ITEM2013 キヤノンライフケアソリューションズ / テラリコン・インコーポレイテッド ブースレポート
検査・診断からデータ運用まで,新製品を中心にグループの幅広い提案力をアピール


2013-4-26


キヤノンライフケアソリューションズ / テラリコン・インコーポレイテッド ブース

キヤノンライフケアソリューションズ /
テラリコン・インコーポレイテッド ブース

キヤノンマーケティングジャパン(以下,キヤノンMJ)グループの医療事業の中核を担うキヤノンライフケアソリューションズ(2012年11月にエルクコーポレーションから社名変更,以下,キヤノンLCS)は,「新化,そしてつながり」をテーマに,キヤノンMJが初めて開発したPACS「Primitus」を中心に据えたブース展開を行い,同グループの提案力の広がりをアピールした。同グループはこれまで,一般撮影装置やマンモグラフィ,超音波診断装置などの画像診断装置の販売を中心に行ってきたが,PACSを市場に投入することで,各装置から発生する画像データをネットワーク経由で保存,閲覧,管理可能となる。これにより,トータルソリューションとして提案が可能となった。また,共同出展を行ったテラリコン・インコーポレイテッドの3D ワークステーションとPrimitusとのスムーズな連携がアピールされたほか,テラリコン社からは新製品として,電子カルテ端末向けの画像参照ビューワ「iNtuition REVIEW」が発表された。(4月12日(キヤノン),13日(テラリコン)取材)

 

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■キヤノンライフケアソリューションズ

新開発の PACS「Primitus」をブース中心に据え,“新化”と“つながり”をアピール

●医用画像システム(PACS):キヤノンMJグループの技術力を結集したPACS「Primitus」

キヤノンMJ初のPACS「Primitus」

キヤノンMJ初のPACS「Primitus」

2013年1月に販売が開始された,キヤノンMJ初のPACS「Primitus」がブース中央に展示された。Primitusは,“拡張性のある柔軟なシステム設計”“安心かつ堅牢なシステム運用”“親和性の高いシステム連携”の3つが大きな特長となっている。Primitus Serverは,5TB/10TB/15TBを標準でラインナップ。サーバ仮想化ソフトVMwareによりサーバを仮想化することで,1台のサーバ上でLinuxとWindowsといった複数のOSやDICOMのデータベース,さまざまなオプションソフトウエアを稼働させることができるほか,ハードウエアへの依存度が低いため,柔軟性の高いシステム設計が可能となる。また,ハードウエアは国内外で定評の高い製品を採用。データストレージのバックアップ用にNASを採用し,堅牢で冗長性の高いシステム構成となっている。セキュリティやサポートの面ではキヤノンMJの企業向け総合セキュリティサービス“HOME-UNIT”を採用した保守サービス“Primitus Concierge”を提供。病院のHOME-UNITとキヤノンMJのユニットをSSLで常時接続し,システムの運用状況や障害予兆を常時モニタリングして,障害の予兆があった場合はシステム管理者にメールで通知するなど,セキュリティを保ちながら安心して運用できるサポート体制を構築している。

さらに,電子カルテやオーダリングシステム,RIS,レポートシステム,ワークステーションなどとシームレスに連携し,院内でのよりスムーズなデータ運用を実現している。Primitusコーナーでは実際に,画像ビューワ“Primitus Advance”と横河医療ソリューションズ社製のレポートシステムやテラリコン社製の3Dビューワとの連携がデモンストレーションされた。Primitus Advanceの特徴的な機能としては,自動レイアウト表示機能が挙げられる。画像情報に含まれる検査種別や撮影部位などの情報を活用し,医師ごとにレイアウトをプリセットすることが可能となっている。これにより,従来は医師が自分の見やすいようにモニタ上でその都度画像を並べ替え,レイアウトしなければならなかったが,Primitus Advanceでは,医師ごとにハンギングプロトコールを作成しておけば,初期表示のレイアウトやシリーズの配置,過去画像の比較時の配置などが常に好みの状態で表示されるため,読影時の負担が大幅に軽減される。また,今回の画像と過去画像を比較する際,画像に表示されたマークを見れば一目で区別できる工夫や,血管等の計測データを簡単な操作でレポートに貼り付ける機能なども搭載されている。3D画像を参照したい場合は,ワンクリックでテラリコン社製3Dビューワ「Aquarius iNtuition」を立ち上げることもできる(オプション)。

このほかキヤノングループならではの注目のオプション機能として,“Primitus Photo”が紹介された。例えば,患者の褥瘡管理などのために皮膚表面の写真を撮影した場合,従来はメモリーカードを取り出してパソコンに保存する必要があったが,Primitus Photoでは,キヤノン社製「EOS」にトランスミッターを付属することで,撮影した画像を無線で1秒程度で直接ビューワ上に表示することが可能となった(現状ではEOS 5D/7Dのみ対応)。画像にコメントをつけることも可能で,患者IDを紐付けしてDICOMデータとしてPrimitus Serverに保存し,他の画像データと一元的に管理することができる。さらに,参考展示されたスキャンソリューションでは,手書きの帳票などをスキャンすることで,IDを認識し,DICOMデータとして保存・管理可能なほか,Primitus Photoの機能がさらに進化し,スマートフォンやiPadで撮影した写真をそのまま電子カルテ上に表示することが可能となる。患者情報の紐付けも,患者が身につけているリストバンドのバーコードを読み込むだけですむなど,さらなるワークフローの効率化が期待される。

* 展示では,キヤノンLCSが販売するNDS Surgical Imaging社製メディカルモニタ「DOME」を使用。

ブース中央に設置されたPrimitusコーナー

ブース中央に設置されたPrimitusコーナー

参考展示されたスキャンソリューション

参考展示されたスキャンソリューション

 

●DR:X線発生装置との接続不要のワイヤレスFPDの新製品「CXDI-701」シリーズ,「CXDI-801」シリーズの4機種を展示

X線自動検出機能が搭載されたワイヤレスFPDの新製品「CXDI-701 C/G Wireless」「CXDI-801 C/G Wireless」

X線自動検出機能が搭載されたワイヤレスFPDの新製品
「CXDI-701 C/G Wireless」
「CXDI-801 C/G Wireless」

DR関連では,ワイヤレスFPDの新製品「CXDI-701 C/G Wireless」「CXDI-801 C/G Wireless」の4機種が展示された。701 Cと801 Cは蛍光体にCsIを,701 Gと801 GはGoSを採用しており,Cシリーズは高感度・高画質のタイプ,Gシリーズはスタンダードタイプとなっている。いずれもCXDI-701,CXDI-801シリーズの基本性能を継承しつつ,X線自動検出機能が新たに搭載されたことにより,X線発生装置との接続が不要となったことが最大の特長である。従来は,ワイヤレスFPDを使用するためには同期信号の初期設定を行い,常にX線発生装置とFPDが同期を取りながら撮影をする必要があったが,CXDI-701,CXDI-801シリーズでは,X線自動検出機能によってセンサーがX線の照射を自動的に検出できるため,X線発生装置とFPDとの間のX線照射にかかわる情報のやりとりが不要となった。これにより,既存X線システムを大幅に変更することなく,アナログ装置はもちろん,既存のワイヤレスFPD搭載装置との組み合わせも可能となる。特に,回診車への搭載時の利便性が向上しており,コントロールPCとFPDを持って行くだけで,院内のどの回診車でも容易にデジタル撮影が可能となる。
また,撮影画像をモニタに表示する際の時間が従来機種の3秒台から1秒台に短縮されたほか,撮影間隔も従来の約15秒から9秒に短縮されるなど,機能が向上している。

なお,4機種ともピクセルピッチは125μm,外形サイズはCXDI-701 C/Gが約384mm×460mm×15mmでフィルムカセッテと同サイズ,CXDI-801 C/Gが約307mm×384m×15mmで11×14インチのカセッテと同サイズ,CXDI-801 C/Gの重さは2.3kgと従来製品と変更されていないが,CXDI-701 C/Gは重さが3.4kgから3.3kgへと100g軽量化された。

●デジタルマンモグラフィ:フォトンカウンティング技術により低線量かつ高画質撮影が可能な「MicroDose Mammography」

キヤノンLCSが2010年から販売しているフィリップス社製デジタルマンモグラフィ「MicroDose  Mammography」が展示された。50μmの画素サイズに加え,フォトンカウンティングとマルチスリットスキャニングという2つの新技術を採用したことで,低線量かつ高画質を実現している。フォトンカウンティングは,X線をアナログ/デジタル変換することなく,X線の光子を直接ディテクタでカウントしてデジタル化し画像化する技術で,X線の量子検出効率(DQE)に優れ,低線量でもノイズの少ない画像を得ることができる。また,マルチスリットスキャニングは,FPDでグリッドの役目を果たすコリメータが2か所についており,ディテクタと直線に並んだままスキャンすることで散乱線を97%除去している。

さらに,SmartAEC技術により,線量を決めるためのプレ曝射などが不要なため,乳房を圧迫している時間や検査全体にかかる時間を短縮でき,被検者の負担軽減と検査スループットの向上にも貢献する。

フォトンカウンティング技術を採用した「MicroDose Mammography」

フォトンカウンティング技術を
採用した
「MicroDose Mammography」

 

●超音波診断装置:ShearWave Elastographyをはじめ最新技術を搭載した「Aixplorer」

キヤノンLCSが2010年から販売しているSuperSonic Imagine社製超音波診断装置「Aixplorer」が展示された。“SonicSoftware”技術により,これまでハードウエアで行っていたビーム生成,信号処理をソフトウエア上で実施することにより高速化が図られている。また,組織弾性を定量的に測定する“ShearWave Elastography”を搭載。プッシュパルスにより横波を発生させ,その伝播をソフトウエア上で並列処理することで1秒間に最大2万枚の画像として取得する画像処理技術“Ultrafast Imaging”によってキャプチャし,横波の速度から組織弾性の絶対値を計算してキロパスカル単位でカラーマップ表示し,Bモード画像と重ね合わせてリアルタイムに表示する。プローブでの圧迫が不要なため,検者の手技に依存することなく再現性の高い画像が得られる。

ShearWave Elastographyが搭載された「Aixplorer」

ShearWave Elastographyが
搭載された「Aixplorer」

 

●その他:マンモグラフィ専用画像診断WS「mammary」,PCディスプレイ用ウォールマウント「StyleView縦型リフト」,「StyleView座位・立位コンボアーム」

クライムメディカルシステムズ社のマンモグラフィ専用画像診断ワークステーション「mammary」は,5MP以上のマンモグラフィ用モニタ2面とサブモニタを基本構成としている。ビューワとサーバの機能を兼ね備えており,CAD結果表示機能なども搭載されている。

エルゴトロン社製のPCディスプレイ用ウォールマウント「StyleView縦型リフト」,「StyleView座位・立位コンボアーム」が展示された。StyleView縦型リフトは23cmの高さ調節が可能で,使用しないときはキーボード部分を折りたたむことができる。また,StyleView座位・立位コンボアームは,1つのアームにモニタ,キーボード,リストレスト,マウスなどをすべて配置でき,高さ調節も容易で,こちらも不要時は折りたたんで収納できる。

マンモグラフィ専用画像診断ワークステーション「mammary」

マンモグラフィ専用画像診断ワークステーション「mammary」

PCディスプレイ用ウォールマウント「StyleView縦型リフト」(左)と「StyleView座位・立位コンボアーム」(右)

PCディスプレイ用ウォールマウント
「StyleView縦型リフト」(左)と
「StyleView座位・立位コンボアーム」(右)

 

■テラリコン・インコーポレイテッド

新型ビューワ「iNtuition REVIEW」を中心に,デジタルデータの統合運用を実現する製品を展示

●マルチモダリティの統合View環境を容易に構築する「iNtuition REVIEW」を発表

3D画像ワークステーション,3D画像配信サーバで革新的な技術を提供してきたテラリコン社は今回,これまで培ってきたボリュームデータ管理,画像表示のノウハウを凝縮した新型エンタープライズ統合ビューワ「iNtuition REVIEW」を発表した。従来,Aquarius iNtuition(AQi)Serverおよびクライアントビューワでは,ボリュームデータの解析機能を中心に提供していたが,iNtuition REVIEWは,その高い技術はそのまま継承しつつ,既存PACS環境にAdd Onすれば,電子カルテ端末上で一般撮影装置や血管撮影装置,超音波診断装置,マンモグラフィなどの2Dデータ,さらには波形データから病理関連画像などの非DICOMデータまで一括して管理・閲覧することが可能となった。GUIはマルチモダリティ環境での稼働を前提に設計されており,2Dの画像参照時に3D画像を同時に参照したい場合は,同一画面上に2Dと3Dの画像を容易に同時表示できる。また,3D画像は診療放射線技師が解析して2D化したキャプチャ画像ではなく,診療科の医師自身が簡単に作成することができる。従来の読影支援を中心とした活用にとどまらず,院内各部門での参照用や術前プランニング,手術支援などを含め,幅広い活用と利便性の飛躍的な向上が可能であり,ユニバーサルビューワとしての役割が期待される。

iNtuition REVIEWは,2013年7月頃に,Aquarius iNtuition Serverのオプション機能としてインストールベースでリリースされる予定だが,その後,Webベースの製品もリリース予定となっている。

あらゆる画像データの表示・管理が可能な新型ビューワ「iNtuition REVIEW」

あらゆる画像データの表示・管理が可能な
新型ビューワ「iNtuition REVIEW」

2D画像の参照も可能

2D画像の参照も可能

   
タブレット端末にも対応しており,院内各所で参照できる。

タブレット端末にも対応しており,
院内各所で参照できる。

 

 

●AQi Server / AQi Viewer

サーバクライアント型3Dワークステーション「AQi Server」では,クライアントビューワの最新版に搭載された特長的な機能が紹介された。なかでも新機能の“iGENTLE”は,同社独自のボリュームフィルタ技術により,低線量で撮影したCT画像データのノイズを除去することができる。これにより,逐次近似画像再構成法を搭載していないCT装置でも,より低線量での撮影を可能とする。画像処理に要する時間は数分と短時間であり,CTによる逐次近似再構成では時間がかかりすぎる場合などにも有用性を発揮する。iGENTLEは,ワークステーションによる被ばく低減という新しい発想を市場にもたらしたと言え,プロトタイプを用いた医療機関における検討では,すでに十分な画像評価が可能であるとの結果が得られているという。

iGENTLE適用例(MPR画像) 左:iGENTLEなし 右:iGENTLEあり

iGENTLE適用例(MPR画像)
左:iGENTLEなし 右:iGENTLEあり

iGENTLE適用例(VR画像) 左:iGENTLEなし 右:iGENTLEあり

iGENTLE適用例(VR画像)
左:iGENTLEなし 右:iGENTLEあり

 

また,COPD解析機能もリニューアルされた。従来のCOPD解析では,3Dのみの解析しか行えなかったが,最新版では呼吸器学会のCOPDガイドラインに則り,面積での解析を行う“エリア解析”機能が追加された。エリア解析機能では,解析結果表示後にレポートも自動で作成することが可能となった。

リニューアルされたCOPD解析。解析結果レポートの自動作成も可能となった。

リニューアルされたCOPD解析。解析結果レポートの自動作成も可能となった。

 

●統合クラウド環境を見据えたクラウドソリューション「iNtuition CLOUD」

近年,大学病院などの大規模病院では,電子カルテやPACSのクラウド化を見据えた動きが加速しているが,そうした動きにいち早く対応したクラウドソリューション「iNtuition CLOUD」が紹介された。KDDIクラウドプラットフォームサービスに対応したものと,同社独自のクラウドの2種類のサービスを用意しており,医療機関の規模や医療連携の範囲など,用途に応じて選べるようになっている。3D解析クラウドソリューションとしては唯一,仮想化技術のGO-Global,Citrix,VMwareのすべてに対応しており(2013年4月13日現在),Webブラウザ上でAQiクライアントの解析機能全般にわたるフルスペック解析が可能である。さらに現在,同社を含む3社で,3Dワークステーション,3D画像用ストレージ,PACS,非定型ドキュメント集積,電子カルテをトータルでクラウド環境として提供するためのプロジェクトが進行中であり,3D画像用ストレージ(長期保管)については,年内にも同社からサービスの提供が開始されるという。

展示ブースの大型モニタでは,iNtuition CLOUDの評価サイトである済生会川口病院での運用の実際が紹介された。解析スピードもきわめて速く,ストレスのない解析が可能であるとの高い評価が得られている。

展示ブースの大型モニタでは,iNtuition CLOUDの評価サイトである済生会川口病院での運用の実際が紹介された。解析スピードもきわめて速く,ストレスのない解析が可能であるとの高い評価が得られている。

 

 

 

CEOのロバート・テイラー氏と新製品の「iNtuition REVIEW」

CEOのロバート・テイラー氏と
新製品の「iNtuition REVIEW」

●ロバート・テイラーCEOのコメント

今回のITEM2013では,新製品として「iNtuition REVIEW」を発表しました。従来のクライアントの3D解析機能に加え,iNtuition REVIEWでは,一般撮影装置や血管撮影装置,超音波なども含めたマルチモダリティの画像表示が可能です。また,クラウドソリューション「iNtuition CLOUD」は,3D解析機能をクラウド上で配信するサービスで,米国ではすでに,1000アカウント以上の個人もしくは団体に実際に利用していただいます。

日本は非常にユニークでかつ有力なマーケットのひとつと考えています。特に,病診連携や病病連携は大きな課題のひとつですが,例えば,3T MRIや320列CTなどのハイスペックな装置から得られる恩恵を,大規模病院はもとより中規模以下の病院でも受けられるよう,そこに寄与する製品を提供していきたいと考えています。その1つが,今回ご紹介している,低線量CTデータに対するノイズ除去技術“iGENTLE”です。

このほか,ワークフローを改善する技術である“WorkFlow Template”など,画像処理のプロセスについては他社と比べて大きなアドバンテージがあり,われわれの製品の強みのひとつであると考えています。

 

 

お問い合わせ先:
キヤノンライフケアソリューションズ株式会社
営業推進統括本部 医療システム販売推進本部 医画像システム販売推進部
〒113-0034 東京都文京区湯島2丁目17-4
TEL 03-3814-4956 FAX 03-3814-8616
http://www.canon-lcs.co.jp
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〒105-0011 東京都港区芝公園2丁目11-1 住友不動産芝公園タワー1階
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