JRC2013 合同シンポジウム 3
Innovative Technologies in Medical Physics
 「医学物理におけるイノベイティブテクノロジー」

2013-4-14


司会:豊福不可依氏(JSMP大会長・九州大学) , 佐藤智春(がん研有明病院)

司会:豊福不可依氏(JSMP大会長・九州大学) ,
佐藤智春(がん研有明病院)

4月14日(日)の午前9時10分からメインホールにて,合同シンポジウム3「
Innovative Technologies in Medical Physics
:医学物理におけるイノベイティブテクノロジー」が,豊福不可依氏(JSMP大会長・九州大)および佐藤智春氏(がん研有明病院)の司会で行われた。

現在,研究開発中の新しい医療技術について,5名の演者から発表があった。

最初に登壇した百生 敦氏(東北大学多元物質科学研究所)は,最近ようやく臨床試用を開始し,実用化に近づいてきたX線位相イメージングについて講演した。位相イメージングは,100年続いたX線画像原理からの跳躍であり,すだれ状のX線格子を用いて1万分の1ほどのわずかなX線の屈折を画像化する手法であるとした。開発初期から医工連携を行い,現在,関節リウマチとマンモグラフィへの臨床応用をめざして,埼玉医科大学と名古屋医療センターにて臨床試験を行っているという。

続いて,国立がん研究センター東病院臨床開発センターの西尾禎治氏が,陽子線治療における PET イメージングのテーマで講演した。腫瘍に集中的に線量を照射できる陽子線治療は,高精度な治療計画・シミュレーションが必須となる。さらに,実際の陽子線治療で正確に病巣部に照射されたかどうかを確認することも重要である。そこで,陽子線と腫瘍・人体を構成する原子核との標的原子核破砕反応により生成されるポジトロン放出核を情報因子として,照射域を画像化するシステムを考案。2007年に陽子線治療室内に設置できるBeam on line PET system(BOLPs)を開発し,約150名,3000枚以上の画像を取得し解析しているとした。毎回の治療時に照射効果を画像で確認し,再シミュレーションできることで,陽子線治療の精度の向上に寄与することが期待される。

百生 敦氏(東北大学多元物質科学研究所)

百生 敦氏
(東北大学多元物質科学研究所)

西尾禎治氏(国立がん研究センター東病院臨床開発センター)

西尾禎治氏
(国立がん研究センター東病院臨床開発センター)

 

1.X-ray Phase Imaging Reaching Clinics
実用化に近づく X 線位相イメージング
百生 敦氏(東北大学多元物質科学研究所)

2.PET Imaging in Proton Therapy
陽子線治療における PET イメージング
西尾禎治氏(国立がん研究センター東病院臨床開発センター)

3.Next Generation Radiotherapy System and Technologies
次世代放射線治療装置と技術
田辺英二氏((株)アキュセラ,東京大学)

4.Analyses of Brain Hydrodynamics and Biomechanics Using MRI
MRI による脳のハイドロダイナミクスおよびバイオメカニクスの解析
宮地利明氏(金沢大学医薬保健研究域保健学系)

5.New Technology of Radiotherapy Treatment Planning
放射線治療計画の新技術
武川英樹氏(市立貝塚病院放射線科)

 

(注)詳細は,月刊インナービジョン6月号「JRC2013特集」に掲載予定です。


TOP