE”,磁化率変化に強い脂肪抑制“FatSep”などの新しいアプリケーションが搭載可能となり,臨床的有用性がさらに向上した。既設装置のバージョンアップにも対応する。ECHELON RXは,最小設置スペースが23m2で,従来のオープンMRIからの入れ替えも可能な高い設置性や,頭部コイルや脊椎コイルを寝台に設置したまま他部位を撮像できるワークフローの良さも特徴となっている。

TRILLIUM OVALのさまざまな領域の臨床画像を展示

TRILLIUM OVALのさまざまな領域の
臨床画像を展示

 

オープンMRIの歴史を紹介するコーナー

オープンMRIの歴史を紹介するコーナー

新ソフトウエアを搭載した1.5T装置ECHELON RX

新ソフトウエアを搭載した1.5T装置
ECHELON RX

 

●CT:コンパクト設計の新製品16列マルチスライス「Supria」をPR

「Supria」は,日本国内および,アジアや中東,南米などにおけるCT装置のボリュームゾーンである16列マルチスライスの市場に投入された新製品で,ITEM初展示となった。開口径は75cmと16列装置としてはトップクラスの広さを持ち,ガントリのコンパクトさも相まって,非常に開放感が感じられる。検査室の最小設置面積は12m2,ガントリ,寝台,操作卓の3ユニット構成の,省スペースデザインとなっている。撮影スピードは0.75sec/rot,スライス厚は最小0.625mmで,胸部のみであれば7〜8秒の息止めで撮影が可能。上位機種で開発された技術も標準搭載され,三次元画像再構成アルゴリズム“CORE法”によるアーチファクトの低減や,逐次近似応用再構成法“Intelli IP(Advanced)”によるノイズ低減が可能である。操作ボタンが少なく,文字が大きく表示される簡単操作モードも特長の1つである。導入しやすく,使いやすいCTとして市場に評価され,国内においては昨2013年9月の発売以後,わずか7か月で150台が導入されるに至っている。
上位機種としては,線量最適化のための機能が強化された64列128スライスCTの新バージョン「SCENARIA EX edition」が紹介された。AECとIntelli IP(Advanced)を連動させる変調モードを追加し,目標SDに対して従来より線量を低減した撮影が可能となっている。また,心臓撮影においても,照射する管電流の変調を最大2相まで設定できる“IntelliEC Cardiac”により,心拍が不安定な患者の撮影でも撮影ミスを低減させることができるようになっている。
コーナーの一角では,3Dモニタ「eXtation」が3Dプリンタで作成した臓器モデルと並べて展示され,eXtationを体験した来場者は,eXtationの3D画像が,実際の立体モデルと同じように見えると感嘆していた。

広い開口径とコンパクトなガントリで開放感のあるSupria

広い開口径とコンパクトなガントリで
開放感のあるSupria

3DモニタeXtationと3Dモデルを並べて展示し,立体感を体感

3DモニタeXtationと3Dモデルを並べて展示し,
立体感を体感

 

●ヘルスケアIT:中小規模病院や診療所のIT化を支援する製品を展開

団塊の世代が後期高齢者になる2025年問題に向けて,国が構築をめざす地域包括ケアシステムでは,中小規模病院〜診療所に重点が置かれている。そのような潮流を受けてヘルスケアITコーナーでは,中小規模病院や診療所向けの製品を中心に来場者にアピールした。なかでも診療所向けには,ワンストップでさまざまな院内ITソリューションを提案する「Digital Clinic」を展開しており,日立メディコや日立アロカメディカル,日立メディカルコンピュータなどグループ企業が連携し,診療所のIT化を支援している。ブースでは,診療所向けの製品として,電子カルテシステム「Hi-SEED AS」や,レセプト院内審査支援システム「べてらん君collaboration」を紹介(ともに日立メディカルコンピュータ)。また,在宅医療を支援するため,ノートPCやモバイル端末を使って院外でカルテの参照や入力が可能な往診機能なども展示された。

中小規模病院,診療所向け製品を中心に展示したヘルスケアIT

中小規模病院,診療所向け製品を中心に展示した
ヘルスケアIT

 

●放射線治療:取り扱い製品の種類が増え,グループとして治療分野に注力

日立のヘルスケアグループでは治療分野を重要な事業として位置付けており,今回のITEM2014では,「分子イメージングと治療の融合〜核医学と治療の密接な関係〜」をテーマに,昨年よりスペースを拡大して取り扱い製品を大きく紹介。来場者の関心も高く,ワークステーションやデモンストレーション用の端末を用意した展示コーナーは終始にぎわいを見せていた。
新しく取り扱いの始まった放射線治療計画システム「RayStation」(RaySearch Laboratories社製)は,高精度な放射線治療を実現する豊富な最適化演算ツールを搭載。IMRTの計画作成では,線量分布の変化を確認するために,従来のように調整と演算を繰り返す必要はなく,腫瘍やリスク臓器ごとに用意されたスライドバーを調整するだけで,線量分布と線量体積ヒストグラム(DVH:Dose Volume Histogram)がリアルタイムに表示される。
また,4月に発売されたばかりの放射線治療機器「サイバーナイフ M6シリーズ」(アキュレイ社)の取り扱いも開始。治療中も呼吸リズムの変化をとらえ,体表面と腫瘍の動きの相関モデルを更新して照射を調整するSynchrony呼吸追尾システムなどに加え,照射適応部位によりマルチリーフコリメータ,Irisコリメータ,Fixコリメータが選択できるようになるなど,さらに高精度な照射を実現する。

にぎわいを見せた放射線治療のコーナー

にぎわいを見せた放射線治療のコーナー

RayStationの画像を重ね合わせて変化量を表示する機能

RayStationの画像を重ね合わせて
変化量を表示する機能

 

●測定装置:用途に合わせて組み合わせが可能な骨密度測定装置の新製品を展示

測定装置のコーナーでは,骨密度測定装置と放射線計測装置の実機が展示された。4月に発売となった骨密度測定装置「Dichroma Scan DCS-900FX」は,ガイドラインで測定部位として推奨されている腰椎や大腿骨,または前腕をDXA法で測定する装置。接地面積0.72m2のコンパクト設計で,ワンタッチで開口部が上がり,被検者は楽に乗降できる。また,専用の撮影台はなく,一般撮影の検査室の片隅に置き,撮影台を兼用するなど,ユーザーの用途に合った運用を提案できる。検査者と被検者の負担軽減も追究しており,位置決めを容易に行え,検査時間も短縮(標準モードで,腰椎約40秒,大腿骨約20秒)するなど,快適なフローで検査を実施できる。

ワンタッチで開口部が開くDichroma Scan DCS-900FX

ワンタッチで開口部が開く
Dichroma Scan DCS-900FX

 

●お問い合わせ先
株式会社 日立メディコ
〒101-0021 東京都千代田区外神田4-14-1 秋葉原UDX
TEL:03-3526-8809 FAX:03-3526-8810
URL:http://www.hitachi-medical.co.jp/item2014/

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